葬儀のあと

戒名とは 法名・法号との違い、位号の意味、つける時期と費用の考え方

更新 文 みおくり手帖 編集部

この記事の要点

  • 戒名は仏の弟子になった証の名前。浄土真宗では法名、日蓮宗では法号とも呼びます。
  • 今は葬儀のときに菩提寺の住職から授かるのが一般的。本来は生前に授かるものです。
  • 戒名だけの金額の調査は見当たりません。仏教界は「戒名料」という呼び方を避けています。
目次
  1. 戒名とは
  2. 宗派ごとの呼び方と考え方(早見表)
  3. 戒名の組み立てと位号
  4. 授かる時期と頼み方
  5. 費用の考え方(「戒名料」とは言わない)
  6. 生きているうちに授かる(生前戒名)

戒名(かいみょう)は、仏の弟子になった証として授かる名前です。浄土真宗では「法名(ほうみょう)」、日蓮宗では「法号(ほうごう)」とも呼びます。今は、亡くなってから葬儀までの間に、菩提寺(お付き合いのあるお寺)の住職から授かるのが一般的です。

ただし、各宗派は、戒名は本来生きているうちに授かるものだと説明しています。この記事では、宗派ごとの呼び方、戒名の組み立てと位号(いごう)の意味、授かる時期と頼み方、費用の考え方、生前に授かる方法をまとめました。

戒名とは

戒名は、戒(かい=仏教徒が守るべき決まり)を受けて仏門に入った人に与えられる名前です。天台宗は、仏の弟子として戒を守る誓いを立てた人に与えられる名前だと説明しています。キリスト教で洗礼を受けたときの名前に近い、とも述べています。

日本大百科全書によると、もとは「法名」と呼ばれていました。浄土真宗のように受戒の作法をもたない宗派が現れ、区別するために「戒名」という呼び方が広まったとされます。死者の戒名を墓石や位牌に書くことが広く定着したのは、江戸時代ごろからです(山川日本史小辞典)。

天台宗は、死後に戒名を授ける形が庶民に広まった背景として、江戸時代の檀家制度を挙げています。死後の戒名を否定はせず、人生の最期に仏と縁を結ぶ大切な機会だとしています。

宗派ごとの呼び方と考え方(早見表)

各宗派の公式の説明をもとに、編集部がまとめました。

宗派 呼び方 授かる場 公式の説明の要点
天台宗 戒名 葬儀での授戒。生前の受戒も 本来は生前に。葬儀では授戒して戒名を授ける
浄土宗 戒名(誉号を含む) 五重相伝(生前)など 五重相伝で戒名の一つ「譽号」を授かる
臨済宗(妙心寺派) 戒名 授戒会・得度式、葬儀の授戒 死後に与える名前と思われがちだが本来は違う
曹洞宗 戒名 葬儀(仏道入門の儀式) 菩提寺の住職から授かるのが原則
日蓮宗 法号(法名・戒名とも) 葬儀 日蓮聖人の教えを信じる者が授かる名前
浄土真宗(本願寺派・大谷派) 法名 帰敬式(おかみそり) 受戒がないので戒名と言わない。生前に授かるもの

(天台宗・浄土宗・臨済宗妙心寺派・曹洞宗・日蓮宗・浄土真宗本願寺派・真宗大谷派の公式サイトと冊子をもとに作成。2026年10月8日確認)

真言宗については、宗派の公式サイトで戒名の説明を確かめられませんでした。菩提寺に確かめてください。

戒名の組み立てと位号

位牌や墓石に書かれる戒名は、いくつかの部分でできています。辞典の説明をもとに、主な部分をまとめました。

部分 例 意味
院号 ○○院 修行の場を表す。特に身分の高い人などにつけた
戒名(法名) 2字・4字・6字などの漢字 仏の弟子としての名前そのもの
位号 信士・信女、居士・大姉など 性別や年齢、立場を表す

世界大百科事典によると、居士(こじ)・大姉(だいし)・信士(しんじ)・信女(しんにょ)などの位号は、生前に戒を受けて仏道を修行したことを表すものでした。院号は修行の場を表し、自宅を寺に見立てて修行するという意味だったそうです。日本大百科全書は、院号の始まりを足利尊氏の「等持院」としています。

主な位号

日本大百科全書が挙げている位号をまとめました。

対象 位号の例
男性 大居士、居士、禅定門、信男、信士
女性 大姉、禅定尼、信尼、信女
子ども 童子、禅童子、孩児(がいじ)、童女、孩女
特に身分の高い人 院、院殿、寺殿

