データで見る葬儀

九州・沖縄の葬儀事情 参列人数・収骨の違いと8県の火葬場、葬祭費

更新 文 みおくり手帖 編集部

この記事の要点

  • 参列人数の平均は九州53.8人、沖縄89.0人で、全国の地方別で上位2つを占める。
  • 収骨は福岡では一部を納めるのが主流。那覇・浦添のいなんせ斎苑はお骨をすべて引き取る。
  • 後期高齢者医療の葬祭費は8県とも2万〜3万円で、全国に多い5万円の県はない。
目次
  1. 8県の死亡数・火葬場・葬祭費
  2. 参列する人が多い
  3. 葬儀の前に火葬する地域(熊本など)
  4. 収骨:福岡は一部、沖縄はすべて
  5. 主な公営火葬場の料金と休み
  6. 福岡と沖縄のこれから
  7. 九州・沖縄で葬儀をするときに確かめたいこと

九州7県(福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島)と沖縄県では、2025年に18万9,100人が亡くなりました。全国の11.9%です。稼働している火葬場は196か所で、1か所あたりの死亡数は965人と、全国平均(1,177人)より少なくなっています。

葬儀に来る人の数は全国で最も多い地域です。鎌倉新書の2024年の調査では、参列人数の平均が九州53.8人、沖縄89.0人で、地方別の1位と2位でした。後期高齢者医療の葬祭費は8県とも2万〜3万円で、全国に多い5万円の県はありません。この記事では、公的な統計と研究報告、各市の公表資料から、九州・沖縄の葬儀事情をまとめます。

8県の死亡数・火葬場・葬祭費

厚生労働省の人口動態統計(2025年確定数)と衛生行政報告例(2024年度末)の数字です。葬祭費は、各県の後期高齢者医療広域連合の公表額です。県名から、それぞれの都道府県ガイドに進めます。

県 死亡数(2025年) 火葬場(1か所あたり) 葬祭費(後期高齢者医療)
福岡県 62,860人 36か所(1,746人) 3万円
佐賀県 11,255人 16か所(703人) 3万円
長崎県 19,684人 34か所(579人) 2万円
熊本県 24,203人 28か所(864人) 2万円
大分県 16,333人 19か所(860人) 2万円
宮崎県 16,108人 12か所(1,342人) 2万円
鹿児島県 23,656人 33か所(717人) 2万円
沖縄県 15,001人 18か所(833人) 2万円
8県 189,100人 196か所(965人) ―

(火葬場は2024年度末に過去1年以内の稼働実績があるもの。1か所あたりは2025年の死亡数を火葬場の数で割った、編集部の計算)

1か所あたりの死亡数が多いのは福岡県(全国9位)と宮崎県(15位)で、ほかの6県は全国平均を下回ります。47都道府県の比較は「47都道府県の火葬場の数と混み具合」にまとめています。

葬祭費は全国より少なめ

後期高齢者医療の葬祭費は、全国47の広域連合のうち27が5万円です。2万円は9県だけで、そのうち6県が九州・沖縄にあります。国民健康保険も同じ傾向で、県庁所在市などの金額は次のとおりです。

市 国民健康保険の葬祭費
福岡市・北九州市・佐賀市 3万円
那覇市 2万5千円
熊本市・長崎市・大分市・宮崎市・鹿児島市 2万円

(各市の公表額。那覇市は申請に火葬費用の領収証を使います)

期限はどれも葬儀の翌日から2年です。申請の仕方は「葬祭費の申請」、ほかの市町村の金額は「葬祭費しらべ」で確かめられます。

参列する人が多い

鎌倉新書の2024年の全国調査の都道府県別の平均を、編集部が九州7県と沖縄に分けてまとめ直しました。

項目 九州7県 沖縄 全国
参列した人数 53.8人 89.0人 38.9人
受け取った香典 53.9万円 65.3万円 47.3万円
葬儀費用の総額 118.3万円 124.0万円 118.5万円
お布施 20.1万円 10.4万円 22.9万円

(鎌倉新書「第6回お葬式に関する全国調査(2024年)」の都道府県別の平均を加工して作成。回答は九州261件、沖縄39件。回答が少ないため目安です)

参列人数は、沖縄が全国の2.3倍、九州が1.4倍でした。人数が多い分、受け取る香典も全国より多くなっています。一方、沖縄のお布施の平均は10.4万円で、10の地方の中で最も低い値でした。九州の県別の総額は、熊本県の98.7万円から鹿児島県の149.8万円まで開きがあります。

参列する人が多いと、返礼品や飲食の用意も増えます。人数の見込みは、地域の慣習を知る親族や葬儀社と相談して決めると安心です。費用の内訳は「葬儀費用の相場と内訳」をご覧ください。

