死亡数はいつまで増える?ピークは2040年、将来推計でみる多死社会
この記事の要点
- 中位推計では死亡数のピークは2040年の約166.5万人。2070年でも約152万人が続く。
- 実際の死亡数は2022〜25年に推計を上回った。ピークは前提で2038〜42年と幅がある。
- 75歳以上人口は関東・沖縄で2050年まで増え、北海道・中国・四国は2030年が山。
目次
日本の死亡数は、2040年の約166万5千人をピークに、その後ゆるやかに減っていく見通しです。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が2023年4月に公表した「日本の将来推計人口(令和5年推計)」の中位推計による数字です。
ただし減り方はゆるやかで、2070年でも年間約152万人が亡くなると見込まれています。地方別にみると、75歳以上の人口は北海道・中国・四国で2030年に最も多くなる一方、関東や沖縄では2050年まで増え続けます。この記事では、推計の前提、ピークの年と人数、その後の推移、地方ごとの違い、火葬や葬儀への影響を表でまとめます。
この記事で使う推計の前提
数字を読む前に、推計の性格を押さえておきます。
- 何の推計か: 社人研の「日本の将来推計人口(令和5年推計)」です。2020年の国勢調査をもとに、2070年までの人口や出生・死亡を計算しています。
- 中位推計を使います: 将来の出生と死亡には、それぞれ高め・中くらい・低めの3つの前提が置かれています。この記事の基本の数字は、出生も死亡も中くらいの前提(出生中位・死亡中位)による推計です。
- 外国人を含みます: 推計の死亡数は、日本に住む外国人を含む「総人口」の値です。厚生労働省の人口動態統計(日本に住む日本人)とは範囲が違います。
補足
推計は「この前提が続けばこうなる」という計算で、予言ではありません。社人研の推計は国勢調査の結果をもとに定期的に見直されます。
死亡数の見通し(中位推計)
中位推計の死亡数を5年ごとに並べました。
| 年 | 死亡数(推計) | 人口1,000人あたり |
|---|---|---|
| 2025年 | 約152.5万人 | 12.4 |
| 2030年 | 約159.6万人 | 13.3 |
| 2035年 | 約164.5万人 | 14.1 |
| 2040年 | 約166.5万人 | 14.8 |
| 2045年 | 約164.0万人 | 15.1 |
| 2050年 | 約158.5万人 | 15.1 |
| 2055年 | 約155.3万人 | 15.5 |
| 2060年 | 約156.4万人 | 16.3 |
| 2065年 | 約156.9万人 | 17.1 |
| 2070年 | 約152.1万人 | 17.5 |
ポイントは3つです。
- ピークは2040年の166万5021人です。2025年の推計値より約14万人多くなります。
- ピークのあとも急には減りません。2056年にいったん約155万人まで下がったあと、2063年に約157万人まで小さな山があり、2070年でも約152万人です。
- 死亡率は上がり続けます。人口が減る一方で亡くなる人の数は大きく減らないため、人口1,000人あたりの死亡数は2025年の12.4から2070年には17.5になります。
ピークの年と人数には幅がある
死亡の前提を変えると、ピークの時期と人数が動きます。出生はどれも中位にそろえて比べました。
| 推計 | ピークの年 | ピークの死亡数 |
|---|---|---|
| 死亡高位(長生きが進みにくい) | 2038年 | 約169万8千人 |
| 死亡中位 | 2040年 | 約166万5千人 |
| 死亡低位(長生きが進みやすい) | 2042年 | 約163万6千人 |
どの前提でも、2040年前後に年間160万人台半ばから後半のピークを迎える点は共通しています。
実際の死亡数は推計を上回っている
推計の数字と、厚生労働省の人口動態統計(確定数)の実際の数字を並べました。
| 年 | 推計(中位) | 実際(確定数) |
|---|---|---|
| 2022年 | 1,531,879人 | 1,569,050人 |
| 2023年 | 1,490,493人 | 1,576,016人 |
| 2024年 | 1,507,546人 | 1,605,378人 |
| 2025年 | 1,524,571人 | 1,589,533人 |
実際の数字は日本人だけを数えたもので、外国人を含む推計より範囲が狭いのに、4年続けて推計を上回りました。2024年は約10万人の差です。推計の前提より早いペースで死亡数が増えてきたと読めます。2025年は実際の数字が減ったため、差は約6万5千人に縮まりました。
実際の推移は「日本の死亡数の推移」で、年ごと・月ごとの表にしています。
亡くなる人の8割以上が75歳以上
中位推計で、亡くなる人のうち75歳以上が占める割合を計算しました(表1-12の男女別の数字を合計)。
| 年 | 死亡数 | うち75歳以上 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 2025年 | 約152.5万人 | 約123.5万人 | 81.0% |
| 2040年 | 約166.5万人 | 約141.8万人 | 85.2% |
| 2070年 | 約152.1万人 | 約138.2万人 | 90.8% |
(割合は編集部が計算)
亡くなる人の年齢は今後さらに上がっていきます。
地方ごとの違い:75歳以上の人口はどこで増えるか
社人研は、都道府県別の死亡数の推計を公表していません。代わりに「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」(2023年12月公表)があります。都道府県・市区町村ごとに、年齢別の人口を2050年まで推計したものです。亡くなる人の8割以上は75歳以上なので、ここでは75歳以上の人口の伸びで地方ごとの違いを見ます。
| 地方 | 最も多くなる年 | 2040年 | 2050年 |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 2030年 | 120.2 | 121.6 |
