遺族年金はいくら? もらえる人と金額、請求の仕方と2028年の見直し
この記事の要点
- 遺族基礎年金は子のある配偶者か子に。令和8年度は年847,300円に子の加算が付きます。
- 遺族厚生年金は報酬比例部分の4分の3。子のない配偶者や55歳以上の父母も対象です。
- 請求しないと受け取れず、時効は5年。2028年4月から遺族厚生年金の見直しが始まります。
目次
遺族年金には、国民年金から出る「遺族基礎年金」と、厚生年金から出る「遺族厚生年金」の2つがあります。遺族基礎年金は、18歳になった年度末までの子がいる配偶者か、その子が受け取ります。令和8年度の額は年847,300円で、子の人数に応じて加算されます。遺族厚生年金は、亡くなった人の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3で、子のない配偶者や父母も対象です。どちらも請求しないと受け取れず、時効は5年です。
2025年の法改正による遺族厚生年金の見直しは、2028年4月から始まります。2026年10月時点では、この記事で説明する現行の制度が使われています。
遺族年金は2種類
| 項目 | 遺族基礎年金 | 遺族厚生年金 |
|---|---|---|
| 亡くなった人 | 国民年金の加入者など | 厚生年金の加入者など |
| 受け取れる人 | 子のある配偶者、子 | 配偶者、子、父母、孫、祖父母(順位あり) |
| 金額 | 定額+子の加算 | 報酬比例部分の4分の3 |
| 主な請求先 | 市区町村 | 年金事務所 |
会社員や公務員として厚生年金に入っている人も、国民年金の被保険者です(国民年金法第7条)。そのため、会社員が亡くなり、子のある配偶者が残された場合は、両方を受け取れることがあります。ずっと自営業などで国民年金だけに入っていた人が亡くなった場合は、遺族厚生年金は出ず、遺族基礎年金だけが対象です。
亡くなった人の条件
遺族基礎年金
次のどれかにあたる人が亡くなったときに支給されます(国民年金法第37条)。
- 国民年金の被保険者である間に亡くなった
- 被保険者だった60歳以上65歳未満の人で、日本に住所があった
- 老齢基礎年金の受給資格を満たしていた(保険料を納めた期間などが25年以上)
1と2には、保険料の納付の条件があります。亡くなった日の前日の時点で、保険料を納めた期間と免除された期間が、加入期間の3分の2以上必要です。ただし、2036年(令和18年)3月末までに亡くなり、65歳未満だった場合は特例があります。亡くなった月の前々月までの1年間に未納がなければ、条件を満たします。
遺族厚生年金
次のどれかにあたる人が亡くなったときに支給されます(厚生年金保険法第58条)。
- 厚生年金の被保険者である間に亡くなった
- 厚生年金に入っていた間に初めて診察を受けた病気やけがが原因で、その日から5年以内に亡くなった
- 1級・2級の障害厚生年金(障害共済年金)を受けていた
- 老齢厚生年金の受給資格を満たしていた(25年以上)
1と2には、遺族基礎年金と同じ保険料の納付の条件があります。
受け取れる人と順位
遺族基礎年金
亡くなった人に生計を維持されていた「子のある配偶者」か「子」が受け取ります(国民年金法第37条の2)。配偶者は妻でも夫でもかまいません。
ここでいう子は、18歳になった年度の3月31日までの子です。障害年金の1級・2級にあたる障害がある場合は、20歳未満の子も含みます。結婚していないことも条件です。
子のある配偶者が受け取っている間は、子には支給されません。子と生計を同じくする父または母がいる間も、子には支給されません(国民年金法第41条)。
遺族厚生年金
亡くなった人に生計を維持されていた遺族のうち、順位がいちばん高い人が受け取ります(厚生年金保険法第59条)。
| 順位 | 遺族 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 1 | 子のある配偶者 | 夫は亡くなった時に55歳以上 |
| 2 | 子 | 18歳になった年度末まで(障害1・2級は20歳未満) |