戒名は住職から授けられるもので、自分で好きな名前をつけるものではありません(曹洞宗)。どの位号になるかも含め、疑問があれば住職に尋ねてください。

補足

浄土真宗の法名は、「釋(釈)」の字に2字を続けた形です(真宗大谷派・浄土真宗本願寺派)。「釋」はお釈迦さまの弟子であることを表します。真宗大谷派は、浄土真宗には僧と俗の区別や、身分や字数による階級の別はないと説明しています。法名の前の院号は、大谷派では本山を支えることに尽くした人への賞典としておくられるものだそうです。

真宗大谷派は2025年1月から、男性は「釋○○」、女性は「釋尼○○」を基本としつつ、本人の願い出によってどちらかを選べるようにしました。理由の説明は求めないとしています。

授かる時期と頼み方

今は、亡くなってから葬儀までの間に、菩提寺の住職から授かるのが一般的です。曹洞宗は、葬儀を仏の弟子になる入門の儀式と位置づけ、そのときに戒名を授かると説明しています。

  1. 亡くなったら、まず菩提寺に連絡する。日蓮宗は、菩提寺が遠くても、まず連絡するのが望ましいとしています。住職から、住まいの近くの寺を紹介してもらえることもあります。
  2. 葬儀の日程と形を相談する。家族葬や一日葬にする場合も、そのことを伝えます。
  3. 授かった戒名の字を確かめる。白木の位牌に書かれた字を写真に撮っておくと、本位牌や墓石に彫るときに役立ちます。

位牌の作り方は位牌とはにまとめています。

菩提寺以外の僧侶に頼むとき

葬儀社に紹介された僧侶に戒名を授けてもらうこともあります。ただ、菩提寺の墓に納骨する予定があるなら注意が必要です。曹洞宗は、戒名は菩提寺の住職から授かるのが原則だとしています。菩提寺に知らせずに葬儀を済ませた例では、場合によっては葬儀をやり直し、戒名を授け直す必要があるとしています。

日蓮宗も、葬儀社によっては、日蓮宗ではない僧侶を日蓮宗の僧侶として紹介する悪質な例があると注意を呼びかけています。公営の霊園や共同墓地に納める場合は、所定の手続きで納骨できると曹洞宗は説明しています。

注意

菩提寺に知らせずに別の僧侶から戒名を授かると、菩提寺の墓に納骨するときに、葬儀や戒名のやり直しを求められることがあります(曹洞宗)。菩提寺がある家は、葬儀を頼む前に連絡してください。

費用の考え方(「戒名料」とは言わない)

戒名を授かったときのお礼は、お布施として包みます。全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)は、お布施の表書きを「戒名料」とはしないとしています。天台宗は、戒名の御礼の表書きの例として「御布施」「法名御礼」「御戒名御礼」を挙げています。

日蓮宗の現代宗教研究所の論考によると、全日本仏教会は2000年1月に、「戒名(法名)料」という言い方は今後用いないと表明しました。僧侶や寺院が受ける金品はすべてお布施であり、戒名は売買の対象ではない、という考えです。

調査で見る金額

戒名だけの金額を調べた、調査元のはっきりした公表調査は見当たりませんでした。位号ごとの「相場」も、確かめられる数字がないため載せていません。参考になる数字は、戒名を含むお布施全体のものです。

調査 結果
日本消費者協会「葬儀についてのアンケート調査」(第11回) 寺院へのお布施(読経・戒名など)の全国平均47.3万円
鎌倉新書「第6回お葬式に関する全国調査(2024年)」 葬儀のお布施の平均22.9万円(何を含むかの説明はない)

(日本消費者協会の数字は、全日本葬祭業協同組合連合会が2017年に内閣府の消費者委員会の会合に出した資料によります)

金額は、地域、お寺、位号によって大きく違います。迷ったら、菩提寺に直接尋ねてかまいません。地方別の平均や包み方はお布施の相場と渡し方にまとめています。

生きているうちに授かる(生前戒名)

各宗派は、戒名は本来生前に授かるものだと説明しています。天台宗は、できれば生きているうちに受戒し、仏の弟子として暮らしてほしいとしています。

宗派 生前に授かる場 公式に示されている費用
浄土宗 五重相伝会(ごじゅうそうでんえ) ―
天台宗・臨済宗など 授戒会、菩提寺での受戒 ―
浄土真宗本願寺派 本山などでの帰敬式 冥加金 成人1万円、未成年5千円
真宗大谷派 真宗本廟(東本願寺)・別院・寺での帰敬式 真宗本廟では礼金 18歳以上1万円、18歳未満5千円

