亡くなってから葬儀まで

地域で違う葬儀のしきたり 前火葬・収骨・香典・香典返しを地方別の早見表で

更新 文 みおくり手帖 編集部

この記事の要点

  • 東北の青森・岩手・秋田や熊本県などには、葬儀の前に火葬する「前火葬(骨葬)」が多い地域があります。
  • 香典を通夜に出す人は北海道・中部で9割超。東北は告別式に出す人のほうが多いという調査があります。
  • 収骨のしかたや友引に火葬場が休むかも地域で違います。最後は地元の親族・葬儀社・お寺に確かめます。
目次
  1. 全国で同じこと、地域で違うこと
  2. 火葬と葬儀の順番(前火葬・骨葬)
  3. 香典を渡すのは通夜か、告別式か
  4. 香典返しの時期と表書き
  5. 葬儀の規模の違い
  6. お骨の拾い方(収骨)
  7. 四十九日の数え方(逮夜)
  8. 火葬場が休む日(友引)
  9. 火葬の料金と、自分で予約できるか
  10. 地方別の早見表

葬儀の手続きは全国で同じです。死亡届を出し、火葬の許可を受け、亡くなってから24時間たってから火葬します。一方で、葬儀の進め方には地域による違いがあります。火葬と葬儀の順番、香典を渡す場面、香典返しの時期、お骨の拾い方、火葬場が休む日などです。

この記事では、研究報告や調査、各地の火葬場の公式情報で確かめられた違いを、地方ごとにまとめました。同じ県の中でも、町や家によって違うことがあります。ほかの地域の葬儀に参列するときや、遠くに住む親の葬儀を出すときは、地元の親族や葬儀社に確かめるのが確実です。

全国で同じこと、地域で違うこと

全国で同じこと 地域で違うこと
死亡届は7日以内に出す 火葬と葬儀・告別式の順番
火葬には市区町村の許可がいる 香典を通夜と告別式のどちらで渡すか
原則、亡くなって24時間は火葬しない 香典の金額、香典返しの時期と表書き
火葬場の予約は多くの場合、葬儀社がする お骨をすべて拾うか、一部だけ拾うか
葬祭費などの給付は申請しないと出ない 火葬場が友引に休むか、住民の料金はいくらか

手続きの詳しい流れは死亡届の出し方と期限、葬儀全体の流れはお通夜・葬儀・告別式の流れにまとめています。

火葬と葬儀の順番(前火葬・骨葬)

全国で多いのは「通夜→葬儀・告別式→火葬」の順です。しかし、先に火葬をして、お骨になってから葬儀・告別式をする地域があります。これを「前火葬(まえかそう)」や「骨葬(こつそう)」と呼びます。

国立歴史民俗博物館の研究報告(関沢まゆみ、2015年)は、この2つの型を「遺骸葬」と「遺骨葬」と呼んで整理しています。報告によると、近畿の滋賀県や関東の栃木県などは葬儀のあとに火葬する型が多く、東北の秋田県や九州の熊本県などは先に火葬する型が多いとされます。東北の葬儀社への調査では、先に火葬する型は青森県・岩手県・秋田県に多く、宮城県・山形県では減り、福島県では少ないと紹介されています。

ポイント

前火葬の地域では、葬儀・告別式の祭壇にお骨を安置します。故人の顔を見てお別れできるのは、火葬の前までです。遠方の親族には、通夜だけでなく火葬の日時も早めに伝えましょう。

香典を渡すのは通夜か、告別式か

香典は、通夜か告別式のどちらか一方で渡せば十分です。どちらで渡す人が多いかは、地域でかなり違います。全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)の「第6回香典に関するアンケート調査」(2021年度、回答5,177件)の結果です。

