亡くなってから葬儀まで

ドライアイスの量と費用 葬儀までの1日の目安と交換、自宅安置の注意点

更新 文 みおくり手帖 編集部

この記事の要点

  • ドライアイスは1回10kg前後を、1日1回取り替えるのが基本です。
  • 葬儀社の公表価格では、1回8,000円〜1万2,000円程度が目安です。
  • 棺に顔を入れない、部屋を換気する。消費者庁が死亡事故をもとに注意を呼びかけています。
目次
  1. ドライアイスの量・費用・交換の目安
  2. 安置日数ごとの総額の目安
  3. ドライアイスを当てる位置
  4. 自宅で安置するときの注意
  5. ドライアイス・保冷庫・エンバーミングの違い
  6. 費用を確かめるときのポイント

ご遺体を冷やすドライアイスは、1回10kg前後を、1日1回取り替えるのが基本です。費用は、葬儀社の公表価格を見ると1回8,000円〜1万2,000円程度が多く、安置する日数の分だけかかります。たとえば4日間なら、3万円〜5万円ほどが目安です。自宅で安置するときは、棺に顔を入れないことと、部屋の換気が大切です。消費者庁は、棺の中のドライアイスによる二酸化炭素中毒の死亡事故をもとに注意を呼びかけています。

ドライアイスの量・費用・交換の目安

ドライアイスの量や値段に公的な基準はありません。以下は、2026年10月に複数の葬儀社の公表価格や案内を確かめてまとめた目安です。

項目 目安 補足
1回の量 10kg前後 体格や室温で増減
交換の頻度 1日1回 気温が高いと減りが早い
1回の費用 8,000円〜1万2,000円程度 当てる作業料を含む例が多い
置く場所 棺の中や布団の上 葬儀社の担当者が置く

値段は会社や地域で差があり、1日1万円を超える例もあります。依頼する葬儀社の見積書で、1回あたりの金額を確かめてください。

安置日数ごとの総額の目安

ドライアイスは毎日取り替えるため、費用は安置する日数で決まります。1日1回の交換、1回8,000円〜1万2,000円として計算した目安です。

安置する日数 交換の回数 ドライアイス代の目安
2日 2回 1万6,000円〜2万4,000円
3日 3回 2万4,000円〜3万6,000円
4日 4回 3万2,000円〜4万8,000円
5日 5回 4万円〜6万円
7日 7回 5万6,000円〜8万4,000円

葬儀のプランには、何日分かのドライアイス代が含まれていることが多くあります。公的な例では、川崎市の市民葬儀が「遺体安置(2日分)」を料金に含め、3日目以降の安置料を別にしています。プランに含まれる日数を超えた分が、追加の費用になると考えてください。

ポイント

首都圏では、火葬場の空きを待つあいだに安置の日数が延びがちです。鎌倉新書の「第6回お葬式に関する全国調査(2024年)」では、関東の過半数が火葬まで4日以上かかっていました。見積もりの段階で、延びた場合の1日あたりの追加料金を聞いておくと安心です。

ドライアイスを当てる位置

ドライアイスは、傷みが早く進みやすいお腹のあたりを中心に置きます。顔まわりの変化を抑えるため、首元や顔の横に置くこともあります。実際の置き方は、葬儀社の担当者が体の状態を見て決めます。

  1. お腹のあたりを中心に冷やします。
  2. 顔の上には置きません。顔の横や首元に置くことはあります。
  3. 関節は冷やしすぎないようにします。固まると、着替えや納棺がしにくくなるためです。
  4. 肌に直接当てません。布や綿で包み、凍傷を防ぎます。

注意

ドライアイスはマイナス78.5度と非常に冷たく、素手で触ると凍傷になります。位置を直したいときも、家族が触らずに葬儀社へ連絡してください。

自宅で安置するときの注意

二酸化炭素中毒の事故が起きている

消費者庁と国民生活センターは2023年9月21日、「棺内のドライアイスによる二酸化炭素中毒に注意」を公表しました。消費者庁には、死亡事故の情報が寄せられています。紹介された3つの事例は次のとおりです。

  • 葬儀場で、ドライアイスを敷き詰めた棺の小窓を開けたそばで意識不明で見つかり、搬送先で亡くなった。
  • 葬儀場で、棺の中に顔を入れた状態で見つかり、搬送先で死亡が確認された。
  • 自宅で、棺の中に顔を入れた状態で見つかり、死亡が確認された。

ドライアイスは溶けずに気体の二酸化炭素になります。消費者庁によると、1kgのドライアイスは約500リットルの気体に膨らみます。二酸化炭素は無色・無臭で、空気の約1.5倍の重さがあり、低い所にたまります。

国民生活センターのテストでは、蓋を閉めた棺の中の二酸化炭素は、20分後に30%を超えました。30%は「ほとんど即時に意識消失」するとされる濃度です。4時間後には90%前後になりました。蓋を全部開けても直後は約60%で、約50分たっても30%以上が続きました。

自宅でできる対策

消費者庁が示した注意点に沿って、次のことを守ってください。

  1. 棺の中に顔を入れない。小窓から顔を見るときも、のぞき込まないようにします。
  2. 部屋の換気を十分にする。窓を少し開ける、換気扇を回すなどして空気を入れ替えます。
  3. 線香番などで一人にならない。夜通し付き添う場合も、交代で見守ります。
  4. 気分が悪くなったらすぐ離れる。異常があれば、すぐ119番に電話します。
  5. わからないことは葬儀社に聞く。