| 東北 | 2035年 | 117.6 | 114.2 |
| 関東 | 2050年 | 124.2 | 145.9 |
| 中部 | 2050年 | 118.1 | 128.6 |
| 近畿 | 2050年 | 116.0 | 130.0 |
| 中国 | 2030年 | 110.9 | 114.1 |
| 四国 | 2030年 | 111.7 | 110.3 |
| 九州 | 2035年 | 121.7 | 120.5 |
| 沖縄 | 2050年 | 159.8 | 179.3 |
| 全国 | 2050年 | 119.7 | 130.8 |
(2020年の75歳以上人口を100とした指数。社人研の結果表の都道府県の値を地方ごとに合計して編集部が計算。三重県は近畿に含めた。「最も多くなる年」は2020〜2050年の5年ごとの値で比べた。推計は2050年まで)
表から読み取れることは3つです。
- 北海道・中国・四国は2030年、東北・九州は2035年が山です。その後は75歳以上の人口も減っていきます。
- 関東・中部・近畿と沖縄は2050年まで増えます。社人研の概要によると、75歳以上の人口は2030年代に多くの都道府県で一度減り、2045〜2050年には39都道府県で再び増えます。とくに大都市圏の増え方が大きく、2050年の関東は2020年の約1.5倍、沖縄は約1.8倍です。
- 都道府県で見ると差はさらに大きくなります。2050年の指数が高いのは沖縄県(179.3)、神奈川県(152.9)、滋賀県(150.2)、東京都(148.6)、埼玉県(147.1)です。2050年に2020年を下回るのは秋田県(94.7)だけです。島根県(100.1)、高知県(101.1)、山口県(101.8)も2020年並みです。
75歳以上の人口が最も多くなる年を、都道府県ごとにも数えました(編集部が確認)。2030年が北海道と13県、2035年が9県、2050年が24都府県です。
補足
75歳以上の人口の伸びは、そのまま死亡数の伸びにはなりません。死亡数は、さらに高い年齢の人の数や、死亡率の前提でも変わります。地域の死亡数の山の時期は、この表から直接はわかりません。
大都市が公表している火葬件数の見通し
いくつかの大都市は、火葬場の計画のために、将来の死亡者数や火葬件数を見積もっています。
| 都市(公表時期) | 何の見通しか | 見通し |
|---|---|---|
| 東京都(2026年6月) | 都全体の死亡者数(現在 約14万人) | 増え続け、2065年ごろに約20万人 |
| 札幌市(2026年3月) | 市の火葬場の火葬件数(2024年度 26,421件) | 2054年度に約32,800件で最大 |
| 福岡市(2025年9月) | 市の葬祭場の火葬件数 | 2045年に年18,563件でピーク |
| 大阪市(2021年6月) | 市立斎場の火葬件数(2019年度 34,493件) | 2040年度に43,896件でピーク |
| 神戸市(2024年見直し) | 市の斎場の火葬件数 | 2030年に16,997件。火葬能力の年21,400件を超えない |
(各市の計画・資料から。推計の方法や時点が違うので、数字どうしは比べられません)
全国の死亡数のピークは2040年ですが、大都市の見通しでは、大阪市は2040年度、福岡市は2045年、札幌市は2054年度に最大となります。東京都は2065年ごろまで増え続ける見通しです。神戸市は2024年に将来の人口の見通しを見直しました。火葬件数が能力を超えないとして、斎場の建て替えを2030年度から2034年度に延ばしています。
いまの都道府県別の死亡数は「日本の死亡数の推移と都道府県別の表」にまとめています。火葬場1か所あたりの死亡数は「47都道府県の火葬場の数と混み具合」をご覧ください。
葬儀・火葬への影響
火葬の件数は死亡数とほぼ同じだけ増える
日本ではほぼすべての遺体が火葬されます。厚生労働省の衛生行政報告例によると、2024年度の火葬(死体)は165万9086件で、土葬(埋葬)は108件でした。死亡数が増えれば、そのまま火葬の件数が増えます。
火葬場の数は減っている
一方で、過去1年以内に使われた火葬場の数は減っています(衛生行政報告例、各年度末)。
| 年度末 | 稼働している火葬場 |
|---|---|
| 2007年度 | 1,679か所 |
| 2015年度 | 1,461か所 |
| 2020年度 | 1,393か所 |
| 2024年度 | 1,350か所 |
国は2025年6月の国会答弁書で「火葬場が全国的に不足しているとは認識していない」としています。不足が問題になっているのは、主に人口の多い都市部です。
東京都の試算:2035年ごろに追いつかなくなる
東京都は2026年6月の「火葬場に係る検討会」で、都内の火葬の需給の試算を示しました。
- 都全体の死亡者数は、現在の約14万人から2065年ごろに約20万人まで増える見通し(都の人口推計から算出)
- 今の火葬場の実績のままなら、2035年ごろには火葬需要の増加に対応することが困難になる
- 今の火葬場をフルに動かしても、火葬の多い1月は2040年ごろに都全体で需給がひっ迫する
全国の死亡数は2040年がピークですが、東京では2065年ごろまで増え続ける見通しです。全国と首都圏では、ピークの時期が違うことに注意が必要です。
家族にとっての影響
火葬場が混み合うと、亡くなってから火葬までの日数が延びます。その間は遺体を安置し、ドライアイスなどで保冷する必要があり、日数に応じて費用もかかります。
- 亡くなったら、まず葬儀社に連絡し、火葬場の空き状況を確認してもらいます。
- 日程が先になりそうなときは、安置場所(自宅・葬儀社の安置施設・斎場の霊安室)と1日あたりの費用を確認します。
- 公営斎場の住民料金が使えるかどうかを、市区町村の窓口か葬儀社に確かめます。
各地の火葬待ちの実態は「火葬待ちは何日?大都市のデータでみる火葬場の混み具合」で解説しています。安置の費用は「ご遺体の安置場所と日数」「ドライアイスの量と費用」をご覧ください。
よくある質問
日本の死亡数のピークはいつですか?
