年金をもらっていた人が亡くなったら 死亡届と未支給年金の請求・期限
この記事の要点
- 年金を止める死亡届は厚生年金が10日、国民年金は14日以内。マイナンバーで省略できる場合も。
- 年金は亡くなった月の分まで出て後払いのため、受け取っていない分が未支給年金になります。
- 未支給年金は生計を同じくしていた遺族が請求します。時効は5年で、一時所得の扱いです。
年金を受けていた人が亡くなったら、遺族がすることは主に2つです。1つは、年金を止めるための「年金受給権者死亡届」で、厚生年金を受けていた人は10日以内、国民年金だけなら14日以内に出します。日本年金機構にマイナンバーが収録されていれば、原則として省略できます。もう1つは、まだ受け取っていない年金「未支給年金」の請求です。年金は後払いで、亡くなった月の分も支給されるため、未支給年金は必ずといってよいほど生じます。受け取れるのは生計を同じくしていた遺族で、時効は5年です。
まずすることの一覧
| 手続き | 期限 | 出す人 | 出す先 |
|---|---|---|---|
| 年金受給権者死亡届 | 厚生年金10日以内、国民年金14日以内 | 死亡届を出す義務のある親族など | 年金事務所 |
| 未支給年金の請求 | 5年 | 生計を同じくしていた遺族 | 年金事務所 |
| 遺族年金の請求 | 5年 | 条件を満たす遺族 | 年金事務所、市区町村 |
死亡届と未支給年金の請求は、「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」という1枚の用紙で同時にできます。
年金受給権者死亡届
期限
年金を受けていた人が亡くなったら、日本年金機構に死亡を届け出ます。
- 老齢厚生年金を受けていた人:10日以内(厚生年金保険法第98条)
- 老齢基礎年金(国民年金)だけを受けていた人:14日以内(国民年金法施行規則第24条)
届け出るのは、戸籍法で死亡届を出す義務がある人で、同居の親族などです。
マイナンバーで省略できる場合
日本年金機構にマイナンバーが収録されている人は、原則として、この死亡届を省略できます。法令では、亡くなった日から7日以内に戸籍の死亡届が出されていることも条件です。根拠は国民年金法施行規則第24条と厚生年金保険法施行規則第41条です。
省略できるのは死亡届だけです。未支給年金を受け取るには、遺族が請求書を出す必要があります。
共済組合から年金を受けていた場合
公務員などとして共済組合に入っていた人は、提出先が共済組合になることがあります。日本年金機構は、地方公務員共済組合の期間だけの人などについて、提出先を加入していた共済組合と案内しています。
注意
死亡届が遅れると、年金を多く受け取りすぎることになり、後で返すことになる場合があります。マイナンバーで省略できるか分からないときは、早めに年金事務所に確かめてください。
未支給年金とは
未支給年金が生じるしくみ
年金は、亡くなった月の分まで支給されます(国民年金法第18条1項)。支払いは年6回で、偶数月に前月までの2か月分を後払いします(同条3項)。亡くなった月の分は、亡くなった時点ではまだ支払われていません。この、本人が受け取れなかった分が未支給年金です。
| 亡くなった時期 | 未支給年金になる分 |
|---|---|
| 5月中 | 4月分と5月分(6月に支払われる予定だった分) |
| 6月の支払日より前 | 4月分・5月分・6月分 |
| 6月の支払日より後 | 6月分(8月に支払われる予定だった分) |
このほか、本人が生前に年金の請求をしていなかった場合は、遺族がその年金を自分の名前で請求できます(国民年金法第19条3項)。
亡くなった後に振り込まれた年金
亡くなった日より後に振り込まれた年金も、亡くなった月の分までは未支給年金として扱われます。遺族が請求書を出して受け取るものです(日本年金機構の案内)。
一方、死亡届が遅れて、亡くなった翌月以降の分まで振り込まれた場合は、受け取りすぎた分を返すことになります。