地域ブロック(回答数) 通夜に持参 告別式に持参
北海道(259件) 92.7% 6.6%
東北(582件) 41.9% 55.5%
北関東(837件) 70.0% 28.0%
東京(214件) 76.2% 22.9%
南関東(459件) 85.0% 13.5%
中部(873件) 91.8% 7.8%
近畿(837件) 84.3% 13.3%
中国(162件) 60.5% 37.7%
四国(277件) 64.3% 33.9%
九州(677件) 64.5% 34.7%

(全互協「第6回香典に関するアンケート調査」の地域別の集計を加工して作成。ブロックの区分は調査のもので、北関東に埼玉・千葉・新潟・長野、東京に山梨、南関東に静岡、中部に富山・石川・三重、近畿に福井、九州に沖縄が入ります)

全互協は、都市部では通夜に、地方では告別式に持参する傾向があると説明しています。東北は告別式に持参する人のほうが多く、告別式を重く見る傾向がうかがえるとしています。

同じ調査で、香典の金額も地域ごとに集計されています。祖父母や職場の関係など、関係ごとの地域別の目安は香典の金額相場で表にしています。

香典を少なくして、お返しを断る「新生活」

関東の一部には、香典を少額にとどめ、香典返しを受け取らない「新生活」という習わしが残る地域があります。群馬県立文書館の展示資料によると、もとは終戦直後に始まった生活の見直しの運動です。全国では下火になったあとも、群馬県内では葬儀の習わしとして続いてきたと紹介されています。

埼玉県入間市は、今も市の案内で、香典は3,000円までとし、不祝儀袋に新生活運動のシールを張る方法を紹介しています。この場合、香典返しは受け取りません。受付に「新生活」の記帳台があれば、その地域の習わしに合わせて構いません。

香典返しの時期と表書き

香典返しには、葬儀の当日に渡す「当日返し(即日返し)」と、四十九日の忌明けのあとに送る方法があります。全互協の案内では、どちらも一般的なやり方として紹介されています。

のし紙の表書きは、多くの地域で「志」です。関西では「満中陰志(まんちゅういんし)」と書くことが多く、辞典でも関西で使う言葉と説明されています。「満中陰」は、四十九日の忌明けのことです。香典返しの金額の目安やのしの書き方は、香典返しの相場と時期にまとめています。

葬儀の規模の違い

参列する人の数も地域で違います。鎌倉新書の「第6回お葬式に関する全国調査(2024年)」の都道府県別の平均を、編集部が地方ごとにまとめ直しました。

地方(回答数) 参列人数の平均 受け取った香典の平均
北海道(74件) 36.0人 48.0万円
東北(252件) 41.4人 51.4万円
関東(315件) 32.8人 45.0万円
北陸(173件) 46.6人 70.6万円
中部(207件) 46.5人 60.7万円
近畿(271件) 26.1人 24.6万円
中国(277件) 29.6人 36.4万円
四国(131件) 29.9人 43.4万円
九州(261件) 53.8人 53.9万円
沖縄(39件) 89.0人 65.3万円

(鎌倉新書「第6回お葬式に関する全国調査(2024年)」の都道府県別の平均を、回答数で重みをつけて地方ごとに計算。1県あたりの回答は30〜113件と少なく、目安です)

沖縄と九州は参列する人が多く、近畿は少ない結果でした。人数が多いほど、飲食や返礼品の用意が増えます。地方別の葬儀費用は葬儀費用の相場と内訳で比べています。

お骨の拾い方(収骨)

火葬のあと、遺族がお骨を骨つぼに納めることを「収骨」や「お骨上げ」と呼びます。すべてのお骨を納めるか、一部だけを納めるかは、地域で違います。各地の火葬場の公式の案内から、確かめられた例です。

地域 公式の案内
京都市 のど仏など必要最小限の骨を拾う「部分収骨」の慣習があり、大多数の遺族は残りを斎場に残すと説明(2012年の市の資料)
名古屋市 第二斎場は、特に希望がなければ部分拾骨。すべて納める場合は事前に係員へ相談
福岡市 葬祭場は「部分収骨が主流」と案内
沖縄県(那覇市など) いなんせ斎苑は、宗教・宗派にかかわらず遺骨をすべて引き取る決まり