| 3 | 子のない配偶者 | 30歳未満の妻は5年間のみ。夫は55歳以上で、受け取りは60歳から |
| 4 | 父母 | 55歳以上で、受け取りは60歳から |
| 5 | 孫 | 子と同じ年齢の条件 |
| 6 | 祖父母 | 55歳以上で、受け取りは60歳から |
子のある妻や、子のある55歳以上の夫が受け取っている間は、子には支給されません。夫は原則60歳から受け取りますが、子がいて遺族基礎年金もあわせて受け取れる場合は、60歳になる前から受け取れます(厚生年金保険法第65条の2)。
「生計を維持されていた」とは
日本年金機構は、原則として次の2つを満たす場合としています。
- 生計を同じくしていた(同居していた。別居でも、仕送りをしていた、健康保険の扶養に入っていたなどの事情があればよい)
- 遺族の前年の収入が850万円未満、または所得が655万5千円未満
金額(令和8年度)
遺族基礎年金
令和8年4月分からの年額です(日本年金機構)。子の加算は、1人目と2人目が各243,800円、3人目以降が各81,300円です。
| 受け取る人 | 年額 |
|---|---|
| 配偶者と子1人 | 1,091,100円 |
| 配偶者と子2人 | 1,334,900円 |
| 配偶者と子3人 | 1,416,200円 |
| 子だけ1人 | 847,300円 |
| 子だけ2人 | 1,091,100円(1人あたり545,550円) |
配偶者が1956年(昭和31年)4月1日以前に生まれた人の場合、基本の額は844,900円です。子だけが受け取る場合は、基本の額と2人目以降の加算の合計を、子の人数で割った額が1人分になります。
年金は年6回、偶数月に、前月までの2か月分が振り込まれます(国民年金法第18条)。
遺族厚生年金
額は、亡くなった人の老齢厚生年金のうち、報酬比例部分の4分の3です(厚生年金保険法第60条)。報酬比例部分は、働いていた間の給与や賞与と、加入した月数で決まります。
- 在職中に亡くなった場合など(前の章の条件1〜3)は、加入期間が300月(25年)未満でも、300月あったものとして計算します。
- 老齢厚生年金を受けていた人が亡くなった場合(条件4)は、実際の加入期間で計算します。たとえば報酬比例部分が年80万円だった人なら、遺族厚生年金は年60万円が目安です。
65歳以上で、自分の老齢厚生年金もある場合
65歳以上の人が配偶者の遺族厚生年金を受けるときは、次の2つを比べ、高い方が遺族厚生年金の額になります。
- 亡くなった人の報酬比例部分の4分の3
- 亡くなった人の報酬比例部分の2分の1と、自分の老齢厚生年金の2分の1を足した額
そのうえで、自分の老齢厚生年金が全額支給されます。遺族厚生年金は、自分の老齢厚生年金にあたる額が支給停止になり、差額だけが支給されます(厚生年金保険法第64条の2)。
中高齢寡婦加算
次のどちらかにあたる妻の遺族厚生年金には、40歳から65歳になるまで加算があります(厚生年金保険法第62条)。令和8年度の額は年635,500円です。
- 夫が亡くなった時に40歳以上65歳未満で、生計を同じくする子がいない妻
- 40歳になった時に、子がいて遺族基礎年金を受けていた妻。子が18歳年度末に達したなどの理由で、遺族基礎年金を受けられなくなったとき
老齢厚生年金を受けていた夫などが亡くなった場合(条件4)は、夫の厚生年金の加入期間が20年以上あることが条件です。
1956年(昭和31年)4月1日以前に生まれた妻には、65歳以降に「経過的寡婦加算」が付くことがあります。
遺族基礎年金が出ないとき:寡婦年金と死亡一時金
自営業などで国民年金の第1号被保険者だった人が亡くなった場合です。子がいないなどの理由で遺族基礎年金が出なくても、次のどちらかを受け取れることがあります。両方の条件を満たすときは、どちらかを選びます(国民年金法第52条の6)。
寡婦年金
亡くなった夫の第1号被保険者としての保険料納付と免除の期間が10年以上あり、婚姻期間が10年以上続いていた妻が対象です。夫に生計を維持されていたことも条件です。妻が60歳から65歳になるまで受け取れます(国民年金法第49条)。
