亡くなってから葬儀まで

喪主の挨拶と例文 通夜・出棺・精進落とし・法要の場面別と喪主の役目

更新 文 みおくり手帖 編集部

この記事の要点

  • 挨拶は「来てくれたお礼」「生前のお礼」「これからのお願い」の3つで足ります。
  • 主な場面は通夜の終わり、出棺、精進落とし、四十九日などの法要です。
  • 喪主に法律の決まりはなく、配偶者か子が務めることが多いとされます。
目次
  1. 喪主とは
  2. 挨拶をする場面の早見表
  3. 挨拶の組み立て方
  4. 場面別の例文
  5. 避けたい言葉と言い換え
  6. 地域で違うこと
  7. 挨拶以外で喪主がかける言葉

喪主の挨拶は、参列へのお礼、故人が生前お世話になったことへのお礼、これからのお願いの3つを短く伝えれば十分です。話す場面は主に、通夜の終わり、告別式の終わり(出棺のとき)、精進落としの始めと終わり、四十九日などの法要です。上手に話す必要はなく、紙を見ながら読んでもかまいません。

この記事では、場面ごとの早見表、話す順番、編集部が作った例文、避けたい言葉の言い換えをまとめました。前半では、喪主とはどんな役目か、施主とどう違うかも説明します。

喪主とは

喪主(もしゅ)は、遺族を代表して葬儀を執り行う人です。辞書では「葬式を執り行う当主」と説明されています。全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)の案内では、葬儀の最高責任者で、弔問を受ける中心になる人とされています。

誰が喪主になるか

喪主を誰にするかを定めた法律はありません。全互協は、故人と最も縁の深い人がなるのが原則で、普通は配偶者、いなければ子がなると説明しています。配偶者が高齢だったり、体調がすぐれなかったりして、子が務めることもあります。家族で話し合って決めます。

施主・祭祀承継者との違い

呼び方 どんな役目か 決まり方
喪主 遺族の代表として葬儀を執り行い、弔問を受ける 慣習(法律の定めはない)
施主 葬儀や法事の費用を出し、運営に責任を持つ 慣習。一般の葬儀では喪主が兼ねる
祭祀承継者 お墓・仏壇・系譜(家系図)などを受け継ぐ 民法第897条

全互協によると、会社が営む社葬では、会社が施主になり、遺族が喪主になります。法事の案内状などでは、法要を営む人を「施主」と呼ぶことが多くあります。

祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)は、民法で決まる立場です。故人が指定した人がいればその人が、いなければ慣習に従って決まる人が、お墓などを受け継ぎます。慣習がはっきりしないときは、家庭裁判所が決めます(民法第897条)。喪主を務めた人が、そのまま祭祀承継者になるとは限りません。

喪主が主にすること

  1. 葬儀の方針を決める:葬儀社と、形式・日程・会場・費用を相談します。菩提寺(先祖のお墓があるお寺)があれば、先に連絡します。
  2. 弔問を受ける:通夜と葬儀のあいだは、なるべく故人のそばにいて、お悔やみを受けます。
  3. 挨拶をする:通夜・告別式・精進落としで、参列のお礼を述べます。
  4. 葬儀のあとのこと:お世話になった人へのお礼、葬儀社への支払い、香典返し、四十九日の法要の準備などです。

受付や会計は、親族・知人や葬儀社に任せるのが一般的です。全互協も、喪主の第一の役目は弔問を受けることだとして、運営は世話役(手伝いの取りまとめ役)に頼む場合があると説明しています。全体の流れはお通夜・葬儀・告別式の流れをご覧ください。

挨拶をする場面の早見表

場面 いつ・誰に 伝えること
通夜の終わり 僧侶の退場後、弔問客に 弔問のお礼、生前のお礼、食事の案内、翌日の時刻
通夜ぶるまいの終わり 予定の時刻に、残っている人に お礼と、お開きにすること
告別式の終わり(出棺) 棺を霊柩車に納めたあと、会葬者に 会葬と見送りのお礼、生前のお礼、今後のお願い
精進落としの始め 火葬・初七日法要のあと、親族や手伝いの人に 葬儀を終えたお礼、手伝ってくれた人へのお礼
精進落としの終わり 会食の終わりに お礼、四十九日などの予定
四十九日などの法要 読経のあとや会食の前に、親族・知人に 参列のお礼、近況、会食や納骨の案内

