社葬・お別れ会とは 合同葬・偲ぶ会との違い、費用の税務と参列マナー
この記事の要点
- 社葬は会社が施主の葬儀。遺族と行う合同葬、平服で参加するお別れ会の形もあります。
- 会社が負担した社葬費用は、社会通念上相当なら損金にできると国税庁の通達にあります。
- 香典は遺族の収入にしてよいとされ、案内状に辞退とあれば持参しません。
社葬(しゃそう)は、会社が施主(葬儀を行う責任者)となって行う葬儀です。亡くなった経営者や役員、社員を、会社として送るときに行われます。会社と遺族が一緒に主催する「合同葬」や、宗教色の薄い「お別れ会」「偲ぶ会」の形をとることもあります。
社葬の費用は、社会通念上相当と認められれば、会社の損金にできると国税庁の通達に書かれています。会葬者の香典は、会社ではなく遺族の収入にしてよいとされています。この記事では、それぞれの形の違い、税務の扱い、案内状の例、参列する人のマナーをまとめます。
社葬・合同葬・お別れ会・偲ぶ会の違い
| 呼び方 | 主催・費用 | 式の形 | 参列者の服装 |
|---|---|---|---|
| 社葬 | 会社が施主。遺族は喪主 | 宗教儀式を伴うことが多い | 喪服 |
| 合同葬 | 会社と遺族が一緒に主催し、費用を分ける | 一般の葬儀と同じ流れ | 喪服 |
| お別れ会・偲ぶ会 | 会社、団体、友人、遺族など | 決まりはない。献花や会食など | 平服の指定が多い |
(小学館「デジタル大辞泉」の社葬・本葬・偲ぶ会の項目、全日本冠婚葬祭互助協会「喪主と施主のちがいは」をもとに編集部作成。合同葬は辞書に項目がないため、一般的な使われ方で示しています)
辞書は、社葬を「会社が施主として行う葬儀」としています。全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)も、社葬では会社が施主となり、遺族が喪主になると説明しています。
本葬について辞書は、近年は社葬などの本葬の代わりに「偲ぶ会(お別れ会)」を開くことが多いとしています。偲ぶ会には定まった形式がなく、服装も平服で、時間内に自由に参加する形などが挙げられています。主催は会社や団体が多いとされます。
密葬と組み合わせる流れ
社葬は準備に時間がかかるため、先に家族で密葬(または家族葬)を済ませ、後日に社葬やお別れ会を開くことがあります。全互協は、本葬をしない場合でも、2か月後などに告別式や偲ぶ会を開くことが今も多いとしています。密葬との組み合わせ方は密葬とはで説明しています。
| 形 | 亡くなった直後 | 後日 |
|---|---|---|
| 社葬(本葬)型 | 家族で密葬・火葬 | 会社が社葬(遺骨で行うことも) |
| 合同葬型 | 会社と遺族の合同葬(通夜・葬儀・火葬) | なし、または偲ぶ会 |
| お別れ会型 | 家族葬・火葬 | 会社などがお別れ会 |
費用と税金の扱い(早見表)
社葬にかかわるお金の税務を、国税庁の通達・タックスアンサー・質疑応答事例で確かめられる範囲でまとめました。
| お金 | 扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 会社が負担した社葬の費用 | 社会通念上相当なら、通常かかる部分を損金にできる | 法人税基本通達9-7-19 |
| 会葬者が持ってきた香典 | 会社の収入にせず、遺族の収入にしてよい | 同通達の注 |
| 遺族が受け取る香典 | 社会通念上相当なものは、所得税・贈与税がかからない | 国税庁の質疑応答事例 |
| 会社から遺族への弔慰金 | 業務上の死亡は普通給与の3年分、それ以外は半年分までを弔慰金として扱う | 相続税法基本通達3-20 |
| 遺族が負担した葬儀費用 | 相続税の計算で葬式費用として差し引ける | 国税庁タックスアンサー No.4129 |
(国税庁の公表資料から編集部作成。2026年10月8日確認)
法人税基本通達9-7-19の本文は次のとおりです。
