葬儀の費用と形式

生活保護葬(葬祭扶助)とは いくら出る? 上限額と申請の流れ・対象になる人

更新 文 みおくり手帖 編集部

この記事の要点

  • 葬祭扶助は、火葬を中心にした最低限の葬儀の費用を国の基準の範囲で出す制度です。
  • 2026年度の上限は、大人で1・2級地22万2,000円以内、3級地19万4,300円以内です。
  • 葬儀の前に福祉事務所へ相談します。総額が上限を超えると、全額が出なくなります。
目次
  1. 葬祭扶助で出るお金の上限
  2. 葬祭扶助で出るもの・出ないもの
  3. 葬祭扶助の対象になる3つの場合
  4. 葬祭扶助の申請の手順
  5. 葬祭費・埋葬料とのちがい
  6. 公営火葬場で、生活保護を受けていた人の火葬料はどうなるか
  7. 葬祭扶助を使うときに気をつけること

生活保護葬(福祉葬とも呼ばれます)は、生活保護法の「葬祭扶助」を使って行う葬儀です。お金がなくて葬儀ができないときに、火葬を中心にした最低限の葬儀の費用を、国の基準の範囲で福祉事務所が出します。厚生労働省が示した2026年4月からの上限は、大人で22万2,000円以内(1級地・2級地)、19万4,300円以内(3級地)です。

使うには、葬儀の前に福祉事務所へ相談して申請します。葬儀の総額が上限を超えると、超えた分だけでなく全額が出なくなるので、葬儀社と内容を決める前に相談することが大切です。

この記事では、上限額と加算の早見表、対象になる3つの場合、申請の手順、全国の公営火葬場で生活保護を受けていた人の火葬料がどう扱われるかをまとめました。

葬祭扶助で出るお金の上限

葬祭扶助の金額は、国が決める「保護の基準」で決まります。住んでいる場所の「級地(きゅうち)」で上限が違います。級地は、国が市区町村ごとに決めている区分です。お住まいの地域が何級地かは、福祉事務所で教えてもらえます。

厚生労働省の「2026(令和8)年4月1日施行 生活保護実施要領等」に載っている基準額は、次のとおりです。

級地 大人 小人
1級地・2級地 222,000円以内 177,600円以内
3級地 194,300円以内 155,400円以内

前の年度(2025年4月時点)は、千葉県の「生活保護のしおり」によると、1級地・2級地の大人が21万9,000円以内、3級地の大人が19万1,600円以内でした。基準額は改定されることがあるので、最新の額は福祉事務所で確かめてください。

大人と小人の分け方は全国一律ではありません。厚生労働省の問答集では、その市区町村の火葬料の条例に区別があればそれに従い、なければ地域の慣行によるとしています。

上限に足される「加算」

葬儀の費用が基準額を超えるときは、次の費用について一定の額を足せます。いずれも厚生労働省の2026年4月施行の資料によります。

足せる費用 1級地・2級地 3級地
火葬料(市区町村の条例の額) 大人600円・小人500円を超える分 大人480円・小人400円を超える分
遺体の運搬費(寝台車・霊柩車など) 19,220円を超える分。最大9,240円 16,820円を超える分。最大11,640円
死亡診断書・死体検案書の費用 5,350円を超える分 5,350円を超える分
火葬までの遺体の保存(ドライアイスなど) 特別な事情があれば、必要最小限の実費 同じ

このほか、生活保護を受けていた人が亡くなり、扶養義務のある親族がいない場合は1,000円を足せます。小人でも、地域の葬儀の実態が大人と同じなら、大人の基準額を使ってよいとされています。妊娠4か月以上の死産も対象です。

計算してみる

1級地に住んでいた大人の例で、火葬料が条例で10,000円、運搬費が30,000円かかった場合を考えます。

  1. 基準額は222,000円です。
  2. 火葬料の加算は、10,000円から600円を引いた9,400円です。
  3. 運搬費の加算は、30,000円から19,220円を引くと10,780円ですが、最大が9,240円なので9,240円です。
  4. 上限は、222,000円+9,400円+9,240円で240,640円になります。