香典の渡し方と金額

全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)の「第6回香典に関するアンケート調査」(2021年度)の結果です。九州ブロックには沖縄県が入り、回答は677件でした。

項目 九州ブロック 全国の傾向
香典を通夜に持参 64.5% 北海道・中部は9割超
香典を告別式に持参 34.7% 東北は55.5%
職場関係の香典(平均) 4,684円 10ブロックで最も低い
近所の人の香典(最も多い答え) 3,000円 ほかのブロックは5,000円

(全互協の地域別の集計を加工して作成。南関東ブロックは近所の最も多い答えの集計なし)

職場関係・友人・近所の香典の平均は、九州ブロックが10ブロックで最も低い結果でした。ただし回答677件のうち、福岡県が327件、沖縄県が183件を占めます。全互協は、九州の結果には福岡市や北九州市など大都市の傾向が出ていると考えられると説明しています。関係ごとの目安は「香典の金額相場」で調べられます。

葬儀の前に火葬する地域(熊本など)

全国で多いのは「通夜→葬儀・告別式→火葬」の順番です。九州には、先に火葬してお骨になってから葬儀をする「前火葬(骨葬)」の地域があります。

国立歴史民俗博物館の研究報告(関沢まゆみ、2015年)は、熊本県を前火葬が多い地域として挙げています。1990年代の全国58地点の調査を見直した部分にも、熊本・大分・鹿児島・沖縄で火葬のあとに葬儀をする例があります。

研究報告によると、九州で火葬が広まったのは昭和40〜50年ごろです。背景として、暑さへの対応から、亡くなって24時間たったら火葬することが勧められてきたことが挙げられています。沖縄についても、暑さと遺体の傷みの関係が背景として指摘されました。熊本県では昭和40年前後から火葬が広まり、荒尾市などで地域共同の大きな納骨堂がつくられたことも紹介されています。

補足

法律では、亡くなってから24時間たつまでは原則として火葬できません(墓地、埋葬等に関する法律 第3条)。前火葬の地域でも、火葬は24時間を過ぎてからです。故人の顔を見てお別れできるのは火葬の前までなので、遠方の親族には火葬の日時を早めに伝えます。

全国の地域差は「地域で違う葬儀のしきたり」で整理しています。

収骨:福岡は一部、沖縄はすべて

火葬のあと、お骨を骨つぼに納めることを「収骨(しゅうこつ)」と呼びます。どこまで納めるかは地域で違い、九州・沖縄の中でも施設の案内が分かれます。

施設 収骨についての公式の案内
福岡市葬祭場 刻の森 福岡では骨の一部を納める部分収骨が主流。遺骨を少なくする目的の火葬は受け付けない
大分市葬斎場 すべて納めたいときは、おおむね8寸以上の骨つぼを用意し、前もって葬祭業者に伝える
佐賀市 つくし斎場 すべて納めたいときは、全部が入る骨つぼを自分で用意する
いなんせ斎苑(那覇市・浦添市など) 宗教・宗派にかかわらず、遺骨はすべて引き取る。収骨は20分以内

(各施設・市の公表資料より)

骨つぼに納めなかった骨は、各市が供養しています。たとえば鹿児島市は、斎場の霊灰塔に納めて供養しています。

ポイント

九州・沖縄で火葬をして、ほかの地方のお墓に納める予定があるときは、骨つぼの大きさが合うかを先に確かめます。すべて納めるか一部にするかは、火葬の前に家族で決めて葬儀社に伝えておきます。

主な公営火葬場の料金と休み

8県の主な市の公営火葬場の、大人の火葬料と休みです。

施設 住民 住民以外 休み
福岡市 刻の森 20,000円 70,000円 年3日(友引も開く)
北九州市立東部斎場 15,000円 55,000円 友引は東部・西部が交互に休む
佐賀市 つくし斎場 6,500円 60,000円 1月1日
長崎市もみじ谷葬斎場 7,800円 39,000円 1月1日
熊本市斎場 6,000円 36,000円 1月1日
大分市葬斎場 10,000円 50,000円 1月1日
宮崎市葬祭センター 20,000円 60,000円 1月1日
鹿児島市立北部斎場 9,000円 51,000円 1月1日と毎月の友引のうち1日
いなんせ斎苑 25,000円 80,000円 1月1日・旧暦7月15日・台風など

(2026年10月時点の各市・組合の公表料金。いなんせ斎苑の「住民」は那覇市・浦添市で、糸満市など南部の市町村は60,000円。大人の年齢の区切りは施設で違う)