「法人が、その役員又は使用人が死亡したため社葬を行い、その費用を負担した場合において、その社葬を行うことが社会通念上相当と認められるときは、その負担した金額のうち社葬のために通常要すると認められる部分の金額は、その支出した日の属する事業年度の損金の額に算入することができるものとする。」
注として、会葬者が持参した香典などを会社の収入とせず、遺族の収入としたときは、これを認めるとしています。
弔慰金については、相続税法基本通達3-20が目安を決めています。業務上の死亡は普通給与の3年分、業務外は半年分までが弔慰金の扱いで、相続税はかかりません。国税庁の質疑応答事例は、この範囲の金額には所得税や贈与税もかからないと考えてよいとしています。これを超える部分は、退職手当金等として相続税の対象になります。
注意
「社会通念上相当」「通常要する」の具体的な範囲は、通達には書かれていません。故人の立場や亡くなった事情、費用の中身によって判断が変わります。社葬を決めたら、早めに顧問税理士か税務署に相談してください。会社が主催するお別れ会の費用の扱いも、同じように確かめます。
合同葬の費用の分け方
合同葬では、会社と遺族が費用を分担します。会社が負担した分は、上の通達の扱いになります。遺族が負担した分は、遺族の葬式費用として相続税の計算で差し引けます。どちらがどの費用を払ったかがわかるよう、見積書と請求書を会社分と遺族分に分けてもらうと、後の手続きが楽になります。相続税の葬式費用は相続税の基礎知識でも説明しています。
社葬・お別れ会を開くまでの段取り
会社側と遺族側で、次の順に進めることが多くなります。
- 遺族の意向を聞く:社葬にするか、合同葬かお別れ会か、宗教の形式をどうするかを、まず遺族と相談します。
- 社内で決める:社葬として行うこと、費用を会社が負担することを、社内の手続きに沿って決めます。決めた経緯を記録に残しておくと、費用の説明をするときに役立ちます。
- 葬儀委員長と実行の担当を決める:委員長を誰にするか(社長など)を決め、受付・案内・会計などの担当を割り振ります。
- 日時と会場を決める:密葬のあとに行う場合は、案内を送ってから相手が予定を立てられるだけの日数をとります。
- 案内状を送る:取引先などに、日時、会場、形式、服装、香典・供花の扱いを知らせます。
- 当日の運営:受付、弔辞、弔電の読み上げ、献花や焼香の誘導をします。
- 事後の処理:香典を遺族に引き渡し、お礼状を送り、費用の領収書を会社分と遺族分に分けて保管します。
遺族は、会社での手続き(健康保険の埋葬料、退職金、私物の引き取りなど)も並行して進めます。全互協は、勤務先には事前に人事担当者へ日時を問い合わせてから訪ねるよう勧めています。
案内状の例
社葬やお別れ会の案内状に書くことは、次のとおりです。
- 誰が、いつ亡くなったか
- 葬儀は近親者で済ませたこと(密葬のあとに行う場合)
- 社葬・お別れ会の日時と会場
- 形式(宗教の形式、献花のみ、など)
- 服装(平服でよいか)
- 香典・供花の扱い(受け取るか、辞退するか)
- 葬儀委員長と喪主の名前、問い合わせ先
お別れ会の案内状(例)
弊社 取締役会長 〇〇〇〇儀 かねてより療養中のところ 〇月〇日に永眠いたしました 享年〇〇 葬儀は故人の遺志により近親者のみにて相済ませました つきましては生前のご厚誼に感謝し 下記のとおりお別れの会を催します ご多用中誠に恐縮ではございますが ご来臨賜りますようご案内申し上げます なお ご香典 ご供花の儀は固くご辞退申し上げます 当日は平服にてお越しください
(日時・会場・形式・問い合わせ先を「記」として続ける。葬儀委員長と喪主の名前を併記する)
参列する人のマナー
案内状の書き方ごとの対応をまとめました。
| 案内状の書き方 | 服装 | 香典・供花 |
|---|---|---|
| 「平服にてお越しください」 | ダークスーツや地味な色の服 | 案内に従う |
| 服装の指定なし | 喪服 | 案内に従う |