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(令和5年推計)」の中位推計では、2040年の約166万5千人がピークです。死亡の前提を変えた推計では2038年(約169万8千人)から2042年(約163万6千人)までの幅があります。
2040年には何人亡くなる見込みですか?
中位推計では2040年の死亡数は166万5021人です。これは日本に住む外国人を含む数字です。2025年の実際の死亡数(日本人のみ、158万9533人)より約7万5千人多い計算です。
多死社会とは何ですか?
決まった定義はありませんが、高齢化が進んで亡くなる人の数が多い状態が長く続く社会を指して使われます。推計では年間150万人を超える死亡が2070年まで続き、人口1,000人あたりの死亡率は2025年の12.4から2070年の17.5まで上がります。
地域によって高齢者の増え方は違いますか?
違います。社人研の地域別の推計では、75歳以上の人口は北海道・中国・四国で2030年、東北・九州で2035年に最も多くなり、その後は減ります。一方、関東・中部・近畿と沖縄は2050年まで増え、2050年には沖縄県で2020年の約1.8倍、神奈川県で約1.5倍になります。都道府県別の死亡数の推計は公表されていません。
死亡数が増えると葬儀や火葬はどうなりますか?
火葬場の予約が取りにくくなり、亡くなってから火葬までの日数が延びやすくなります。東京都は、今の火葬場の実績のままでは2035年ごろに需要の増加に対応するのが難しくなると試算しています。待つ間の安置の費用も増えるため、早めに葬儀社や自治体の窓口で日程を確認することが大切です。
出典・参考にした資料
- 日本の将来推計人口(令和5年推計)国立社会保障・人口問題研究所(2026-10-07 確認)
- 表1-8 出生、死亡及び自然増加の実数ならびに率(総人口):出生中位(死亡中位)推計国立社会保障・人口問題研究所(2026-10-07 確認)
- 表4-8・表7-8(出生中位・死亡高位/死亡低位推計)国立社会保障・人口問題研究所(2026-10-07 確認)
- 表1-12 男女年齢4区分別死亡数(総人口):出生中位(死亡中位)推計国立社会保障・人口問題研究所(2026-10-07 確認)
- 日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)国立社会保障・人口問題研究所(2026-10-07 確認)
- 日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)概要国立社会保障・人口問題研究所(2026-10-07 確認)
- 結果表2-4 年齢別人口および指数(75歳以上人口)国立社会保障・人口問題研究所(2026-10-07 確認)
- 第2次札幌市火葬場・墓地に関する運営計画(2026年3月)札幌市(2026-10-07 確認)
- 大阪市立斎場整備事業基本構想 概要版(2021年6月)大阪市(2026-10-07 確認)
- 福岡市葬祭場火葬炉等更新・改修事業 要求水準書福岡市(2026-10-07 確認)
- 鵯越斎場建替事業神戸市(2026-10-07 確認)
- 令和7(2025)年人口動態統計(確定数)の概況厚生労働省(2026-10-07 確認)
- 衛生行政報告例 第5表 墓地・火葬場・納骨堂数(各年度)厚生労働省(e-Stat)(2026-10-07 確認)
- 火葬場に係る検討会(第1回)資料2 東京の火葬の現状と将来需給東京都保健医療局(2026-10-07 確認)
- 火葬場の運営等に係る実態調査の結果について(概況)東京都保健医療局(2026-10-07 確認)
- 衆議院議員長友よしひろ君提出火葬場の大規模修繕、建て替え等に対する支援に関する質問に対する答弁書衆議院(2026-10-07 確認)