葬儀の費用と形式

無宗教葬(自由葬)とは 流れの例と、菩提寺・納骨・戒名なしで気をつけること

更新 文 みおくり手帖 編集部

この記事の要点

  • 無宗教葬は宗教者を呼ばず、献花・黙とう・音楽・お別れの言葉で送る葬儀です。
  • 菩提寺の墓に納骨するなら先に相談を。葬儀や戒名のやり直しを求められることがあります。
  • 無償の生演奏や録音の再生は、営利でなく料金も取らなければ著作権法38条の範囲です。
目次
  1. 無宗教葬とは 仏式との違い
  2. 告別式の流れ(例)
  3. 宗教者を呼ばないときに確かめること
  4. 音楽葬にするとき
  5. お別れの言葉と、あいさつの例
  6. 参列する人へ
  7. 費用の考え方

無宗教葬(むしゅうきょうそう)は、僧侶や神職などの宗教者を呼ばず、特定の宗教の儀式をしない葬儀です。「自由葬」とも呼ばれます。通夜・告別式・火葬という大きな流れは一般の葬儀と同じで、読経や焼香の代わりに、黙とう、献花、音楽、お別れの言葉で故人を送ります。

気をつけたいのは、菩提寺(先祖のお墓があるお寺)がある場合です。お寺の墓地に納骨するとき、葬儀や戒名のやり直しを求められることがあります。この記事では、流れの例、仏式との違い、納骨先ごとの注意、戒名なしの場合、音楽葬と著作権、お別れの言葉の例をまとめます。

無宗教葬とは 仏式との違い

辞書(デジタル大辞泉)は自由葬を、特定の宗教や慣習の形式によらず、本人や遺族の希望に沿って営む葬式と説明しています。例として、音楽が流れるなかで参列者が別れを告げる式を挙げています。

項目 仏式の場合 無宗教葬の例
式の中心 僧侶の読経 故人の紹介、お別れの言葉
参列者の拝礼 焼香 献花、黙とう
戒名 お寺から授かる つけない(生前の名前のまま)
宗教者へのお礼 お布施 なし
祭壇 白木や生花の祭壇 花祭壇、写真や愛用品
その後の集まり 初七日・四十九日などの法要 決まりはない

(全日本冠婚葬祭互助協会「無宗教葬と密葬の進め方は?」などをもとに編集部作成)

全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)は、無宗教葬には宗教的な儀式やしきたりがなく、式次第や演出は遺族の自由な発想に任されていると説明しています。

告別式の流れ(例)

全互協が示す式次第の例を参考に、よく組まれる順番をまとめました。

  1. 開式:司会が開式を告げます。司会は葬儀社のスタッフや、家族・友人が務めます。
  2. 黙とう:参列者全員で故人をしのびます。
  3. 故人の歩みの紹介:経歴や人柄を、写真や映像を使って紹介します。
  4. お別れの言葉・弔電:友人などがお別れの言葉(弔辞)を述べ、弔電を読み上げます。
  5. 献花:音楽を流しながら、参列者が一人ずつ花を手向けます。
  6. 遺族代表のあいさつ
  7. 閉式・最後のお別れ:棺に花を入れ、出棺します。
  8. 火葬・会食:火葬のあと、茶話会や会食をすることがあります。

通夜も、同じように黙とうや献花を中心に組めます。宗教の儀式がないぶん、どこに時間を使うかを家族で決められます。献花のしかたは焼香のやり方と回数の献花の項で説明しています。

宗教者を呼ばないときに確かめること

菩提寺がある場合

曹洞宗は、葬儀を仏の弟子になる儀式と位置づけています。菩提寺の住職による葬儀と戒名があれば、お墓に問題なく入れると説明しています。一方、菩提寺に知らせずに葬儀を済ませた例では、葬儀をやり直し、戒名を授け直す必要が出る場合もあるとしています。全互協も、菩提寺以外で戒名をつけると、納骨のときに断られることがあると注意しています。

