お盆にお坊さんが家に来るお布施は? 棚経の包み方・表書き・迎え方
この記事の要点
- お盆に僧侶が家を回り、精霊棚の前でお経をあげるのが棚経。お布施を渡すのが一般的です。
- 棚経のお布施の全国調査は見当たりません。菩提寺や同じ寺の檀家に聞いてかまいません。
- 袋は白無地の封筒か、宗派の習わしに合う水引の袋。表書きは「御布施」が無難です。
目次
お盆にお坊さんが家に来て、仏壇や精霊棚(しょうりょうだな)の前でお経をあげることを「棚経(たなぎょう)」といいます。このとき、お礼としてお布施を渡すのが一般的です。ただし、棚経のお布施の金額について、調査元のはっきりした全国の統計は見当たりません。
宗派は、お布施は読経の料金ではなく、金額に本来決まりはないと説明しています。いくら包むかは、菩提寺(お付き合いのあるお寺)や、同じお寺の檀家の親族・近所の人に聞くのが確かです。この記事では、金額の確かめ方、袋と表書き、宗派ごとの違い、迎える準備と当日の流れをまとめました。仏式の場合を中心に書いています。
棚経とは(お盆にお坊さんが家を回るお参り)
棚経は、お盆の間に菩提寺の僧侶が檀家の家を訪ね、精霊棚の前でお経をあげることです(精選版 日本国語大辞典)。精霊棚は、お盆に先祖を迎えるために設ける棚で、盆棚(ぼんだな)とも呼びます。天台宗は、棚経を「盆経(ぼんぎょう)」とも呼ぶとしています。
日本大百科全書によると、日時は地域によって違います。僧侶が家々に出向いて読経する習わしは、江戸時代に盛んになったとされます(世界大百科事典)。
臨済宗妙心寺派の冊子は、棚経では『大悲呪(だいひしゅ)』『開甘露門(かいかんろもん)』などのお経を唱えると紹介しています。地域やお寺によっては、仏間に上がらず、玄関先や庭先でお経をあげることもあるそうです。お盆の数日間に、僧侶はたくさんの家を回ります。
補足
亡くなった人が四十九日を過ぎて初めて迎えるお盆は「初盆(新盆)」です。初盆では、親族を招いて法要を営む家もあります。準備のしかたは初盆(新盆)とはにまとめています。
棚経のお布施はいくら? 金額の確かめ方
棚経のお布施は、葬儀や法要のお布施とは別に、お盆のたびに渡すものです。葬儀のお布施は鎌倉新書などの調査がありますが、棚経のお布施を全国で調べた統計は、調査元をはっきり示せるものが見つかりませんでした。インターネットで見かける「相場」は、出所のわからない数字が多いので注意します。
宗派や仏教界は、次のように考え方を示しています。
| 立場 | 金額についての考え方 |
|---|---|
| 真宗大谷派 | 本来金額に決まりはない。地域の人に聞いたり、住職に事前に尋ねたりしてよい |
| 浄土宗 | お布施は読経の報酬ではなく、布施行(ふせぎょう)という修行に由来する |
| 天台宗 | 地域によって習慣が変わる。迷ったら菩提寺の住職に尋ねる |
| 全日本仏教会 | お布施の全国統一の価格表示は、喜捨(すすんで施すこと)の精神に反する |
金額を決めるときは、次の順で確かめると迷いが少なくなります。
- 同じお寺の檀家の親族に聞く。親や祖父母の代から続く家なら、去年いくら包んだかを家族に聞くのがいちばん早い方法です。
- 近所や地域の人に聞く。棚経は同じお寺の檀家をまとめて回ることが多いので、近所の檀家の人は目安を知っています。
- お寺の案内を見る。お盆の前にお寺から届く案内や寺報に、棚経の日程とあわせて書かれていることがあります。
- 菩提寺に直接聞く。「皆さんどのくらいお包みしていますか」と尋ねてかまいません。真宗大谷派も、住職に事前に尋ねることを勧めています。
ポイント
お布施は、お盆のお参りに来てもらったことへの感謝として渡します。包んだ額を家族の間で記録しておくと、翌年から迷いません。
御車代・御膳料は必要?
