生命保険の死亡保険金の請求 必要書類と時効3年、契約の探し方と税金の早見表
この記事の要点
- 死亡保険金は受取人が保険会社に請求します。保険法の時効は請求できる時から3年です。
- 契約が分からないときは生命保険協会の照会制度で調べられます。利用料はWEB申請6,000円です。
- 税金は保険料を払っていた人と受取人の組み合わせで、相続税・所得税・贈与税に分かれます。
死亡保険金は、契約で受取人に指定された人が、自分で保険会社に請求します。自動では振り込まれません。保険法第95条では、請求する権利は請求できる時から3年で時効になります。どの保険に入っていたか分からないときは、生命保険協会の「生命保険契約照会制度」で調べられます。税金は、保険料を払っていた人と受取人の組み合わせで、相続税・所得税・贈与税のどれかになります。亡くなった人が保険料を払っていた場合は相続税の対象で、「500万円×法定相続人の数」までは非課税です。
請求の流れ
- 契約を探す。保険証券、保険会社からの郵便物、通帳の保険料の引き落としを確かめます。
- 保険会社に連絡する。受取人本人が、証券番号、亡くなった人の氏名、亡くなった日などを伝えます。
- 請求書類を受け取る。保険会社から、請求書や必要書類の案内が届きます。
- 書類をそろえて出す。会社ごとの案内に従います。
- 保険金を受け取る。保険会社は、支払いに必要な確認を終えたうえで支払います(保険法第52条)。
ポイント
連絡するときは、死亡保険金だけでなく、亡くなる前の入院や手術の給付金がないかも聞いておきます。かんぽ生命も、亡くなる前に入院などをしていた場合は、入院保険金なども受け取れる可能性があると案内しています。
請求できる人
死亡保険金を請求するのは、契約で決められた受取人です。保険法第42条は、受取人は当然に契約の利益を受けると定めています。
| 受取人の状況 | 請求する人 |
|---|---|
| 受取人が生きている | 受取人本人 |
| 受取人が、亡くなった人より先に亡くなっていた | 受取人の相続人全員(保険法第46条。約款に別の定めがあることも) |
| 受取人が、保険金を受け取る前に亡くなった | 受取人の相続人 |
| 受取人の指定がない | 約款の定めによる(相続人など) |
- 受取人が先に亡くなっていた場合などは、遺族や相続人であることを示す戸籍が必要になります。かんぽ生命も、受取人が指定されていない場合や、受取人が亡くなっている場合は、戸籍謄本(場合によっては除籍謄本など)が必要としています。
- 受取人を変えられるのは、保険の対象の人が亡くなるまでです(保険法第43条)。亡くなった後に、家族の話し合いで受取人を変えることはできません。
補足
2007年10月より前に入った郵便局の簡易生命保険(かんぽ)は、今も国の機関(郵政管理・支援機構)が保険者で、受取人の決まりも独自のものがあります。かんぽ生命は、遺族と相続人の違いを説明した「相続のてびき」を用意しています。古い保険証書が見つかったら、郵便局かかんぽ生命に相談してください。
期限は3年(会社によって長いことも)
保険法第95条1項は、保険金を請求する権利は、行使できる時から3年で時効になると定めています。
- 約款で、これより長い期間を定めている会社もあります。かんぽ生命は、約款上の時効を5年としています。
- 期限の数え方や、期限を過ぎた場合の扱いは、会社や契約で違います。
- 亡くなってから時間がたっていても、まず保険会社に問い合わせます。
ほかの「請求しないと受け取れないお金」と時効は、死亡後の手続き一覧と期限にまとめています。
契約が分からないときは「生命保険契約照会制度」
生命保険協会が2021年7月から運営している制度です。亡くなった人が契約者または被保険者(保険の対象の人)になっている生命保険契約があるかを、協会が会員の生命保険会社にまとめて問い合わせます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請できる人 | 法定相続人、遺言執行者、その法定代理人、弁護士・司法書士・行政書士の代理人 |
| 利用料 | 調べる人1人につき、WEB申請6,000円、書面申請7,000円 |
| 結果が出るまで | WEB申請は、利用料の支払いから14営業日(3週間程度) |
| 主な書類 | 申請する人の本人確認書類、法定相続人と分かる書類(法定相続情報一覧図か戸籍) |
- 内縁の相手は法定相続人に含まれないため、この制度を使えません。税理士や相続財産清算人からの照会も受け付けていません。
- 協会は、法務局の「法定相続情報一覧図」を出すことを原則として勧めています。戸籍の不足や不備が多く、出し直しになると回答が遅れるためです。
- 家族で申請する場合、契約の有無の回答は全員同じで、違うのは「自分が死亡保険金を請求できるか」だけです。
