葬儀社の選び方 見積もりの見方、互助会の仕組みと解約、比べるときのチェック表
この記事の要点
- 見積書を必ず受け取り、プランに何が含まれ、何が別料金かを明細で確かめます。
- 葬儀社を決めた人の87.1%は1社しか見なかった調査があります。事前の比較が助けになります。
- 互助会は前払いの積立で、預金ではありません。解約手数料と契約の有無を確かめます。
葬儀社を選ぶときに大切なことは3つです。見積書を受け取って明細を確かめること、できれば複数の会社を比べること、打ち合わせを一人でしないことです。国民生活センターも、この3点を呼びかけています。葬儀サービスの相談は年に900〜1,000件ほど寄せられ、その約半分が「料金が高い」という相談です。
この記事では、相談事例から見える注意点と見積書の見方をまとめます。互助会の仕組みと解約、自治体の規格葬儀(市民葬)の調べ方も説明します。最後に、比べるときに使えるチェック表を載せました。特定の葬儀社や互助会をすすめるものではありません。
葬儀社をめぐる相談の傾向
国民生活センターの全国の相談データ(PIO-NET)によると、葬儀サービスの相談は増える傾向にあります。
| 年度 | 相談件数 | うち「高価格・料金」の割合 |
|---|---|---|
| 2019年度 | 632件 | 33.2% |
| 2020年度 | 686件 | 43.1% |
| 2021年度 | 800件 | 50.0% |
| 2022年度 | 951件 | 50.9% |
| 2023年度 | 886件 | 50.3% |
| 2024年度 | 978件 | 49.4% |
| 2025年度 | 917件 | 52.6% |
(国民生活センター「依然として多い葬儀サービスの料金トラブル」2026年6月3日公表。2026年3月31日までの登録分。同センターの別のページでは、2026年5月末時点で2025年度は1,005件)
2025年度の相談内容は、「高価格・料金」482件、「説明不足」346件、「見積もり(全般)」194件の順でした。相談のあった契約の平均金額は、2025年度で約109万円です。
相談事例から見える3つの落とし穴
国民生活センターの報告書にある事例を、編集部で要約しました。
- 広告の値段で頼んだら、別のプランをすすめられた:ネット広告の50万円の家族葬で搬送を頼みました。打ち合わせでは120万円のプランを提案されました。断ると搬送費20万円を求められ、そのまま契約しました。
- チラシの値段に含まれるはずの物が、別料金だった:一日葬「約30万円」のチラシを見て頼みましたが、見積もりは80万円を超えました。チラシで含むとされた仏具や仏衣の費用も、請求書に入っていました。
- 見積書が「一式」で、明細がなかった:「家族葬50万円」の表示を見て頼みました。ところが、宗教者を呼ぶ人向けとして140万円のプランを案内されました。見積書は「一式」だけで、追加費用も重なり、総額は200万円を超えました。
どの事例も、亡くなってすぐ、搬送を急ぐなかで決めています。東京都や埼玉県北本市の消費生活センターも、似た事例を紹介しています。病院から急いで搬送を求められ、あわてて選んだ葬儀社で高額になった例です。
決める前に知っておきたいこと
葬儀社は自分で選べる
病院や施設で亡くなると、葬儀社を紹介されることがあります。紹介された葬儀社に頼まなければならないという決まりはありません。急いで搬送が必要なときは、搬送と安置だけを頼み、葬儀の内容は見積もりを見てから決める方法もあります。
注意
搬送だけを頼むときは、葬儀を頼まなかった場合の料金を、先に確かめておきます。国民生活センターの事例では、広告に「依頼しない場合は搬送費用はいただきません」とありました。それなのに、キャンセルするなら搬送費20万円と言われていました。安置の場所と費用はご遺体の安置場所と日数で説明しています。
多くの人は比べずに決めている
鎌倉新書の「第7回お葬式に関する全国調査(2026年)」では、喪主の63.8%が葬儀の事前準備をしていませんでした。葬儀社を自分で決めた1,575人のうち、見積もりを1社だけから取った人は782人、取らなかった人は590人でした。合わせて87.1%です。
国民生活センターは、葬儀社ごとにサービスや費用に幅があるとして、事前に複数の葬儀社を比べるよう勧めています。杉並区立消費者センターは、搬送と葬儀を頼む葬儀社をあらかじめ決めておくと安心だと案内しています。プランまでは決めなくてもよいそうです。
打ち合わせは一人でしない