全互協の案内では、通夜の喪主挨拶は僧侶が退室したあとに行い、弔問のお礼と、故人が生前お世話になったことへの感謝を述べるとされています。出棺の挨拶は、棺を霊柩車に運び入れたあと、喪主か遺族の代表が行います。地域によっては、通夜ぶるまい(通夜のあとの食事)をしないこともあります。

精進落としは、葬儀のあとに、僧侶や手伝ってくれた人をねぎらう食事の席です。全互協によると、本来は四十九日の忌明けのあとの最初の食事を指しましたが、今は葬儀の当日に行うことがほとんどです。

挨拶の組み立て方

どの場面も、次の順で組み立てると話しやすくなります。

  1. 名乗る:「長男の〇〇です」のように、故人との関係を言います。司会が紹介してくれたときは省けます。
  2. 来てくれたお礼:参列や手伝いへのお礼です。
  3. 故人のことを少し:最期の様子や、人柄が伝わる思い出を1つだけ。話したくなければ省いてかまいません。
  4. 生前のお礼:故人がお世話になったことへのお礼です。
  5. お願いと案内:これからも家族と付き合ってほしいというお願いや、食事の席、翌日の時刻の案内です。
  6. 結び:もう一度お礼を言って終えます。

亡くなった原因や闘病の様子は、話したい範囲だけでかまいません。言葉に詰まったら、少し間をおいてから続ければ十分です。読み上げる紙は、二つ折りにして手に持つと目立ちません。

ポイント

挨拶は短くてかまいません。この記事の例文は、通夜と出棺が240字前後、精進落としの始めが190字ほど、終わりが90字ほどです。出棺のときは、参列者が屋外で立って待っていることもあるので、短めにします。前の晩に一度声に出して読み、時間を計っておくと落ち着いて話せます。

場面別の例文

例文は編集部が作りました。名前・年齢・思い出の部分は、ご自身の言葉に置き換えてください。

通夜の終わり(父を見送る長男)

長男の〇〇でございます。本日はお忙しいなか、父〇〇の通夜にお越しいただき、ありがとうございました。
父は〇日の明け方、家族に見守られて息を引き取りました。八十六歳でした。
釣りが好きで、この中にも、一緒に海へ出てくださった方がいらっしゃると思います。長いあいだ親しくしていただき、ありがとうございました。
別室に、ささやかですがお食事を用意しております。お時間の許す方は、父の話を聞かせてください。
明日の葬儀・告別式は、午前十時からこちらで行います。本日はありがとうございました。

通夜ぶるまいの終わり

皆さま、今夜は遅くまでありがとうございました。おかげさまで、無事に通夜を終えることができました。
まだお話は尽きませんが、明日もございますので、このあたりでお開きにさせていただきます。
どうぞお気をつけてお帰りください。

全互協の案内では、通夜ぶるまいが終わっても喪主は見送りに出ず、座ったまま挨拶するか、目礼で見送るのが慣習とされています。

告別式の終わり・出棺(母を見送る長女)

喪主を務めます、長女の〇〇でございます。家族を代表して、ひと言お礼を申し上げます。
本日は、母〇〇の葬儀にお集まりいただき、最後のお見送りまでしてくださいまして、ありがとうございました。
母は花を育てるのが好きで、季節ごとに咲いた花を、近所の皆さまにお分けするのを楽しみにしておりました。
そうしたお付き合いに支えられた、幸せな一生だったと思います。生前のご厚情に、心からお礼を申し上げます。
残された私たちにも、これまでと変わらずお付き合いいただければ幸いです。本日は、ありがとうございました。

精進落としの始め(夫を見送った妻)