骨つぼの大きさも、どこまで拾うかで変わります。名古屋市第二斎場の売店では、すべてのお骨を納める8寸の骨つぼと、一部を納める4寸の骨つぼの両方を扱っています。お墓や納骨堂に納める予定がある場合は、入る大きさかどうかも葬儀社に伝えておくと安心です。

四十九日の数え方(逮夜)

四十九日は、亡くなった日を1日目として数えた49日目です。ただし、七日ごとの法要を「逮夜(たいや)」、つまり前の晩を基準に考える習わしもあります。真宗の寺院の案内では、逮夜のお勤めには地域色があり、関東ではあまりなじみがないと説明されています。

日付は法要の日程計算で、どちらの数え方でも調べられます。詳しくは四十九日の数え方をご覧ください。

火葬場が休む日(友引)

「友を引く」として、友引の日に葬儀や火葬を避ける考え方があります。ただし、友引に火葬場が休むかどうかは、施設ごとに違います。各市の公式の案内で確かめた例です(2026年10月時点)。

市 友引の扱い
札幌市 友引は休場。2026年10月からは2つの斎場が交互に開く
静岡市・岡山市 友引は休場(静岡市の庵原斎場は時期で違う)
北九州市 東部・西部の斎場が友引に交互に休む
神戸市 甲南・西神・有馬は友引に休み、鵯越は友引も開く
鹿児島市 毎月の友引のうち1日が休み
熊本市 友引も開くが、約2か月に1度は友引の午後に点検がある
大阪市・名古屋市(第二斎場) 休みは1月1日のみ
福岡市 休みは年3日のみ(2026年度)

火葬の日程がすぐに決まらないときは、ご遺体の安置場所と日数も参考にしてください。

火葬の料金と、自分で予約できるか

公営の火葬場は、その市町村に住んでいた人なら、無料から2万円ほどで使えるところが多いです。住民以外は数倍になります。各地の公営火葬場の料金は葬儀費用の相場と内訳で、都道府県ごとの火葬場の数は47都道府県の火葬場の数と混み具合で比べています。

火葬場の予約は多くの場合、葬儀社が代わりに行います。ただ、遺族が自分で予約できると公式に案内している市もあります。札幌市・仙台市・金沢市・神戸市・高松市・福岡市・熊本市・北九州市などです。棺の用意や搬送の決まりは市ごとに違うので、案内をよく読んで確かめてください。

地方別の早見表

ここまでの内容を地方ごとにまとめました。調査ごとに地方の区分が違うため、目安として読んでください。

地方 先に火葬する型が多いと報告された地域 香典を多く持参する場面 参列人数の平均
北海道 ― 通夜(92.7%) 36.0人
東北 青森・岩手・秋田 告別式(55.5%) 41.4人
関東 ―(栃木は葬儀のあとに火葬が多い) 通夜(70.0〜85.0%) 32.8人
北陸・中部 ― 通夜(中部ブロック 91.8%) 46.5〜46.6人
近畿 ―(滋賀は葬儀のあとに火葬が多い) 通夜(84.3%) 26.1人
中国・四国 ― 通夜(60.5〜64.3%) 29.6〜29.9人
九州・沖縄 熊本県など 通夜(64.5%) 53.8〜89.0人

(前火葬は国立歴史民俗博物館の研究報告、香典を持参する場面は全互協の2021年度の調査、参列人数は鎌倉新書の2024年の調査より。「―」は、確かめた資料に先に火葬する型が多いという報告がなかった地域です)

補足

しきたりは、同じ市の中でも地区や家、宗派によって違います。迷ったら、喪主か地元の葬儀社、菩提寺に聞くのがいちばん確実です。「こちらの地域ではどうしていますか」と聞けば、失礼にはなりません。

よくある質問

前火葬(骨葬)の地域で葬儀に参列するとき、気をつけることは?