国民生活センターは、打ち合わせを喪主一人で行うと、聞き漏らしや確認不足が起きやすいと説明しています。親族や、冷静に判断できる第三者と一緒に話を聞きます。電話でもかまいません。
見積書の見方
広告の「〜円から」「通常価格」に注意
消費者庁は2024年5月、ある葬儀社のチラシの表示を景品表示法違反(有利誤認)として、措置命令を出しました。直葬のプランを7万7,000円と表示しながら、個室での面会や供花・仏具には追加料金がかかるものでした。比べて安く見せた「通常価格」も、その値段で提供した実績がありませんでした。
広告の値段がどこまでを含む料金なのかは、会社ごとに違います。「何が含まれた値段か」「自分の希望だといくらか」を、見積書で確かめます。
費用は大きく3つに分かれる
鎌倉新書の2026年の調査では、葬儀費用の総額は96.73万円でした。内訳は、基本料金72.02万円、飲食費11.67万円、返礼品費13.03万円です(中央値をもとに集計した値)。
- 基本料金:搬送、安置、棺、祭壇、式場、人件費など。プランに含まれることが多い部分です。
- 飲食費・返礼品費:通夜ぶるまいや精進落とし、会葬礼状や返礼品。参列する人数で増減します。
- 宗教者へのお礼:お布施などは、葬儀社の見積もりとは別に用意することが多くあります。
火葬料も、公営の火葬場では葬儀社の料金とは別に払うことがあります。費用の相場や地方別の比較は葬儀費用の相場と内訳にまとめています。
見積もりで確かめるチェック表
葬儀社に見積もりを頼むときや、2社以上を比べるときに使える表です。国民生活センターや各地の消費生活センターが注意を呼びかけている点をもとに、編集部が作りました。
| 確かめる項目 | 聞くこと | 増えやすい理由 |
|---|---|---|
| 搬送 | 何回分・何kmまで含むか | 病院→安置場所→式場で2回以上になる |
| 安置・ドライアイス | 何日分を含むか。1日いくら追加か | 火葬場の空き待ちで日数が延びる |
| 棺・骨つぼ・仏衣 | プランの物から変えると差額はいくらか | 種類を選ぶと上がる |
| 祭壇・生花 | 写真やカタログで同じ物か | 大きさや花の量で変わる |
| 式場・控室 | 使用料は含むか。通夜の宿泊はできるか | 式場の種類と日数で変わる |
| 火葬料・待合室 | 含むか、当日に別払いか | 住民以外は高い火葬場が多い |
| 遺影写真 | 大きさ、額、加工は含むか | 加工や枚数で追加 |
| 飲食・返礼品 | 1人いくらか。余ったら返品できるか | 人数で増える |
| スタッフ・司会 | 人数と時間は含むか | 時間外は追加 |
| 宗教者へのお礼 | 見積もりに入っているか | 別払いのことが多い |
| 支払い | いつまでに、どの方法で払うか | 葬祭費などの給付は後から申請 |
| キャンセル | 途中でやめたら何にいくらかかるか | 搬送後のキャンセル料 |
国民生活センターは、見積書の明細をよく確かめるよう勧めています。特に、含まれない項目と追加の料金です。「一式」としか書かれていなければ、明細を求めます。杉並区立消費者センターは、葬儀社選びの目安を3つ挙げています。見積書を求めたら出してくれる、費用をわかるように説明してくれる、質問に丁寧に答えてくれる、の3つです。
互助会とは
冠婚葬祭互助会(互助会)は、毎月の掛金を前払いで積み立てて、結婚式や葬儀のサービスに充てる仕組みです。割賦販売法の「前払式特定取引」にあたり、営むには経済産業大臣の許可が必要です。
経済産業省の資料によると、掛金は月1千〜5千円、払い込みの回数は60〜120回が多いとされます。通常の価格より何割か安く利用できる仕組みです。互助会は、預かった掛金(前受金)の2分の1にあたる額を供託などで保全することが法律で決まっています。互助会が破産した場合などには、保全された額を会員に返す手続きがあります。
| 年(3月末) | 許可を受けた事業者 | 前受金の残高 | 加入件数 |
|---|---|---|---|
| 2021年 | 241社 | 2兆4,778億円 | 約2,241万件 |
| 2022年 | 240社 | 2兆4,669億円 | 約2,207万件 |
| 2023年 | 238社 | 2兆4,421億円 | 約2,168万件 |
| 2024年 | 236社 | 2兆4,125億円 | 約2,129万件 |
| 2025年 | 231社 | 2兆3,786億円 | 約2,095万件 |
(経済産業省「第1回前受金役務利用検討会 事務局説明資料」2026年2月13日より。加入件数は千件単位の数字を編集部が万件に丸めました)