令和6年度の厚生労働科学研究では、葬儀場の安置所の二酸化炭素濃度を測っています。平均で5,000ppmを超える所もありました。棺の数や換気の状態で濃度が上がるため、換気に注意が必要とされています。

ポイント

二酸化炭素は低い所にたまります。棺や布団のそばで長く過ごすときや、そばで横になるときは、こまめに換気してください。小さな子どもやペットが近くにいる場合も同じです。

部屋の温度

ドライアイスの減り方は室温で変わります。冷房を使って部屋を涼しく保ち、直射日光や暖房の風が当たらないようにします。暑い時期で自宅での安置が難しいときは、冷蔵設備のある安置施設に移す方法もあります。安置場所の選び方はご遺体の安置場所と日数をご覧ください。

ドライアイス・保冷庫・エンバーミングの違い

ご遺体を保つ方法は、ドライアイスのほかに、保冷庫(冷蔵設備)とエンバーミングがあります。

方法 どんなものか 費用の目安 向いている場合
ドライアイス 棺や布団に置いて冷やす 1回8,000円〜1万2,000円程度 自宅安置、数日の安置
保冷庫での安置 安置施設の冷蔵設備で保管 1日数千円〜1万数千円 火葬まで日数がかかるとき
エンバーミング 防腐や消毒、修復の処置 10万円台〜20万円台前半 長めの安置、遠方の親族を待つとき

保冷庫の料金は施設によって幅があります。公営の例では、東京の臨海斎場の柩保管施設が24時間ごとに3,000円(構成5区の住民)です。葬儀社の安置施設では、冷蔵で1日1万円前後の例が見られます。エンバーミングの費用は、葬儀社などの公表価格を見ると11万円〜22万円程度です。

エンバーミングとは

エンバーミングは、血液を防腐剤に入れ替えるなどして、ご遺体の腐敗を抑え、消毒する処置です。顔色や表情を整える修復も行います。

一般社団法人日本遺体衛生保全協会(IFSA)は、処置について次のような基準を定めています。

  • 本人または家族の署名による同意にもとづいて行う
  • IFSAに認定・登録された技術者が行う
  • 必要最小限の切開をし、処置後に縫合・修復する
  • 海外へ移送する場合を除き、亡くなってから50日を超えて保全しない

IFSAの説明では、処置後10日から2週間程度は安全に保たれます。衛生面の心配が減り、時間を気にせずお別れしやすくなります。一方で費用は高めです。火葬まで1週間以上かかりそうなときなどに、葬儀社と相談して選ぶとよいでしょう。

費用を確かめるときのポイント

  1. プランに含まれる日数を聞く。「ドライアイス◯日分」「安置◯日分」と書かれているか確認します。
  2. 延びた場合の1日あたりの料金を聞く。ドライアイス代と安置施設の使用料が別になっていることがあります。
  3. 見積書の明細を確かめる。国民生活センターは、見積書を受け取り、内容をよく確認するよう呼びかけています。

葬儀全体の費用の目安は葬儀費用の相場と内訳、亡くなった直後の動き方は家族が亡くなったらすることにまとめています。

よくある質問

ドライアイスは何日もちますか?

ドライアイスは溶けずに気体になって減っていくため、1回分はおおむね1日で取り替えるのが基本です。室温が高いと早く減ります。安置が何日も続く場合は、毎日の交換が必要になります。

ドライアイスを自分で買って当ててもよいですか?

おすすめしません。マイナス78.5度と非常に冷たく、素手で触ると凍傷になります。当てる位置や量にも慣れが必要で、二酸化炭素がたまる危険もあるため、葬儀社に任せてください。

ドライアイス代は葬儀のプランに含まれていますか?

多くのプランには、何日分かのドライアイス代が含まれています。ただ、火葬までの日数が延びると、超えた分は追加料金になるのが一般的です。見積書で「何日分含まれているか」を確認してください。

夏はドライアイスの量が増えますか?

室温が高いと減りが早く、量を増やしたり、冷房を強めたりすることがあります。自宅での安置が難しいときは、冷蔵設備のある安置施設に移すこともできます。

棺の小窓を開けて顔を見ても大丈夫ですか?

顔を見ること自体はできますが、棺の中に顔を入れないでください。国民生活センターのテストでは、蓋を開けたあとも棺の中の二酸化炭素は危険な濃度が続きました。部屋を換気し、一人で長く付き添わないようにします。

出典・参考にした資料

  1. 棺内のドライアイスによる二酸化炭素中毒に注意消費者庁(2026-10-07 確認)
  2. 棺内のドライアイスによる二酸化炭素中毒に注意(2023年9月21日)国民生活センター(2026-10-07 確認)
  3. 安置所における室内二酸化炭素とPM2.5濃度に関する実態調査(令和6年度厚生労働科学研究 分担研究報告書)厚生労働科学研究成果データベース(2026-10-07 確認)
  4. エンバーミングの法的解釈(IFSAの基準)一般社団法人日本遺体衛生保全協会(2026-10-07 確認)
  5. エンバーミングとは一般社団法人日本遺体衛生保全協会(2026-10-07 確認)
  6. 市民葬儀(規格の内容と料金)川崎市(2026-10-07 確認)
  7. 第6回お葬式に関する全国調査(2024年)株式会社鎌倉新書(いい葬儀)(2026-10-07 確認)
  8. 利用案内・使用料(柩保管施設)臨海斎場(2026-10-07 確認)
  9. 依然として多い葬儀サービスの料金トラブル-「家族葬だから安い」と思っていませんか?-国民生活センター(2026-10-07 確認)

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