全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)は、法要の会場がお寺以外のときは「御車代」を、僧侶が会食を辞退したときは「御膳料」を、お布施とは別に包むとしています。
棚経は短い時間に何軒も回るお参りで、法要のあとの会食とは事情が違います。御車代・御膳料を添えるかどうかはお寺や地域の習わしで違うので、金額を聞くときに一緒に確かめておきます。
お布施の袋と表書き
お盆のお布施の袋は、宗派や地域で考え方が分かれます。迷ったら、どの宗派でも使える白無地の封筒に「御布施」と書けば失礼になりません。
| 出典 | 袋 | 表書きの例 |
|---|---|---|
| 全互協 | 法要のお布施は白い無地の封筒 | 御布施 |
| 天台宗 | 市販の祝儀袋。お盆は赤い水引 | 御布施、盆供(ぼんく)、盆礼、御礼、読経御礼 |
| 真宗大谷派 | ― | 御布施、御法礼 |
| 浄土真宗本願寺派 | 厳密な決まりはなく地域で違う | 御布施(「御霊前」「読経料」「回向料」などは使わない) |
(各宗派・全互協の公式サイトをもとに編集部作成。2026年10月25日確認)
書き方は次のとおりです。
- 表の上段(水引のある袋は水引の上)に「御布施」などと書く
- 下段に施主のフルネームか「〇〇家」と書く
- 中袋や封筒の裏に、住所と金額を書いておく
天台宗は、お盆の御礼は赤い水引、葬儀は黒い水引と使い分ける例を挙げています。一方で浄土真宗本願寺派は、葬儀や年忌法要は黒白か黄白の水引としています。同じ「お布施」でも色の考え方が宗派で違うので、水引つきの袋を使うなら菩提寺の習わしに合わせます。
宗派ごとのお盆と棚経
棚経を行うかどうか、どう迎えるかは宗派とお寺で違います。各宗派の公式の説明をまとめました。
| 宗派 | お盆の迎え方(公式の説明) |
|---|---|
| 天台宗 | 13日朝に精霊棚を設け、夕方に迎え火。僧侶が檀家を訪ねて読経する(棚経・盆経) |
| 臨済宗妙心寺派 | 棚経で『大悲呪』などを唱える。玄関先や庭先のことも。家族そろってお参りするのが理想 |
| 曹洞宗 | お盆の月に仏壇を掃除し、盆棚を設けるなら位牌を移す。13日に迎え盆、16日(地域により15日)に送り盆 |
| 浄土宗 | 精霊棚を設け、きゅうりとなすの馬と牛を飾る。迎え火・送り火 |
| 日蓮宗 | 仏壇の前に精霊棚をつくり、莚(むしろ)を敷いて位牌を安置。盆中は提灯をつける |
| 浄土真宗本願寺派 | 盆棚・精霊棚などの「お盆かざり」は用いない。ほかの法要と同じく仏壇を整える |
(各宗派の公式サイト・冊子をもとに編集部作成。2026年10月25日確認)
曹洞宗・浄土宗・日蓮宗の公式の説明には、棚経そのものの決まりは書かれていません。お盆に僧侶が家に来るかどうかは、宗派よりもお寺や地域の習わしで決まると考えたほうがよいでしょう。浄土真宗の家でも、お盆にお参りに来てもらう習わしのあるお寺はあります。手次ぎのお寺に確かめてください。
いつ来る? お盆の時期と曜日の早見表
棚経はお盆の期間か、その少し前に回ってくることが多い行事です。お盆の時期は地域で違い、7月に営む地域、8月(月遅れ)に営む地域、旧暦で営む地域があります。曹洞宗も、一般には7月15日、月遅れの8月15日、旧暦7月15日のいずれかに行うと説明しています。
自治体や公営霊園の案内から、地域ごとのお盆の時期を拾いました。
| 地方 | 公式の案内に出ている時期の例 |
|---|---|
| 北海道 | 札幌市(里塚霊園)の交通規制 8月10日〜15日(2026年) |
| 東北 | 仙台市(市営墓地)のお盆の対応 8月13日〜16日(2026年) |
| 関東 | 都立八柱霊園は7月13日〜16日と8月13日〜16日の両方(2025年) |