葬儀の総額をこの範囲に収めることが、葬祭扶助を受ける条件になります。実際の計算は福祉事務所が行うので、この例は目安として使ってください。

注意

葬儀の総額が上限を1円でも超えると、葬祭扶助は全額出ません。 厚生労働省の通知(2014年3月31日、保護課長通知)は、最低限の葬儀にだけ使う制度なので、高額な葬儀に上限額まで出す扱いは認められないとしています。東京都の行政不服審査会の答申(2020年の申請の事例)では、総額が上限を約7万円超えた葬儀で、申請の却下が妥当とされました。

葬祭扶助で出るもの・出ないもの

生活保護法第18条は、葬祭扶助の範囲を4つ挙げています。

法律が挙げるもの 上限への加算との関係
検案 死亡診断・検案の費用が5,350円を超える分を足せる
死体の運搬 寝台車・霊柩車などの費用が一定額を超える分を足せる
火葬または埋葬 条例の火葬料が一定額を超える分を足せる
納骨その他葬祭のために必要なもの 火葬までの遺体の保存に特別な費用がいるときは実費を足せる

何がどこまで認められるかは、福祉事務所が一つずつ判断します。

上の東京都の答申では、会葬のお礼の品と、会食の折詰の費用は対象外として葬儀の費用から除かれました。通夜振る舞いや香典返し、宗教者へのお礼(お布施)は、法律が挙げる範囲に入っていません。

上限の範囲に収めると、通夜や告別式を省いて火葬だけを行う形(直葬・火葬式)に近くなります。直葬の流れは直葬(火葬式)の流れにまとめています。

葬祭扶助の対象になる3つの場合

葬祭扶助が使えるのは、次の3つの場合です。青梅市が、生活保護法の条文ごとに分けて案内している内容をもとに整理しました。

場合 亡くなった人 葬儀をする人 審査されること
① 葬儀をする家族が生活に困っている 生活保護を受けていたかどうかは問わない 扶養義務のある親族(子・親・兄弟姉妹など) 葬儀をする人の世帯が、生活保護が必要なほど困っているか
② 生活保護を受けていた人が亡くなり、親族が葬儀をしない 生活保護を受けていた 親族以外(家主・知人・民生委員など) 葬儀をする人の資力は問われない
③ 生活保護を受けていない人が亡くなり、扶養義務のある親族がいない 生活保護を受けていない 親族以外 亡くなった人の遺したお金で葬儀費用が足りるか

①は、生活保護法第18条第1項によるものです。葬儀をする人の世帯の収入や預貯金を調べ、生活保護が必要と判断されれば出ます。生活保護を受けていない家族でも、この判断で対象になることがあります。

②と③は、第18条第2項によるものです。葬儀をする人の資力は問われませんが、亡くなった人が遺したお金や品物は、先に葬儀の費用に充てます(第76条)。

②について、青梅市は、生前に本人から「葬儀をこの知人に任せたい」という申し出がないと、亡くなったあとに知人から申し出があっても、個人情報の扱いの点で対応できないことがあると案内しています。身寄りのない人を支えている人は、元気なうちに福祉事務所に伝えておくと安心です。

近所の民生委員が個人として葬儀をした場合は、葬祭扶助を使えます。ただし、市区町村長の依頼で葬儀をした場合は、市区町村が行ったものとされ、葬祭扶助は使えません(2018年の政府答弁書)。

補足

葬儀をする人がまったくいない、または分からないときは、墓地、埋葬等に関する法律第9条により、亡くなった場所の市区町村長が火葬を行います。この場合は葬祭扶助とは別の仕組みです。

葬祭扶助の申請の手順

  1. 葬儀社に正式に頼む前に、福祉事務所に電話か窓口で相談します。亡くなったことと、葬儀の費用を出せないことを伝えます。
  2. 福祉事務所の担当者と話し、3つの場合のどれに当たるか、何を調べるかの説明を受けます。①の場合は、葬儀をする人の世帯の収入や預貯金を調べます。
  3. 葬儀社に、葬祭扶助で葬儀をしたいと伝え、上限の範囲に収まる見積もりを出してもらいます。葬祭扶助の葬儀を扱っているかも確かめます。
  4. 葬祭扶助の申請書を出します。生活保護法施行規則第1条で、申請書には申請する人の氏名と住所、亡くなった人の氏名・生年月日・死亡日・住所と申請する人との関係、葬儀に必要な金額を書くことになっています。③の場合は、亡くなった人が遺したお金や品物の状況も書きます。
  5. 葬祭扶助が決まったら、葬儀(多くは火葬)を行います。死亡届と火葬許可の手続きは、ふつうの葬儀と同じです。くわしくは死亡届と火葬許可証の手続きをご覧ください。
  6. 費用の支払いは、福祉事務所から葬儀社へ直接振り込む自治体があります。青梅市は、支払いのトラブルを防ぐため、葬儀社へ振り込むと案内しています。