皆さま、通夜から今日まで、本当にありがとうございました。おかげさまで、夫〇〇の葬儀を無事に終えることができました。
突然のことで、私は何をしたらよいのかわからず、皆さまに助けていただくばかりでした。
特に〇〇さんには、受付から会計まで引き受けていただき、感謝の言葉もありません。
ささやかではございますが、お食事を用意しました。夫の思い出話などしながら、ゆっくりお過ごしください。

このあと、親族の年長者などに献杯(けんぱい=故人をしのんで杯を捧げること)の発声をお願いすることがあります。全互協の案内では、僧侶に献杯の音頭をお願いする例が紹介されています。

精進落としの終わり

皆さま、本日は長い時間、ありがとうございました。そろそろお開きにさせていただきます。
四十九日の法要の日取りは、決まりしだいお知らせいたします。
どうぞお気をつけてお帰りください。

四十九日の法要(施主として)

本日はお忙しいなか、母〇〇の四十九日の法要にお集まりいただき、ありがとうございました。
葬儀のあとは慌ただしく過ごしてまいりましたが、今日を迎えて、ようやく少し落ち着いた気がしております。
このあと、〇〇でお食事を用意しております。母の思い出を、ひとつでも多く聞かせていただければうれしく思います。
本日は、ありがとうございました。

法要の準備や当日の流れは、四十九日法要の準備と当日の流れにまとめています。

家族だけの葬儀のとき

参列者が家族と親しい親族だけなら、改まった言葉でなくてかまいません。

今日は集まってくれて、ありがとう。父も、みんなの顔がそろって喜んでいると思います。
このあとの食事のときに、父の話をたくさん聞かせてください。

代わりの人が話すとき

喪主が高齢だったり、気持ちが落ち着かなかったりするときは、親族の代表に代わってもらえます。

喪主に代わりまして、故人の弟の〇〇がご挨拶申し上げます。(以下は出棺の例文と同じ流れで)

避けたい言葉と言い換え

お悔やみの場では、不幸が重なることを連想させる「重ね言葉」などを使わないのが一般的です。全互協が挙げる例と、宗教ごとの注意をまとめました。

避けたい言葉 理由 言い換えの例
重ね重ね、たびたび、返す返す、ますます、再三 不幸が重なることを連想させる 「心より」「深く」「改めて」
苦しむ、浮かばれない、迷う 不幸を連想させる 「つらい日もありましたが」は「大変な時期もありましたが」
死ぬ、生きていたころ 直接的すぎる 「亡くなる」「息を引き取る」「生前」「元気なころ」
冥福、成仏、供養 仏教の言葉なので、神式・キリスト教式では使わない 「安らかな眠りを」など
冥福、霊前 浄土真宗では使わない(真宗大谷派の案内) 「生前のご厚情に感謝します」など

全互協の案内では、キリスト教式の葬儀で遺族に「ご愁傷さま」は使わないとされています。喪主の挨拶でも、葬儀の宗教に合わせた言葉を選ぶと安心です。迷ったら、宗教の言葉を使わずに、お礼と故人の思い出だけで組み立てれば失礼になりません。

補足

真宗大谷派は、亡くなった人は浄土に還り仏となると教えるため、「冥福」(冥土での幸福)を祈る言葉はふさわしくないと説明しています。「草葉の陰から見守って」なども同じ理由で使いません。

地域で違うこと

葬儀の流れが地域で違うと、挨拶の場面も変わります。

  • 先に火葬をする地域(前火葬・骨葬):東北の青森・岩手・秋田や、熊本県などには、通夜のあとに火葬をして、遺骨で葬儀・告別式をする地域があります。国立歴史民俗博物館の研究報告(2015年)によると、こうした地域では葬儀の当日に納骨までする例が多いとされます。出棺は火葬の前になり、会葬者へのお礼は告別式や納骨のあとに述べる形になります。
  • 通夜ぶるまいの有無:全互協は、通夜ぶるまいをしない地域もあるとしています。その場合は、通夜の挨拶で食事の案内は入れません。
  • 精進落としの時期と呼び方:葬儀の当日に行うことが多い一方、四十九日の法要のあとに行う家もあります。