宗派の中には、葬儀は亡くなった人のために行うものなので必要だ、と説明しているところもあります(日蓮宗)。菩提寺がある家は、無宗教葬にしたい理由を伝えて、先に相談してください。

  1. 菩提寺に連絡する:故人の遺志で無宗教葬にしたいことを伝えます。
  2. 納骨できるかを確かめる:お寺の墓地に入れるか、条件があるかを聞きます。
  3. 家族で決める:お寺の考えを聞いたうえで、形式と納骨先を決めます。

納骨先ごとの注意

納骨先 戒名や宗教儀式 確かめる相手
お寺の境内の墓地 お寺の考えによる。檀家であることが条件のことも 住職
自治体の霊園・共同墓地 所定の手続きで納骨できるとされる 霊園の管理事務所
宗教法人名義の民営霊園 霊園の規則による 霊園の管理者
納骨堂・樹木葬など 施設の規則による 施設の管理者

(曹洞宗「もしものときは菩提寺へ」の墓地の分類と説明をもとに編集部作成)

法律(墓地、埋葬等に関する法律14条)が求めているのは、墓地の管理者が火葬許可証などを受け取ってから納骨させることです。戒名や宗教の儀式についての定めはありません。宗教に関わる条件は、それぞれの墓地の規則で決まります。納骨の手順は納骨の時期と手続きで説明しています。

戒名をつけない場合

戒名をつけることを義務づける法律はありません。死亡届も火葬許可も、生前の名前(俗名)で手続きします。位牌や墓石には俗名を刻むことができ、位牌を作らずに写真を飾る家もあります。

あとから戒名がほしくなった場合は、お寺に相談します。曹洞宗は、戒名は住職から授かるもので、自分で好きな名前をつけるものではないとしています。戒名の考え方は戒名とはで説明しています。宗教団体の中にも、創価学会の友人葬のように戒名をつけない葬儀があります(友人葬とは)。

親族への伝え方

全互協は、喪主が無宗教葬を選ぶときの壁は周りの反対だとしています。訃報や案内に「故人の遺志により、宗教によらない形で見送ります」と書いておくと、理解を得やすくなります。香典や供物を辞退する場合も、同じ案内に書いておきます。

音楽葬にするとき

音楽を中心にした無宗教葬は「音楽葬」とも呼ばれます。故人が好きだった曲を、入場、献花、出棺などの場面に合わせて流します。友人の生演奏を頼むこともあります。

気をつけたいのが著作権です。著作権法38条1項は、営利を目的とせず、聞く人から料金を取らず、演奏者に報酬を払わない場合は、許可なく演奏できると定めています。CDなどの録音を再生することも「演奏」に含まれます(同法2条7項)。

場面 著作権法38条1項との関係
友人が無償で演奏し、参列者から料金は取らない 条件を満たす
録音した曲を流す(料金は取らない) 条件を満たす
演奏者に報酬を払う 対象外になる
式のようすをインターネットで配信する 対象外(配信は公衆送信として別に扱われる)

(著作権法の条文から編集部作成。個別の判断ではありません)

対象外のときは、手続きが必要になることがあります。式場が流すBGMは式場が手続きしている場合もあるので、使いたい曲が決まったら式場に相談してください。

お別れの言葉と、あいさつの例

全互協は、「冥福」「供養」「成仏」「追善」は仏教の言葉だとしています。宗教によらない式では、宗教の色のない言葉で故人に語りかけると自然です。

友人代表のお別れの言葉(例)

〇〇さん、市民合唱団の練習室で初めて声をかけてくれた日のことを、今もよく覚えています。音程が外れて落ち込む私に「大きな声が出れば十分」と笑ってくれましたね。三十年、同じ列に並んで歌ってきました。次の演奏会にあなたの声がないことが、まだ信じられません。今日は団員みんなで、あなたが好きだった曲を歌います。本当にありがとう。どうか安らかに。