どこの福祉事務所に申請するか

場合 申請先
① 葬儀をする家族が困っている 葬儀をする人が住んでいる場所の福祉事務所
② 生活保護を受けていた人の葬儀 亡くなった人を担当していた福祉事務所
③ 身寄りのない人の葬儀 亡くなった人が生前に住んでいた場所か、いた場所の福祉事務所

①は施行規則第1条第1項、③は同第5項の決まりによります。②は青梅市の案内によります。

福祉事務所は、都道府県と市・東京23区が必ず置き、町村は置くかどうかを選べます。町村に置かれていない地域は、都道府県の福祉事務所が受け持ちます(社会福祉法第14条)。町村に住んでいる場合は、まず町村役場の福祉の担当に問い合わせると確実です。何と検索すればいいか迷ったら、「(市区町村名) 葬祭扶助」か「(市区町村名) 生活保護 相談」で探せます。

注意

先に葬儀社と契約して費用を払うと、葬祭扶助の対象にならないおそれがあります。 葬祭扶助は、葬儀の前に相談し、必要な金額を書いて申請する仕組みです。青梅市も、葬祭を行う前に相談するよう求めています。亡くなったのが夜間や休日でも、安置だけを葬儀社に頼み、契約と支払いは福祉事務所に相談してからにします。

葬祭費・埋葬料とのちがい

国民健康保険の葬祭費や、会社の健康保険の埋葬料は、保険に入っていた人が亡くなったときに、申請すれば出るお金です。生活保護の葬祭扶助とは別の制度です。

生活保護を受けている世帯の人は、国民健康保険にも後期高齢者医療にも入りません(国民健康保険法第6条、高齢者の医療の確保に関する法律第51条)。そのため、生活保護を受けていた人が亡くなっても、国保や後期高齢者医療の葬祭費は出ません。

①の場合のように、亡くなった人が生活保護を受けておらず健康保険に入っていたときは、葬祭費や埋葬料が出ることがあります。福祉事務所に相談するときに、亡くなった人が入っていた保険も伝えます。葬祭費・埋葬料の金額や申請の仕方は葬祭費はいくら?にまとめています。

公営火葬場で、生活保護を受けていた人の火葬料はどうなるか

火葬料が安く、または無料になれば、そのぶん上限の中で使えるお金が増えます。公営の火葬場の多くは、生活保護を受けていた人の火葬料を減らしたり、免除したりする決まりを持っています。みおくり手帖が各地の公式ページや条例で確かめた例を、地方ごとにまとめました。

地方 火葬場 生活保護を受けていた人の扱い
東北 盛岡市斎場やすらぎの丘(岩手県) 市民なら火葬料が免除
関東 川越市斎場(埼玉県) 証明書を出すと使用料が免除されることがある
関東 小田原市斎場(神奈川県) 生活保護を理由とする減免はしていない
中部 長岡市斎場(新潟県) 市民で保護を受けている世帯なら、申請で全額免除
中部 甲斐市やすらぎ聖苑(山梨県) 市民なら申請で免除
近畿 茨木市立斎場(大阪府) 使用料が7割減額
近畿 福知山市斎場(京都府) 生活扶助を受けていた人などは申請で半額
中国 下関市大谷斎場(山口県) 使用料を減免
四国 松山市斎場(愛媛県) 大棺・小棺とも2,500円(市民の大棺は通常8,000円)
九州 久留米市斎場(福岡県) 市民なら減免されることがある

減免を受けるには、多くの火葬場で申請書と、生活保護を受けていたことの証明が必要です。手続きは葬儀社が代わりに行うことが多いので、葬祭扶助の葬儀だと最初に伝えておきます。お住まいの地域の火葬場の料金は、斎場・火葬場の一覧で調べられます。