葬儀・告別式の祭壇にはお骨が安置されるので、故人の顔を見てお別れできるのは火葬の前までです。お顔を見たい場合は、通夜か火葬の前に伺えるよう、日時を喪主側に確かめてください。

香典は通夜と告別式のどちらで渡せばいいですか?

どちらか一方で渡せば十分です。全日本冠婚葬祭互助協会の調査では、北海道や中部では9割以上が通夜に持参し、東北では告別式に持参する人のほうが多い結果でした。両方に参列する場合は、最初に参列したときに渡すのが一般的です。

「満中陰志」とは何ですか?

仏式の香典返しのことで、のし紙の表書きにも使います。主に関西で使われる言葉です。関東など多くの地域では「志」と書くのが一般的です。

友引の日は火葬できませんか?

火葬場によって違います。友引の日を休みにする火葬場もあれば、開いている火葬場もあります。たとえば大阪市や福岡市の市営の火葬場は友引も開いていて、北九州市は2つの斎場が友引に交互に休みます。予約の前に、地元の火葬場か葬儀社に確かめてください。

出典・参考にした資料

  1. 墓地、埋葬等に関する法律(第3条)e-Gov法令検索(2026-10-07 確認)
  2. 火葬化とその意味:「遺骸葬」と「遺骨葬」:納骨施設の必須化(関沢まゆみ、国立歴史民俗博物館研究報告 第191集、2015年)国立歴史民俗博物館(2026-10-07 確認)
  3. 第6回 香典に関するアンケート調査(調査概要)全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-07 確認)
  4. 第6回 香典に関するアンケート調査(集計結果)全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-07 確認)
  5. 香典返しは?全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-07 確認)
  6. 満中陰志(デジタル大辞泉)コトバンク(2026-10-07 確認)
  7. 令和6年度テーマ展示1「史料で見る上州の冠婚葬祭」展示パネル群馬県立文書館(2026-10-07 確認)
  8. 新生活運動について入間市(2026-10-07 確認)
  9. 第6回お葬式に関する全国調査(2024年)都道府県別の葬儀費用株式会社鎌倉新書(いい葬儀)(2026-10-07 確認)
  10. 中央斎場の概要説明資料(中央斎場のあり方検討委員会、2012年)京都市(2026-10-07 確認)
  11. よくあるご質問(お骨上げ)名古屋市第二斎場(2026-10-07 確認)
  12. ご利用の流れ福岡市葬祭場 刻の森(2026-10-07 確認)
  13. いなんせ斎苑 ご利用案内南部広域市町村圏事務組合(2026-10-07 確認)
  14. 逮夜と初七日真宗興正派 円龍寺(2026-10-07 確認)
  15. 斎場の利用案内札幌市(2026-10-07 確認)
  16. 市営斎場神戸市(2026-10-07 確認)
  17. 斎場のご案内北九州市(2026-10-07 確認)
  18. 熊本市斎場熊本市(2026-10-07 確認)
  19. 斎場の使用料金表鹿児島市(2026-10-07 確認)
  20. 斎場静岡市(2026-10-07 確認)
  21. 斎場の使用岡山市(2026-10-07 確認)
  22. 市立斎場の使用料(参考資料)大阪市(2026-10-07 確認)
  23. 第二斎場名古屋市(2026-10-07 確認)
  24. 葬祭場「刻の森」 ご利用案内福岡市葬祭場(2026-10-07 確認)
  25. 葛岡斎場仙台市(2026-10-07 確認)
  26. 東・南斎場金沢市(2026-10-07 確認)
  27. 熊本市斎場の友引日における火葬業務等について(お知らせ)熊本市斎場(2026-10-07 確認)

制度や料金は変わることがあります。編集方針/誤りに気づいたらお知らせください。

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