- 調べられるのは、照会の時点で続いている個人保険の契約です。亡くなった場合は、亡くなった日から少なくとも3年さかのぼります。すでに支払い済みや解約済みの契約、財形保険、受け取りが始まった年金保険は対象外です。
- 契約が見つかっても、協会は請求を代行しません。各保険会社に、照会制度を使ったことを伝えて手続きします。
注意
生命保険協会は、システムの停止(2026年7月27日〜9月15日)のあと、書面申請が混み合い、通常より時間がかかっていると案内しています(2026年10月8日確認)。WEB申請のほうが早く進むことがあります。災害救助法が適用された災害で亡くなった場合は、無料の災害時の制度があります。
照会制度の対象は、協会の会員である生命保険会社の契約です。JA共済や都道府県民共済などの共済、勤務先が入っている団体保険は、それぞれの団体や勤務先に問い合わせます。住宅ローンを組んでいた人は、ローンを借りていた金融機関に、団体信用生命保険の扱いを確かめます。
必要書類の例
必要書類は、保険会社や契約、亡くなった状況で違います。保険会社に連絡すると案内が届きます。例として、かんぽ生命が示している死亡保険金の請求書類は次のとおりです。
- 保険証券(保険証書)の記号番号が分かるもの
- 受取人の本人確認書類
- 受取人名義の通帳かキャッシュカード
- 亡くなった人の生年月日を確認できる書類
- 死亡を証明する書類(会社所定の死亡証明書、医師の死亡診断書、死亡届の記載事項証明書のいずれか。原本または写し)
- 死亡診断書は、死亡届を出すときに役所に提出してしまいます。出す前にコピーを何枚か取っておくと、保険の請求などで使えます。くわしくは死亡届と火葬許可証の手続きをご覧ください。
- かんぽ生命では、請求内容によって、死亡証明書の代わりに「死亡事情書」で簡単に請求できる場合があります。
- 受取人が先に亡くなっている場合などは、戸籍も要ります。
補足
約款には、保険金が支払われない場合(免責事由)が定められています。生命保険協会は、契約から一定期間内(通常2〜3年)の自死や、契約者・受取人が故意に死亡させた場合などを例に挙げています。保険会社の判断に納得できないときは、生命保険協会の生命保険相談所に相談できます。
税金の早見表
死亡保険金にかかる税金は、亡くなった人(被保険者)、保険料を払っていた人、受取人の組み合わせで決まります(国税庁タックスアンサーNo.1750)。夫が亡くなった場合の例で表にしました。
| 亡くなった人 | 保険料を払っていた人 | 受取人 | かかる税金 |
|---|---|---|---|
| 夫 | 夫 | 妻や子 | 相続税 |
| 夫 | 妻 | 妻 | 所得税(一時所得) |
| 夫 | 妻 | 子 | 贈与税 |
ポイントは、契約者の名義ではなく、実際に保険料を払っていた人で判断することです。
相続税の場合:500万円×法定相続人の数まで非課税
亡くなった人が保険料を払っていた死亡保険金は、相続で受け取ったものとみなされ、相続税の対象になります。ただし、相続人が受け取る分には非課税枠があります(国税庁タックスアンサーNo.4114)。
非課税枠=500万円×法定相続人の数
| 法定相続人の数 | 非課税枠 |
|---|---|
| 1人 | 500万円 |
| 2人 | 1,000万円 |
| 3人 | 1,500万円 |
| 4人 | 2,000万円 |
- 相続人が受け取った保険金の合計が非課税枠を超えた分が、相続税の計算に入ります。
- 法定相続人の数は、相続放棄をした人がいても、放棄がなかったものとして数えます。養子は、実子がいれば1人、いなければ2人までです。
- 相続放棄をした人や、相続人でない人が受け取った保険金には、非課税枠は使えません。
相続税がかかるのは、遺産全体が基礎控除を超える場合だけです。計算のしかたは相続税はかかる?基礎控除と申告期限をご覧ください。
所得税の場合:一時所得
受取人自身が保険料を払っていた場合は、所得税の対象です。一時金で受け取ると一時所得になります。
一時所得=受け取った保険金−払った保険料−50万円。この2分の1が、ほかの所得と合わせて課税されます。
たとえば、妻が保険料を払っていた夫の死亡保険金1,000万円を妻が受け取り、払った保険料の合計が400万円だった場合です(ほかに一時所得はないものとします)。
- 1,000万円−400万円−50万円=550万円
- 550万円×2分の1=275万円が、妻のその年の所得に加わります
受け取った翌年に確定申告が必要になることがあります。年金の形で受け取る場合は、雑所得になります。
贈与税の場合
亡くなった人でも受取人でもない人が保険料を払っていた場合は、保険料を払っていた人から受取人への贈与とみなされ、贈与税の対象になります。税額の計算は、税務署や税理士に確かめてください。
相続放棄をしても受け取れる?