| 中部 | 金沢市「新盆期間」7月12日〜15日、名古屋市 8月13日〜15日(2026年) |
| 中国 | 広島市は市営墓地に盆灯籠が多く供えられると案内 |
| 沖縄 | 南部広域市町村圏事務組合(いなんせ斎苑)は旧暦7月15日を休場日に |
(各自治体・東京都公園協会・南部広域市町村圏事務組合の案内をもとに作成。2026年10月8日確認)
翌年以降の予定を立てやすいよう、7月盆と8月盆の曜日を編集部で計算しました。棚経の日時はお寺から知らされることが多いので、お盆が近づいたら案内を確かめます。
| 年 | 7月盆(13日〜16日) | 8月盆(13日〜16日) |
|---|---|---|
| 2027年 | 火・水・木・金 | 金・土・日・月 |
| 2028年 | 木・金・土・日 | 日・月・火・水 |
(編集部計算)
2027年の8月盆は、13日の迎え盆が金曜日で、週末をはさみます。帰省する家族が棚経にそろいやすい日並びです。旧暦の盆は毎年日付が変わるので、その年の日付を菩提寺や地域の人に確かめます。
棚経を迎える準備と当日の流れ
棚経は短い時間のお参りですが、準備しておくと当日あわてません。各宗派の説明をもとに、準備を時期ごとに並べました。
| いつ | すること |
|---|---|
| お盆の月に入ったら | 仏壇を掃除する。香炉の灰をふるい、古い線香を取り除く(曹洞宗) |
| 案内が届いたら | 棚経の日時を確かめる。留守にする日はお寺に早めに伝える |
| 前日まで | 精霊棚を組むか、仏壇の前を整える。お布施を袋に入れて用意する |
| 13日(迎え盆) | 精霊棚に位牌を移す。夕方に迎え火 |
| 棚経の日 | 家族そろって僧侶を迎え、一緒にお参りする |
| 16日ごろ(送り盆) | 送り火。精霊棚を片付ける |
精霊棚を組めない家は、仏壇を掃除して、花やお供えを整えれば十分です(天台宗)。集合住宅で火を焚けない場合は、提灯の明かりで迎える方法もあります。
当日の流れ
- 僧侶を迎える。玄関で迎え、精霊棚か仏壇の前に案内します。
- 一緒にお参りする。家族は僧侶の後ろに座り、読経の間は手を合わせます。妙心寺派の冊子は、里帰りした家族や親族もそろってお参りするのが理想としています。
- お布施を渡す。読経が終わったら、お礼のことばとともにお布施を渡します。袱紗(ふくさ)に包んでおき、取り出して表書きが僧侶から読める向きにして差し出すと丁寧です(全互協が香典の渡し方として示す作法)。
- 見送る。僧侶はこのあと何軒も回るので、長く引き止めないよう気を配ります。
注意
お盆の時期の僧侶は、短い期間に多くの家を回ります。お茶やお菓子を出すかどうかに決まりはありません。断られたら無理に勧めず、次の家に向かえるよう見送ります。
こんなときは
| 困りごと | 考え方 |
|---|---|
| 棚経の日に家にいられない | お寺に早めに伝え、日を変えられるか相談する |
| 精霊棚がない、仏壇も小さい | 仏壇の前を掃除し、花とお供えを整えれば足りる |
| マンションで迎え火ができない | 提灯の明かりで迎える。玄関先でのお参りになることもある |
| 菩提寺がない | 棚経は菩提寺の僧侶が回る行事。お寺で営む盂蘭盆会や施餓鬼会に参る方法もある |
お寺で営むお盆の法要については、施餓鬼(せがき)とはにまとめています。
神式・キリスト教式の場合
棚経は仏式の行事で、神式やキリスト教式にはお盆に僧侶を迎える習わしはありません。神式で祖先をまつる時期やお礼のしかたは、お付き合いのある神社に相談してください。キリスト教式では、所属する教会に相談してください。
お布施全般の考え方や、葬儀・法要のお布施の地方別の平均はお布施の相場と渡し方に、法要ごとに包むものは法要のお布施にまとめています。
よくある質問
お盆にお坊さんが家に来たらお布施はいくら包みますか?