日本年金機構は、未支給年金を請求しても、亡くなった人の口座を解約していないと入金される場合があると案内しています。口座の解約などは、金融機関に相談してください。
受け取れる遺族と順位
亡くなった当時、亡くなった人と生計を同じくしていた遺族が、次の順に受け取れます(国民年金法第19条、厚生年金保険法第37条)。
| 順位 | 遺族 |
|---|---|
| 1 | 配偶者 |
| 2 | 子 |
| 3 | 父母 |
| 4 | 孫 |
| 5 | 祖父母 |
| 6 | 兄弟姉妹 |
| 7 | 上記以外の3親等内の親族 |
- 先の順位の人がいると、後の順位の人は受け取れません。
- 同じ順位の人が2人以上いるときは、1人が代表して請求します。
- 事実婚の配偶者も請求できます。この場合は、事実婚と生計同一の関係を示す申立書などが必要です。
この順位は、民法の相続人の範囲や順位とは違います。国税庁は、未支給年金の制度は、亡くなった人の収入に頼っていた遺族の生活を守るためのものだと説明しています。
請求の仕方と必要書類
- 用紙を用意する。「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」を使います。日本年金機構のホームページにあり、両面印刷で使います。
- 添付書類をそろえる(下の一覧)。
- 年金事務所に郵送する。対面で相談したいときは、予約して年金事務所か街角の年金相談センターへ行きます。e-Govの電子申請でも提出できます。
主な添付書類
- 亡くなった人の年金証書
- 請求する人のマイナンバーを確かめる書類(マイナンバーカードなど)
- 亡くなった人との続柄がわかる書類(戸籍謄本、または法定相続情報一覧図の写し)
- 生計を同じくしていたことがわかる書類(亡くなった人の住民票の除票、請求する人の世帯全員の住民票の写し)
- 受け取る口座の通帳などの写し
戸籍謄本と住民票は、亡くなった日より後に交付されたものが必要です。別々に住んでいた場合は、「生計同一関係に関する申立書」も出します。
請求する人が配偶者か、遺族年金を請求する子の場合は、マイナンバーを書くことで戸籍謄本の添付を省略できます。住民票の写しも、マイナンバーを書けば省略できます。亡くなった人のマイナンバーが日本年金機構に収録されていれば、住民票の除票は要りません。
ポイント
未支給年金を受け取れる遺族がいない場合や、未払いの年金がない場合は、「年金受給権者死亡届(報告書)」だけを出します。添付は年金証書と、死亡がわかる書類(住民票の除票、死亡診断書のコピーなど)です。マイナンバーが収録されていれば、死亡がわかる書類は不要です。
未支給年金と税金・相続
受け取った未支給年金は、受け取った人の一時所得になります。日本年金機構によると、受け取った年の一時所得の合計が50万円以下なら、確定申告は要りません。くわしくは税務署に相談してください。
未支給年金は、相続税の対象になりません。国税庁は、遺族が自分の固有の権利として請求するものだと説明しています。その根拠として、未支給年金の請求権は相続されるものではないとした最高裁判決(1995年11月7日)を挙げています。
遺族年金との関係
未支給年金とは別に、条件を満たす遺族は遺族年金を受け取れます。年金を受けていた人が亡くなった場合の主なポイントは次のとおりです。
- 老齢厚生年金を受けていた人が亡くなった場合:保険料を納めた期間などが25年以上あれば、遺族厚生年金が出ます(厚生年金保険法第58条)。受け取るのは、生計を維持されていた配偶者や子などです。
- 老齢基礎年金だけを受けていた人が亡くなった場合:遺族基礎年金を受け取れるのは、18歳年度末までの子のある配偶者か子だけです。寡婦年金や死亡一時金は、老齢基礎年金を受けたことがある人の死亡では出ません(国民年金法第49条・第52条の2)。
- 25年の条件に注意:老齢基礎年金は加入期間が10年以上あれば受け取れます(国民年金法第26条)。一方、遺族年金のこの条件は25年以上です。