互助会で気をつけること
- 預貯金ではない:埼玉県消費生活支援センターによると、互助会の積立に利息は付きません。掛金は、式場や斎場の建設費・維持費などにも使われます。
- 会員でも追加費用がかかる:会食費、ドライアイス代、返礼品代などは別にかかることがあります。積立額で葬儀がすべて済むとは限りません。
- 家族が契約を知らないことがある:会員の主な目的は、自分の葬儀です。経済産業省は、遺族が契約を知らずに別の会社で葬儀をし、あとで判明して解約するケースが散見されるとしています。加入している人は、加入者証の場所を家族に伝えておきます。亡くなった人の書類に互助会の加入者証がないかも確かめます。
- 葬儀の席での勧誘:葬儀の打ち合わせのときに互助会の契約をした場合は、訪問販売にあたります。埼玉県消費生活支援センターによると、クーリング・オフできることがあります。
互助会の解約と手数料
互助会は解約できます。経済産業省は互助会の検査で、解約の申し出を拒んだり不当に遅らせたりしていないかを、重点的に確かめるとしています。
ただし、サービスを使わずに解約する場合は、約款に従って解約手数料が差し引かれるのが原則です。福岡県が紹介した事例では、月3,000円で約20万円を積み立てた人が、満期後の解約で3万円の手数料を求められていました。
解約手数料をめぐっては、裁判で争われた例があります。京都地方裁判所は2011年12月13日、ある互助会の解約手数料について判断しました。儀式を頼む前に解約したときの手数料のうち、月掛金の振替にかかる費用(払込1回58円)を超える部分は、消費者契約法第9条第1号により無効としたものです。同法は、解約に伴う違約金のうち、事業者に生じる「平均的な損害」を超える部分を無効と定めています。この事件は大阪高等裁判所の判決を経て、2015年に最高裁判所が上告を受理しないと決め、確定しています。
ポイント
判決は、その互助会の約款についての判断です。ほかの互助会の手数料がすべて無効になるわけではありません。消費者契約法第9条第2項は、事業者は消費者から求められたら、解約料の算定根拠の概要を説明するよう努めると定めています。納得できないときは、手数料の根拠を聞いたうえで、消費生活センターに相談します。
自治体の規格葬儀(市民葬)も調べる
自治体によっては、市が内容と料金を決めた葬儀の制度があります。市が指定した葬祭事業者や、市の葬儀式場が提供します。
| 自治体 | 制度 | 料金と含まれる物の例 |
|---|---|---|
| 川崎市(神奈川県) | 市民葬儀 | 一般葬の規格Aは49万5,000円、火葬式の規格Bは20万9,000円(税込)。規格Aは祭壇・棺・安置2日分・搬送2回分・骨つぼ・遺影写真などを含む |
| 高槻市(大阪府) | 市営葬儀 | 市民は葬儀A(棺・納棺・火葬等を含む)11万6,380円。式場使用料は別 |
(各市の公式の案内から。2026年10月時点。火葬料、式場使用料、飲食、返礼品、宗教者へのお礼などは別にかかります)
お住まいの地域にあるかは、「〇〇市 市民葬」「〇〇市 規格葬儀」などで調べます。市区町村の窓口に問い合わせてもかまいません。制度がなくても、市の葬儀式場や火葬場の料金表は、比べるときの目安になります。
事前相談でしておくこと
国民生活センターは、もしものときに慌てないよう、前もって葬儀社に事前相談しておくよう勧めています。全日本冠婚葬祭互助協会も、葬儀の内容や費用を本人が生前に決めておく「生前予約」が増えてきたと説明しています。
- 希望を家族で話す:形式(一般葬・家族葬・一日葬・直葬)、呼ぶ人の範囲、宗教・菩提寺の有無を話しておきます。形式の違いは家族葬・一般葬・一日葬・直葬の違いをご覧ください。
- 2〜3社に同じ条件で見積もりを頼む:人数、日数、形式をそろえて頼み、上のチェック表で比べます。
- 連絡先を決めておく:亡くなったときに搬送を頼む葬儀社を決め、電話番号を家族で共有しておきます。
- 互助会や生前契約の有無を伝える:加入者証や契約書の保管場所を家族に知らせます。
補足
葬儀のあとには、健康保険から葬祭費や埋葬料を受け取れる場合があります。申請しないと受け取れないので、葬祭費・埋葬料のもらい方も確かめてください。トラブルになったときは、消費者ホットライン「188」で最寄りの消費生活センターにつながります。互助会については、経済産業省が全日本冠婚葬祭互助協会の契約者相談室(0120-034-820)も案内しています。
よくある質問
病院から紹介された葬儀社に頼まないといけませんか?