借金が多く相続放棄を考えている人にとって、大事な点です。
- 保険法第42条は、受取人は当然に契約の利益を受けると定めています。受取人として指定されていれば、死亡保険金は受取人自身の権利として請求するものです。
- 国税庁も、相続を放棄した人が受け取る死亡保険金があることを前提に、その保険金には非課税枠を使えないと説明しています。
このため、受取人に指定されていれば、相続放棄をしても死亡保険金は受け取れると考えられています。
注意
受取人が亡くなった本人になっている給付金(入院給付金など)や、受取人の指定がない保険金は、相続財産にあたる可能性があります。相続財産を受け取ると、相続放棄ができなくなることがあります。放棄を考えている人は、請求する前に保険会社に契約内容を確かめ、家庭裁判所や弁護士・司法書士に相談してください。くわしくは相続放棄の期限と手続きをご覧ください。
迷ったときの相談先
| 内容 | 相談先 |
|---|---|
| 請求の方法、必要書類、受取人 | 加入している保険会社 |
| 契約があるか分からない | 生命保険協会(生命保険契約照会制度) |
| 支払われない理由に納得できない | 生命保険協会の生命保険相談所 |
| 相続税・所得税・贈与税 | 税務署、税理士 |
| 相続放棄との関係 | 家庭裁判所、弁護士、司法書士、法テラス |
死亡保険金は、遺族の生活を支えるお金です。遺族年金など、ほかに受け取れるお金は遺族年金のしくみと金額にまとめています。
よくある質問
死亡保険金は誰が請求しますか?
保険契約で受取人に指定された人が、自分で保険会社に請求します。受取人が亡くなった人より先に亡くなっていた場合、保険法第46条は受取人の相続人全員が受取人になると定めていますが、約款に別の決まりがあることもあるので、保険会社に確かめてください。
死亡保険金の請求に期限はありますか?
保険法第95条は、保険金を請求する権利は、請求できる時から3年で時効になると定めています。約款で別の期間を定めている会社もあり、かんぽ生命は約款上の時効を5年としています。いずれにしても、亡くなったら早めに連絡します。
亡くなった親がどの生命保険に入っていたか分かりません。
保険証券や保険会社からの郵便物、通帳の保険料の引き落としを探します。それでも分からないときは、生命保険協会の生命保険契約照会制度を使えます。法定相続人などが申請でき、利用料は1人の調査につきWEB申請6,000円、書面申請7,000円です。WEBなら支払いから14営業日(3週間程度)で結果が出ます。
死亡保険金に税金はかかりますか?
亡くなった人が保険料を払っていた場合は相続税の対象で、相続人が受け取る分は「500万円×法定相続人の数」まで非課税です。受取人自身が保険料を払っていた場合は所得税(一時所得)、別の人が払っていた場合は贈与税の対象になります。
相続放棄をしても死亡保険金を受け取れますか?
保険法第42条は、受取人は当然に契約の利益を受けると定めています。国税庁も、相続を放棄した人が受け取る死亡保険金を前提に、非課税枠は使えないと説明しています。このため、受取人に指定されていれば、放棄しても受け取れると考えられています。契約内容によるため、保険会社や専門家に確かめてください。
出典・参考にした資料
- 保険法(第2条・第42条・第43条・第46条・第49条・第52条・第95条)e-Gov法令検索(2026-10-08 確認)
- 民法(第896条・第939条)e-Gov法令検索(2026-10-08 確認)
- 生命保険契約照会制度のご案内生命保険協会(2026-10-08 確認)
- 同意事項・照会者要件の確認(平時利用、照会対象者の死亡)生命保険協会(2026-10-08 確認)
- 生命保険契約照会制度 ご利用の手引き(WEB手続用)生命保険協会(2026-10-08 確認)
- 保険金・給付金を受け取るときの流れ(受け取り編)生命保険協会(2026-10-08 確認)
- 死亡保険金・死亡給付金のご請求かんぽ生命保険(2026-10-08 確認)
- 【保険金】保険金の請求手続きの期限を知りたい。かんぽ生命保険(2026-10-08 確認)
- No.1750 死亡保険金を受け取ったとき国税庁(2026-10-08 確認)
- No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金国税庁(2026-10-08 確認)
- No.4170 相続人の中に養子がいるとき国税庁(2026-10-08 確認)