葬祭扶助を使うときに気をつけること

  • 葬儀社を決める前に福祉事務所に相談します。上限を超える見積もりのまま契約しないようにします。
  • 上限の範囲で行うので、通夜や告別式を望む場合は、親族と話し合う時間をとります。読経をお願いしたいときは、宗教者へのお礼をどうするかも含めて、菩提寺と相談します。
  • 亡くなった人の預貯金や現金は、先に葬儀の費用に充てます。通帳などは処分せずに、福祉事務所に見せられるようにしておきます。
  • 生活保護を受けていた人が亡くなったら、担当のケースワーカーにも早めに連絡します。

葬儀の費用全体の目安は葬儀費用の相場と内訳、亡くなった直後にすることは亡くなった直後にすることをご覧ください。最終的に使えるかどうかと金額は、お住まいの市区町村の福祉事務所が判断します。

よくある質問

生活保護葬(葬祭扶助)ではいくら出ますか?

厚生労働省が示した2026年4月からの基準額は、大人が1級地・2級地で22万2,000円以内、3級地で19万4,300円以内です。小人は17万7,600円以内と15万5,400円以内です。火葬料や遺体の運搬費が一定の額を超えると、その分が加算されます。

葬儀が終わってから葬祭扶助を申請できますか?

原則として、葬儀の前に福祉事務所へ相談し、申請します。自治体の案内でも「葬祭を行う前に事前に相談を」と求めています。先に葬儀社と契約して費用を払ってしまうと、扶助の対象にならないおそれがあります。

生活保護を受けていない人が亡くなった場合も使えますか?

使える場合があります。葬儀をする家族自身が生活に困っているときや、扶養義務のある親族がおらず、亡くなった人の遺したお金で費用をまかなえないときです。どちらに当たるかは福祉事務所が判断します。

葬祭扶助で通夜や告別式はできますか?

法律が対象として挙げるのは、検案、遺体の運搬、火葬または埋葬、納骨などです。上限額の範囲に収める必要があり、実際には火葬を中心にした形になることが多いです。会葬の返礼品や会食の費用は対象外とされた例があります。

足りない分を家族が出して、少し大きな葬儀にできますか?

国の通知では、葬儀の費用が上限を超える場合は葬祭扶助を出さない扱いになっています。上限を少し超えただけでも全額が出なかった例があります。内容を決める前に、福祉事務所と葬儀社の両方に確かめてください。

出典・参考にした資料

  1. 生活保護法(第18条・第76条)e-Gov法令検索(2026-10-23 確認)
  2. 生活保護法施行規則(第1条)e-Gov法令検索(2026-10-23 確認)
  3. 社会福祉法(第14条)e-Gov法令検索(2026-10-23 確認)
  4. 墓地、埋葬等に関する法律(第9条)e-Gov法令検索(2026-10-23 確認)
  5. 国民健康保険法(第6条)e-Gov法令検索(2026-10-23 確認)
  6. 高齢者の医療の確保に関する法律(第51条)e-Gov法令検索(2026-10-23 確認)
  7. 2026(令和8)年4月1日施行 生活保護実施要領等厚生労働省(2026-10-23 確認)
  8. 生活保護のしおり(葬祭扶助 基準額〈令和7年4月1日時点〉)千葉県(2026-10-23 確認)
  9. 身寄りがない方が亡くなった場合の支援青梅市(2026-10-23 確認)
  10. 答申(生活保護法に基づく保護申請却下処分に係る審査請求)東京都行政不服審査会(東京都総務局)(2026-10-23 確認)
  11. 衆議院議員大西健介君提出葬祭扶助に関する質問に対する答弁書(平成30年11月6日)衆議院(2026-10-23 確認)
  12. 盛岡市斎場やすらぎの丘[施設案内]盛岡市(2026-10-20 確認)
  13. 斎場のご案内長岡市(2026-10-08 確認)
  14. 川越市斎場及び川越市民聖苑やすらぎのさと条例川越市例規集(2026-10-08 確認)
  15. 小田原市斎場小田原市(2026-10-08 確認)
  16. やすらぎ聖苑甲斐市(2026-10-08 確認)
  17. 斎場(火葬場)茨木市(2026-10-08 確認)
  18. 斎場(火葬・式場・安置室)の使用について福知山市(2026-10-08 確認)
  19. 斎場(火葬場)のご案内下関市(2026-10-07 確認)
  20. 斎場の火葬料・使用料松山市(2026-10-07 確認)
  21. 久留米市斎場条例久留米市例規集(2026-10-08 確認)

制度や料金は変わることがあります。編集方針/誤りに気づいたらお知らせください。

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