病院が紹介する葬儀社に頼まなければならないという決まりはありません。急いで搬送が必要なときは、搬送と安置だけを頼み、葬儀の内容は見積もりを見てから決める方法もあります。その場合は、搬送だけで終わったときの料金を、頼む前に確かめておきます。
見積もりは何社から取ればいいですか?
決まりはありませんが、国民生活センターは事前に複数の葬儀社を比較することを勧めています。人数・日数・形式などの条件をそろえて2〜3社に頼むと、含まれる物の違いがわかりやすくなります。亡くなってからでは時間がないため、事前相談の段階で比べておくと安心です。
互助会とは何ですか?
毎月の掛金を前払いで積み立て、結婚式や葬儀のサービスに充てる仕組みです。割賦販売法の「前払式特定取引」にあたり、経済産業大臣の許可が必要です。経済産業省によると、掛金は月1千〜5千円、払込回数は60〜120回が多く、2025年3月末の加入件数は約2,095万件でした。
互助会を解約すると、積み立てたお金は戻りますか?
解約はできますが、預貯金ではないため利息は付かず、約款に従った解約手数料が差し引かれるのが原則です。京都地裁は2011年、ある互助会の解約手数料のうち月掛金の振替費用を超える部分を消費者契約法により無効と判断しました。手数料の根拠は事業者に説明を求められます。
葬儀社とトラブルになったらどこに相談すればいいですか?
消費者ホットライン「188」に電話すると、最寄りの消費生活センターにつながります。互助会については、全日本冠婚葬祭互助協会の契約者相談室(0120-034-820)も経済産業省が案内しています。契約書、見積書、請求書は捨てずに手元に残しておきます。
出典・参考にした資料
- 依然として多い葬儀サービスの料金トラブル-「家族葬だから安い」と思っていませんか?-(2026年6月3日)独立行政法人国民生活センター(2026-10-08 確認)
- 同 報告書本文独立行政法人国民生活センター(2026-10-08 確認)
- 墓・葬儀サービス(各種相談の件数や傾向)独立行政法人国民生活センター(2026-10-08 確認)
- 葬儀サービスの利用にあたっては料金や内容をよく確認しましょう!(2018年6月29日)東京都消費生活総合センター(2026-10-08 確認)
- くらしの窓 臨時246号(2025年5月)杉並区立消費者センター(2026-10-08 確認)
- くらしの窓 臨時192号(2020年11月)杉並区立消費者センター(2026-10-08 確認)
- 消費生活相談あれこれ 葬儀サービスに関するトラブルに注意しましょう(2018年3月)北本市(2026-10-08 確認)
- 冠婚葬祭互助会の契約・解約トラブルにご注意埼玉県消費生活支援センター(2026-10-08 確認)
- 冠婚葬祭互助会は、契約内容をしっかり確認しましょう!福岡県(2026-10-08 確認)
- 割賦販売法(第2条・第18条の3・第35条の3の61・第35条の3の62)e-Gov法令検索(2026-10-08 確認)
- 消費者契約法(第9条)e-Gov法令検索(2026-10-08 確認)
- 割賦販売法(前払式取引)の概要(2024年6月更新)経済産業省(2026-10-08 確認)
- 第1回前受金役務利用検討会 事務局説明資料(2026年2月13日)経済産業省(2026-10-08 確認)
- (前払式取引)消費者のみなさんへ経済産業省(2026-10-08 確認)
- 令和7年度前払式特定取引業者(冠婚葬祭互助会、友の会)に対する検査基本方針及び検査基本計画経済産業省(2026-10-08 確認)
- 解約金条項使用差止請求事件ほか 判決(京都地方裁判所 平成23年12月13日、平成20(ワ)3842)裁判所(2026-10-08 確認)
- 京都消費者契約ネットワーク 差止請求訴訟一覧(消費者問題シンポジウムin京都 資料、2015年6月27日)内閣府 消費者委員会(2026-10-08 確認)
- 景品表示法に基づく措置命令について(2024年5月30日、直葬プランの表示)公正取引委員会(消費者庁・内閣府沖縄総合事務局の発表)(2026-10-08 確認)
- 第7回お葬式に関する全国調査(2026年)株式会社鎌倉新書(いい葬儀)(2026-10-08 確認)
- 市民葬儀制度の内容・手続き及び取扱指定店について知りたい。川崎市(2026-10-08 確認)
- 市営葬儀式場のしおり高槻市(2026-10-08 確認)
- お葬式のマナー:生前予約・生前契約について一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-08 確認)