表の公営火葬場は、友引の日も開いているところが多くなっています。熊本市斎場は友引も火葬をしますが、2か月に1回ほど、友引の日の午後は機器の点検で火葬がありません。鹿児島市は南部斎場も同じ料金です。友引と葬儀の考え方は「友引に葬儀はできる?」にまとめています。

住民料金の決め方と最近の改定

  • 鹿児島市: 亡くなった人が市外に住んでいても、死亡届を出す人が市民なら市内料金です。
  • 長崎市: 長与町・時津町の住民も市内料金で使えます。2026年4月に、市内の大人は6,000円から7,800円になりました。
  • 大分市: 2025年10月に、市内の大人を5,000円から10,000円に改定しました。
  • 佐賀市: 介護や療養で市外の施設に移って亡くなった人は、申請すると市内料金との差額が戻ります。期限は支払いから90日以内です。
  • 福岡市: 住民票が市外の人は、市内で亡くなったか、申請する人が市民の場合だけ「その他」の料金で使えます。

沖縄・いなんせ斎苑の休み

いなんせ斎苑は、那覇市と浦添市を中心に、沖縄本島南部の市町村や離島の人が使う火葬場です。休みは1月1日のほか、旧暦7月15日と、台風など管理上必要な日です。旧暦7月15日は、辞典で旧暦のお盆(盂蘭盆)の中心の日とされる日です。

台風で暴風警報が出て路線バスが止まると、原則として休苑になります。予約していた火葬は、翌日の同じ時刻に順に送られます。2026年度は9月末までに2,492件の火葬があり、那覇市の人が約65%、浦添市の人が約21%でした。

福岡と沖縄のこれから

福岡市の葬祭場は火葬炉26基で、1日2回転、年362日動いています。市は2026〜2030年度に26基を4期に分けて更新し、1日3回転にする計画です。将来の火葬件数は2045年に年1万8,563件でピークになると見込んでいます(2025年度は1万2,909件)。

沖縄県は、人口千人あたりの死亡が10.5人で、東京都に次いで2番目に少ない県です。一方、死亡数の10年の増え方は32.4%で、全国で4番目に大きくなっています。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、沖縄県の75歳以上の人口は2050年に2020年の1.79倍になります。全国で最も大きな増え方です。

九州・沖縄で葬儀をするときに確かめたいこと

  1. 参列の人数を見込みます。地域によっては多くの人が来ます。返礼品や会食の数に関わります。
  2. 火葬と葬儀の順番を確かめます。前火葬の地域では、お別れの時間は火葬の前です。
  3. 収骨の仕方と骨つぼを決めます。一部を納めるか、すべて納めるかで骨つぼの大きさが変わります。
  4. 亡くなった人の住所の火葬場と料金を確かめます。住民以外は数万円かかります。届出人や申請者の住所で住民料金になる市もあります。
  5. 葬祭費を申請します。金額は2万〜3万円が中心で、期限は葬儀の翌日から2年です。

よくある質問

沖縄では火葬のあと、お骨を全部持ち帰るのですか?

那覇市・浦添市などが使ういなんせ斎苑は、宗教や宗派にかかわらず、遺骨を火葬のあとにすべて引き取る決まりです。収骨の時間は20分以内です。骨つぼの大きさは、納める予定のお墓に合わせて葬儀社と相談してください。

福岡では火葬のあと、お骨をどれくらい拾いますか?

福岡市葬祭場は、骨の一部を骨つぼに納める「部分収骨」が福岡では主流だと案内しています。全部を納めたい場合は、大きな骨つぼを用意して葬儀社に伝えます。大分市は、全部を納めるならおおむね8寸以上の骨つぼを用意するよう案内しています。

九州・沖縄の葬祭費はいくらですか?

後期高齢者医療の葬祭費は、福岡・佐賀が3万円、長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄が2万円です。国民健康保険は市町村ごとに決まり、福岡市・北九州市・佐賀市は3万円、熊本市・長崎市・大分市・宮崎市・鹿児島市は2万円、那覇市は2万5千円です。

いなんせ斎苑の休みはいつですか?