| 「ご香典 ご供花は辞退」 | ― | 持参しない・贈らない |
| 「会費制」 | 案内に従う | 会費の扱いを案内で確かめる |
- 平服の意味:辞書(デジタル大辞泉)によると、招待状の「平服で」は、ふつう略礼装かそれに近い服装を指し、カジュアルな服は含みません。男性はダークスーツに地味なネクタイ、女性は黒や紺、グレーなどのスーツやワンピースにします。
- 受付:名刺を求められることがあります。会社を代表して参列するときは、会社名と役職がわかるようにします。
- 拝礼:宗教儀式のある社葬では焼香、お別れ会では献花が多くなります。係の案内に従ってください。
- 弔電:参列できないときは、式の前までに届くように送ります。社葬の宛先は、案内状か主催の会社に確かめてください。
服装の詳細は葬儀の服装、香典の金額は香典の金額相場、弔電は弔電の送り方と文例、供花は供花の贈り方にまとめています。宗教によらない形にする場合は無宗教葬(自由葬)も参考にしてください。
よくある質問
社葬とお別れ会は何が違いますか?
社葬は会社が施主となって行う葬儀で、宗教儀式を伴うことが多い形です。お別れ会や偲ぶ会は、密葬や家族葬のあとに開く会で、主催者や形式に決まりがなく、平服で時間内に自由に参加する形が多いとされます。会社が主催するお別れ会もあります。
社葬の費用は経費(損金)になりますか?
国税庁の法人税基本通達9-7-19は、社葬を行うことが社会通念上相当と認められるときは、社葬のために通常かかる費用を損金に算入できるとしています。どこまでが通常かかる費用かは、顧問税理士や税務署に確かめてください。
社葬で受け取った香典は会社の収入ですか?
同じ通達の注で、会葬者が持参した香典を会社の収入にせず、遺族の収入にすることが認められています。遺族が受け取る香典で社会通念上相当なものには、所得税や贈与税はかかりません。
お別れ会の服装は平服でいいですか?
案内状に「平服で」とあれば、男性はダークスーツ、女性は地味な色のスーツやワンピースなどにします。辞書でも、招待状の「平服」は略礼装かそれに近い服装を指すとされ、普段着の意味ではありません。服装の指定がなければ、一般の葬儀と同じ喪服で参列します。
社葬やお別れ会に香典は持っていきますか?
案内状に従います。香典や供花の辞退が書かれていれば持参しません。会費制のお別れ会では、会費の扱いを案内で確かめます。何も書かれていないときは、受付で辞退されることもあるので、主催者に確かめると安心です。
出典・参考にした資料
- 法人税基本通達 第9章第7節第4款(9-7-19 社葬費用)国税庁(2026-10-08 確認)
- No.5389 社葬費用の取扱い国税庁(2026-10-08 確認)
- 質疑応答事例:贈与税の対象とならない弔慰金等国税庁(2026-10-08 確認)
- No.4129 相続財産から控除できる葬式費用国税庁(2026-10-08 確認)
- No.4405 贈与税がかからない場合国税庁(2026-10-08 確認)
- 社葬(デジタル大辞泉・精選版日本国語大辞典)コトバンク(小学館)(2026-10-08 確認)
- 本葬(デジタル大辞泉)コトバンク(小学館)(2026-10-08 確認)
- 偲ぶ会(デジタル大辞泉)コトバンク(小学館)(2026-10-08 確認)
- 平服(デジタル大辞泉)コトバンク(小学館)(2026-10-08 確認)
- お葬式のマナー:喪主と施主のちがいは一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-08 確認)
- お葬式のマナー:無宗教葬と密葬の進め方は?一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-08 確認)
- お葬式のマナー:故人の勤め先を訪問するとき一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(2026-10-08 確認)