棚経のお布施について、調査元のはっきりした全国の統計は見当たりません。宗派は、お布施は読経の対価ではなく金額に本来決まりはないと説明しています。真宗大谷派は、地域の人に聞いたり住職に事前に尋ねたりすることを勧めています。同じお寺の檀家の親族や近所の人に聞くのが、いちばん確かな目安になります。
棚経のお布施の表書きは何と書きますか?
「御布施」と書けばどの宗派でも通じます。天台宗は、お盆の御礼の表書きとして「御布施」「盆供」「盆礼」「御礼」「読経御礼」を挙げています。下段には施主の名前を書きます。浄土真宗では「御布施」とし、「御霊前」「読経料」などは使わないとしています。
棚経のお布施は白い封筒でもいいですか?
かまいません。全日本冠婚葬祭互助協会は、法要のお布施は白い無地の封筒に入れるとしています。天台宗は市販の祝儀袋を使い、お盆の御礼は赤い水引にする例を挙げています。袋の色は宗派や地域で考え方が違うので、迷ったら白無地の封筒を選びます。
精霊棚(盆棚)がなくても棚経に来てもらえますか?
天台宗は、精霊棚を設けられない家は仏壇を掃除し、花やお供えをして迎えればよいとしています。仏壇の前を整えておけば足ります。臨済宗妙心寺派の冊子によると、地域やお寺によっては仏間に上がらず、玄関先や庭先でお経をあげることもあります。
浄土真宗でもお盆にお坊さんが家に来ますか?
浄土真宗本願寺派は、盆棚・精霊棚などの「お盆かざり」は用いないと説明しています。お盆もほかの法要と同じように仏壇を整え、餅・菓子・果物などを供えます。お盆にお参りに来てもらうかどうかは、手次ぎのお寺(お付き合いのあるお寺)の習わしによるので、お寺に確かめてください。
出典・参考にした資料
- 棚経(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典・日本大百科全書・ブリタニカ国際大百科事典・世界大百科事典)コトバンク(2026-10-25 確認)
- Q&A(お盆とは何ですか?/お寺さんへの御礼の包み方、表書きの書き方)天台宗(2026-10-25 確認)
- 臨済宗の仏事(オンライン版)お盆(盂蘭盆会)・棚経臨済宗妙心寺派(2026-10-25 確認)
- 年中行事(お盆・盂蘭盆会)曹洞宗(曹洞禅ネット)(2026-10-25 確認)
- よくあるご質問(お盆って何をすればいいのですか?)浄土宗(2026-10-25 確認)
- 仏事についてのQ&A(お盆について)日蓮宗(2026-10-25 確認)
- お盆の紹介(特集記事)お盆のお供え・お布施の意味・金封の書き方浄土真宗本願寺派(2026-10-25 確認)
- 葬儀・法事・お墓のこと(金封の表書き・御布施は読経料?)真宗大谷派(2026-10-25 確認)
- お葬式のマナー:法要の進め方は?一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-25 確認)
- お葬式のマナー:葬儀後の引き継ぎと支払いは?一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-25 確認)
- お葬式のマナー:法要・供養はどのようにして行なうの?(盆・お彼岸)一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-25 確認)
- お葬式のマナー:袱紗はどのように包みますか?一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-25 確認)
- 「葬儀本.com」に掲載されているお布施の価格一覧に対して削除の要請公益財団法人全日本仏教会(2026-10-25 確認)
- 令和8年度 お盆特別対策(里塚霊園 園内交通規制)札幌市(2026-10-08 確認)
- 市営墓地におけるお盆、お彼岸期間中の対応仙台市(2026-10-08 確認)
- お盆期間中のお知らせ(八柱霊園)公益財団法人東京都公園協会(2026-10-08 確認)
- テレビ広報 令和8年7月7日(新盆期間の臨時交通規制のお知らせ)金沢市(2026-10-08 確認)
- お盆期間(8月13日から15日)の市バス・地下鉄の運行等について名古屋市(2026-10-08 確認)
- 市営墓地を使用する上で必要な手続き(盆灯篭の持ち帰りのお願い)広島市(2026-10-08 確認)
- いなんせ斎苑 ご利用案内南部広域市町村圏事務組合(2026-10-08 確認)