1月1日と旧暦7月15日、台風など管理上必要な日です。暴風警報が出て路線バスが止まると原則として休みになり、予約していた火葬は翌日の同じ時刻に順に送られます。

出典・参考にした資料

  1. 令和7(2025)年人口動態統計(確定数)の概況・統計表厚生労働省(2026-10-07 確認)
  2. 人口動態統計月報年計(概数)令和7年 統計表(都道府県別死亡率)厚生労働省(2026-10-07 確認)
  3. 衛生行政報告例 令和6年度 第5表 墓地・火葬場・納骨堂数厚生労働省(e-Stat)(2026-10-07 確認)
  4. 日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)概要国立社会保障・人口問題研究所(2026-10-07 確認)
  5. 墓地、埋葬等に関する法律(第3条)e-Gov法令検索(2026-10-07 確認)
  6. 火葬化とその意味:「遺骸葬」と「遺骨葬」(関沢まゆみ、国立歴史民俗博物館研究報告 第191集、2015年)国立歴史民俗博物館(2026-10-08 確認)
  7. 第6回お葬式に関する全国調査(2024年)都道府県別の葬儀費用株式会社鎌倉新書(いい葬儀)(2026-10-07 確認)
  8. 第6回 香典に関するアンケート調査(集計結果)全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-07 確認)
  9. 第6回 香典に関するアンケート調査(調査概要)全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-07 確認)
  10. 盂蘭盆(デジタル大辞泉・ブリタニカ国際大百科事典ほか)コトバンク(2026-10-08 確認)
  11. 当日の流れ福岡市葬祭場 刻の森(2026-10-07 確認)
  12. 令和8年度 福岡市葬祭場の休場日について福岡市葬祭場 刻の森(2026-10-07 確認)
  13. 福岡市立火葬施設条例福岡市(2026-10-07 確認)
  14. 「刻の森」福岡市葬祭場福岡市(2026-10-07 確認)
  15. 福岡市葬祭場 火葬炉等更新事業 要求水準書福岡市(2026-10-07 確認)
  16. 福岡市葬祭場 指定管理者の評価(令和7年度)福岡市(2026-10-07 確認)
  17. 斎場のご案内北九州市(2026-10-07 確認)
  18. 佐賀市火葬場 つくし斎場佐賀市(2026-10-07 確認)
  19. 市外居住者の火葬料金について(減免制度のお知らせ)佐賀市(2026-10-07 確認)
  20. もみじ谷葬斎場のご利用案内長崎市(2026-10-07 確認)
  21. 熊本市斎場のご案内熊本市(2026-10-07 確認)
  22. 熊本市斎場予約システム(お知らせ)熊本市斎場(2026-10-07 確認)
  23. 大分市葬斎場・佐賀関火葬場のご案内大分市(2026-10-07 確認)
  24. 令和7年10月から葬斎場の使用料を改定します大分市(2026-10-07 確認)
  25. 大分市葬斎場ご利用の手引き(令和7年10月1日)大分市(2026-10-07 確認)
  26. 宮崎市葬祭センターのご案内宮崎市(2026-10-07 確認)
  27. 斎場の名称・所在地・施設の概要鹿児島市(2026-10-07 確認)
  28. 火葬料、式場料及び通夜室料鹿児島市(2026-10-07 確認)
  29. 北部・南部斎場において発生する残骨灰の取扱いについて鹿児島市(2026-10-07 確認)
  30. いなんせ斎苑 ご利用案内南部広域市町村圏事務組合(2026-10-07 確認)
  31. いなんせ斎苑 台風接近時の火葬業務及び受付業務について(2026年6月)南部広域市町村圏事務組合(2026-10-07 確認)
  32. いなんせ斎苑 令和8年度 年間利用実績南部広域市町村圏事務組合(2026-10-07 確認)
  33. 後期高齢者医療 葬祭費(福岡県)福岡県後期高齢者医療広域連合(2026-10-07 確認)
  34. 後期高齢者医療制度のしおり(令和8年度改訂版)佐賀県後期高齢者医療広域連合(2026-10-07 確認)
  35. 後期高齢者医療 葬祭費(長崎県)長崎県後期高齢者医療広域連合(2026-10-07 確認)
  36. 後期高齢者医療 葬祭費(熊本県)熊本県後期高齢者医療広域連合(2026-10-07 確認)
  37. 後期高齢者医療 医療給付(大分県)大分県後期高齢者医療広域連合(2026-10-07 確認)
  38. 後期高齢者医療 葬祭費(宮崎県)宮崎県後期高齢者医療広域連合(2026-10-07 確認)
  39. 後期高齢者医療 医療給付(鹿児島県)鹿児島県後期高齢者医療広域連合(2026-10-07 確認)
  40. 後期高齢者医療 制度の案内(沖縄県)沖縄県後期高齢者医療広域連合(2026-10-07 確認)
  41. 国民健康保険 葬祭費福岡市(2026-10-07 確認)
  42. 国民健康保険 葬祭費北九州市(2026-10-07 確認)
  43. 国民健康保険 葬祭費熊本市(2026-10-07 確認)
  44. 国民健康保険 葬祭費那覇市(2026-10-07 確認)

制度や料金は変わることがあります。編集方針/誤りに気づいたらお知らせください。

あわせて読みたい

斎場・火葬場

斎場・火葬場の一覧へ

データで見る葬儀の記事

データで見る葬儀をすべて見る