65歳以上の配偶者が、自分の老齢厚生年金も受け取っている場合は、自分の年金が優先して全額支給されます。遺族厚生年金は、その差額が支給されます。
金額や請求の仕方は遺族年金のしくみと金額にまとめています。
期限のまとめ
| 手続き・給付 | 期限 |
|---|---|
| 年金受給権者死亡届 | 厚生年金10日以内、国民年金14日以内 |
| 未支給年金 | 5年(年金の支払日の翌月の初日から) |
| 遺族年金 | 5年(亡くなった日の翌日から) |
| 死亡一時金 | 2年(亡くなった日の翌日から) |
時効と数え始める日は、日本年金機構の「年金の時効」によります。
相談先
- 年金事務所、街角の年金相談センター(予約して相談できます)
- 公務員などで共済組合から年金を受けていた人は、加入していた共済組合
年金のほかの手続きや、健康保険・相続の期限は死亡後の手続き一覧と期限をご覧ください。葬儀を行った人が受け取れる葬祭費・埋葬料は葬祭費と埋葬料の申請方法で説明しています。
よくある質問
年金を受けていた家族が亡くなりました。年金事務所への届出は必要ですか?
原則として「年金受給権者死亡届」が必要で、期限は厚生年金が10日以内、国民年金だけなら14日以内です。日本年金機構にマイナンバーが収録されている人は、原則として省略できます。ただし、まだ受け取っていない年金(未支給年金)を受け取るには、遺族が請求書を出す必要があります。
未支給年金はいくらぐらいですか?
年金は亡くなった月の分まで支給され、偶数月に前月までの2か月分が後払いされます。そのため未支給年金は、亡くなった時期によって、亡くなった月を含む1〜3か月分になるのが一般的です。本人が生前に年金を請求していなかった場合は、遺族がその年金を請求できることもあります。
未支給年金は誰が受け取れますか?
亡くなった人と生計を同じくしていた、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、それ以外の3親等内の親族が、この順番で受け取れます。先の順位の人がいると、後の順位の人は受け取れません。同じ順位の人が2人以上いるときは、1人が代表して請求します。
亡くなった後に年金が振り込まれていました。返す必要がありますか?
亡くなった月の分までは、未支給年金として遺族が受け取れるものです。日本年金機構は、亡くなった日より後に振り込まれた年金も、亡くなった月の分までは未支給年金として扱っています。死亡届が遅れて、亡くなった翌月以降の分まで振り込まれた場合は、後で返すことになります。
相続放棄をしても未支給年金は受け取れますか?
未支給年金は、遺族が法律にもとづいて「自己の名で」請求するものです。国税庁は、最高裁判決を引いて、未支給年金は遺族の固有の権利で相続財産ではないと説明しています。相続放棄とは別のものと考えられますが、個別の事情は年金事務所や家庭裁判所、専門家に確認してください。
出典・参考にした資料
- 年金を受けている方が亡くなったとき日本年金機構(2026-10-07 確認)
- 年金の時効日本年金機構(2026-10-07 確認)
- 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)日本年金機構(2026-10-07 確認)
- 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)日本年金機構(2026-10-07 確認)
- 国民年金法(第18条・第19条・第26条・第37条・第49条・第52条の2・第102条)e-Gov法令検索(2026-10-07 確認)
- 国民年金法施行規則(第24条)e-Gov法令検索(2026-10-07 確認)
- 厚生年金保険法(第37条・第58条・第92条・第98条)e-Gov法令検索(2026-10-07 確認)
- 厚生年金保険法施行規則(第41条)e-Gov法令検索(2026-10-07 確認)
- 死亡した者に係る未支給の国民年金(質疑応答事例)国税庁(2026-10-07 確認)