遺族代表のあいさつ(例)

本日はお忙しいなか、父〇〇のためにお集まりいただき、ありがとうございました。父の生前の希望により、宗教によらない形で送らせていただきました。好きだった音楽に包まれて、父も喜んでいると思います。生前に賜りましたご厚情に、心より御礼申し上げます。

あいさつの組み立て方は喪主の挨拶の例文、場面ごとの言葉はお悔やみの言葉の例文を参考にしてください。

参列する人へ

  • 香典:全互協によると、無宗教葬では香典や供物を辞退したり、寄付に回したりすることも多いとされます。案内に辞退とあれば持参しません。持参するときの表書きは、全互協がどの宗教・宗派にも使えるとしている「御霊前」にします。
  • 服装:特に案内がなければ、一般の葬儀と同じ喪服で参列します。「平服で」とあれば、地味な色の服にします。
  • 拝礼:献花の場合は、係の案内に従って花を手向け、黙とうします。焼香台が用意されていれば、焼香してもかまいません。

費用の考え方

宗教者へのお布施はかかりませんが、式場、祭壇、棺、火葬料などは一般の葬儀と同じようにかかります。音楽の演奏を頼むなら演奏者へのお礼、映像を作るならその費用が加わります。見積書の明細で、何が含まれているかを確かめてください。葬儀全体の費用は葬儀費用の相場と内訳、形式ごとの違いは家族葬・一般葬・一日葬・直葬の違いで説明しています。

よくある質問

無宗教葬にすると、お墓に納骨できないことはありますか?

お寺の墓地(菩提寺)に納骨する場合は、断られたり、葬儀や戒名のやり直しを求められたりすることがあります。曹洞宗は、共同墓地や霊園なら所定の手続きで納骨できると説明しています。法律上、納骨に必要なのは火葬許可証(埋葬許可証)です。

戒名をつけなくても問題ありませんか?

戒名をつけることを義務づける法律はありません。死亡届も火葬も俗名(生前の名前)で行います。ただ、お寺の墓地に納骨する予定があるなら、戒名が必要かどうかを先にお寺に確かめてください。

無宗教葬に香典は持っていきますか?

案内に従います。全日本冠婚葬祭互助協会によると、無宗教葬では香典や供物を辞退したり、寄付に回したりすることも多いとされます。辞退の案内がなければ持参し、表書きは宗教を問わず使えるとされる「御霊前」にします。

無宗教葬の弔辞で避ける言葉はありますか?

「冥福」「供養」「成仏」「追善」などは仏教の言葉です。宗教によらない式では、「安らかに」「ありがとう」など、宗教の色のない言葉で故人に語りかけると自然です。

葬儀で音楽を流すのに許可は必要ですか?

著作権法38条では、営利を目的とせず、聞く人から料金を取らず、演奏者に報酬を払わない場合は、許可なく演奏できます。録音の再生も演奏に含まれます。演奏者に謝礼を払う場合や、式をネットで配信する場合は範囲外になることがあるので、式場に確かめてください。

出典・参考にした資料

  1. 自由葬(デジタル大辞泉)コトバンク(小学館)(2026-10-08 確認)
  2. お葬式のマナー:無宗教葬と密葬の進め方は?一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-08 確認)
  3. お葬式のマナー:菩提寺(檀那寺)に早めに連絡一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-08 確認)
  4. お葬式のマナー:通夜に出席するときは?(仏教用語に注意)一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-08 確認)
  5. お葬式のマナー(Q&A:御霊前と御仏前)一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-08 確認)
  6. もしものときは菩提寺へ曹洞宗(2026-10-08 確認)
  7. 仏事についてのQ&A(お葬式について)日蓮宗(2026-10-08 確認)
  8. 墓地、埋葬等に関する法律(第14条)e-Gov法令検索(2026-10-08 確認)
  9. 著作権法(第2条第7項・第38条)e-Gov法令検索(2026-10-08 確認)

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