(浄土宗・天台宗・臨済宗妙心寺派・浄土真宗本願寺派・真宗大谷派の公式サイトと規程をもとに作成。2026年10月8日確認。「―」は公式の説明で確かめられなかった項目)

真宗大谷派の真宗本廟では、帰敬式を基本的に毎日、午前と午後に行っています。当日の申し込みもでき、その場合は本山が選んだ法名を授かります。住職に選んでもらう法名を希望する場合は、1か月以上前に手続きが必要です。浄土真宗本願寺派は、本人が希望する法名を授かる場合は、冥加金とは別に懇志を納めるとしています。

注意

天台宗は、生前戒名を勧める団体があると注意を促しています。「長生きできる」「高額な戒名料を払わなくてよい」「どの宗派の戒名でもつける」などとうたうものです。生前に授かるなら、まず菩提寺か、宗派の寺に相談してください。

葬儀や法要の全体の費用は葬儀費用の相場を、戒名を記す仏壇については仏壇の選び方をご覧ください。

よくある質問

戒名と法名はどう違いますか?

戒名は、戒(守るべき決まり)を受けて仏の弟子になった人の名前です。浄土真宗には受戒の作法がないため、「法名」と呼びます。日蓮宗では「法号」と呼び、法名や戒名ともいうと説明しています。

戒名はいつつけてもらいますか?

今は、亡くなってから葬儀までの間に、菩提寺の住職から授かるのが一般的です。各宗派は、本来は生きている間に授かるものだと説明しています。菩提寺がある場合は、亡くなったらまず菩提寺に連絡します。

戒名料の相場はいくらですか?

戒名だけの金額を調べた、調査元のはっきりした公表調査は見当たりませんでした。全日本仏教会は、戒名は売買の対象ではないとして「戒名料」という呼び方を用いないと表明しています。戒名へのお礼は、お布施として包みます。

葬儀社に紹介された僧侶に戒名をつけてもらっても大丈夫ですか?

菩提寺の墓に納骨する予定なら、先に菩提寺に連絡するのが安全です。曹洞宗は、戒名は菩提寺の住職から授かるのが原則で、場合によっては葬儀をやり直して戒名を授け直すこともあるとしています。

生きているうちに戒名をもらえますか?

もらえます。各宗派は、本来は生前に授かるものだとしています。浄土真宗では帰敬式(おかみそり)で法名を授かり、真宗大谷派の真宗本廟では18歳以上は1万円の礼金で受けられます。ほかの宗派は菩提寺に相談してください。

出典・参考にした資料

  1. 戒名(デジタル大辞泉・日本国語大辞典・日本大百科全書・世界大百科事典ほか)コトバンク(2026-10-08 確認)
  2. Q&A(戒名とはどういうものでしょうか)天台宗(2026-10-08 確認)
  3. 仏事についてのQ&A(お葬式について)日蓮宗(2026-10-08 確認)
  4. よくあるご質問(五重相伝会)浄土宗(2026-10-08 確認)
  5. 臨済宗の仏事(オンライン版)臨済宗妙心寺派(2026-10-08 確認)
  6. もしものときは菩提寺へ曹洞宗(2026-10-08 確認)
  7. よくあるご質問(法名とは)浄土真宗本願寺派(2026-10-08 確認)
  8. 帰敬式冥加金等に関する条例浄土真宗本願寺派(2026-10-08 確認)
  9. 葬儀・法事・お墓のこと(法名と戒名)真宗大谷派(2026-10-08 確認)
  10. 法名をいただく(帰敬式)真宗大谷派(2026-10-08 確認)
  11. 真宗本廟での受式(帰敬式)真宗大谷派(2026-10-08 確認)
  12. 法名の取り扱いの変更について真宗大谷派(2026-10-08 確認)
  13. 葬儀を考える─布施について日蓮宗 現代宗教研究所(2026-10-08 確認)
  14. お葬式のマナー:葬儀後の引き継ぎと支払いは?一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-08 確認)
  15. 葬儀業界の現状(第37回消費者契約法専門調査会 資料5-1)内閣府 消費者委員会(全日本葬祭業協同組合連合会 提出)(2026-10-08 確認)

制度や料金は変わることがあります。編集方針/誤りに気づいたらお知らせください。

あわせて読みたい

葬儀のあとの記事

葬儀のあとをすべて見る