地域ごとの違いは地域で違う葬儀のしきたりで地方別にまとめています。挨拶のタイミングは、当日の進行を決める葬儀社の担当者に確かめておくと安心です。

挨拶以外で喪主がかける言葉

弔問客からお悔やみを言われたときは、長く話す必要はありません。「ありがとうございます」「恐れ入ります」「生前はお世話になりました」と短く返し、軽く頭を下げれば十分です。全互協の案内では、通夜のときに遺族が弔問客を出迎えたり見送ったりしないのが慣習とされています。

弔問する側の言葉はお悔やみの言葉の例文に、喪主や遺族の服装は葬儀・通夜・法事の服装にまとめています。

よくある質問

喪主の挨拶は紙を見ながら読んでもいいですか?

かまいません。悲しみの中で話すので、言葉に詰まるのは自然なことです。便箋やメモに書いて、二つ折りにして手に持てば目立ちません。暗記するより、ゆっくり読むほうが聞く人にも伝わります。

喪主の挨拶はどのくらいの長さがいいですか?

短くてかまいません。この記事の例文は、通夜や出棺のもので240字前後、精進落としの締めで90字ほどです。特に出棺のときは、参列者が屋外で立って待っていることがあるので、短めにまとめます。声に出して読み、時間を計っておくと安心です。

喪主とは誰がなるものですか?

法律の決まりはありません。全日本冠婚葬祭互助協会は、故人と最も縁の深い人がなるのが原則で、普通は配偶者、配偶者がいなければ子がなると説明しています。配偶者が高齢などの事情で、子が務めることもあります。家族で話し合って決めます。

喪主が挨拶できないときはどうすればいいですか?

親族の代表や、世話役の代表に代わってもらえます。全日本冠婚葬祭互助協会の案内でも、出棺の挨拶は喪主か遺族の代表、通夜ぶるまいの締めは喪主か世話役代表が行うとされています。代わりの人は「喪主に代わりまして」と最初に添えます。

喪主と施主の違いは何ですか?

喪主は遺族を代表して葬儀を執り行う人、施主は葬儀や法事の費用を出して運営に責任を持つ人です。一般の葬儀では同じ人が兼ねます。会社が営む社葬では、会社が施主になり、遺族が喪主になります。

出典・参考にした資料

  1. お葬式のマナー:葬儀の方針を決める(喪主はだれか)一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-07 確認)
  2. お葬式のマナー:喪主と施主のちがいは一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-07 確認)
  3. お葬式のマナー:通夜の進行は?(喪主挨拶)一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-07 確認)
  4. お葬式のマナー:通夜ぶるまいの進めかたは?一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-07 確認)
  5. お葬式のマナー:出棺と挨拶、骨揚げ一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-07 確認)
  6. お葬式のマナー:精進落としは遺族は末席に一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-07 確認)
  7. お葬式のマナー:お悔やみの言葉は何と言えばいいですか?(忌み言葉)一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-07 確認)
  8. お葬式のマナー:通夜に出席するときは?(仏教用語に注意)一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-07 確認)
  9. お葬式のマナー:キリスト教式のマナーは?一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-07 確認)
  10. 葬儀・法事・お墓のこと(弔電・弔辞、通夜・葬儀)真宗大谷派(2026-10-07 確認)
  11. 民法(第897条 祭祀に関する権利の承継)e-Gov法令検索(2026-10-07 確認)
  12. 喪主(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典)コトバンク(小学館)(2026-10-07 確認)
  13. 献杯(デジタル大辞泉)コトバンク(小学館)(2026-10-07 確認)
  14. 火葬化とその意味:「遺骸葬」と「遺骨葬」:納骨施設の必須化(関沢まゆみ、国立歴史民俗博物館研究報告 第191集、2015年)国立歴史民俗博物館(2026-10-07 確認)

制度や料金は変わることがあります。編集方針/誤りに気づいたらお知らせください。

あわせて読みたい

亡くなってから葬儀までの記事

亡くなってから葬儀までをすべて見る