額は、夫の第1号被保険者期間で計算した老齢基礎年金の4分の3です。夫が老齢基礎年金や障害基礎年金を受けたことがある場合は出ません。
死亡一時金
第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある人が、老齢基礎年金も障害基礎年金も受けずに亡くなった場合に出ます。生計を同じくしていた遺族が、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順に受け取ります。請求の期限は2年です。
| 保険料を納めた月数 | 金額 |
|---|---|
| 36月以上180月未満 | 120,000円 |
| 180月以上240月未満 | 145,000円 |
| 240月以上300月未満 | 170,000円 |
| 300月以上360月未満 | 220,000円 |
| 360月以上420月未満 | 270,000円 |
| 420月以上 | 320,000円 |
付加保険料を3年以上納めていた場合は、8,500円が加算されます(国民年金法第52条の4)。
請求の仕方と必要書類
遺族年金は、遺族が請求しないと支給されません。
- 請求先を確かめる。遺族基礎年金だけを請求する場合は、住んでいる市区町村の役所です。亡くなった日が国民年金の第3号被保険者の期間中なら、年金事務所か街角の年金相談センターです。遺族厚生年金は、年金事務所か街角の年金相談センターに出します。
- 年金請求書を用意する。遺族基礎年金は様式第108号、遺族厚生年金は様式第105号です。窓口にあるほか、日本年金機構のホームページから入手できます。
- 添付書類をそろえる(下の一覧)。
- 提出する。書き方や必要な書類で迷ったら、提出前に年金事務所に相談できます。
主な添付書類
- 戸籍謄本(記載事項証明書)または法定相続情報一覧図の写し
- 世帯全員の住民票の写しと、亡くなった人の住民票の除票
- 請求する人の収入がわかる書類(所得証明書、課税証明書、源泉徴収票など)
- 子の収入がわかる書類(義務教育を終えるまでは不要。高校生などは在学証明書など)
- 死亡診断書(死体検案書)のコピー、または死亡届の記載事項証明書
- 受け取る口座の通帳など(請求する人の名義)
戸籍謄本と住民票は、亡くなった日以降に交付され、提出日から6か月以内のものが必要です。請求書にマイナンバーを書くと、戸籍謄本・住民票・収入の書類を省略できる場合があります。遺族厚生年金で戸籍謄本を省略できるのは、請求する人が配偶者か子の場合です。
交通事故など第三者の行為で亡くなった場合は、事故の状況を届ける書類なども必要になります。
注意
遺族年金を受ける権利は、亡くなった日の翌日から5年で時効になります(国民年金法第102条、厚生年金保険法第92条)。気持ちが落ち着いてからでかまいませんが、四十九日などの区切りを目安に請求を済ませておくと安心です。
年金を受けていた人が亡くなった場合は、遺族年金とは別に、まだ受け取っていない年金(未支給年金)の請求もできます。くわしくは年金をもらっていた人が亡くなったらをご覧ください。
遺族年金に税金はかかる?
遺族年金には、所得税や住民税はかかりません。国民年金法第25条と厚生年金保険法第41条で、年金給付に税金などを課すことが禁じられているためです(老齢の年金は除く)。
相続税もかかりません。国税庁の通達(相続税法基本通達3−46)は、遺族年金にはそれぞれの法律に非課税の規定があるため、相続税は課税されないとしています。
2028年4月からの見直し(2025年の法改正)
2025年6月に成立した年金制度改正法で、遺族年金が見直されます。施行は2028年4月1日です。2026年10月時点では、まだ始まっていません。厚生労働省の資料によると、主な内容は次のとおりです。
- 子のない配偶者は原則5年の有期給付に:18歳年度末までの子のない20〜50代の配偶者は、男女とも原則5年間の給付になります。60歳未満の夫も新たに支給の対象になります。
- 5年間は給付が増える:「有期給付加算」が付き、今の遺族厚生年金の約1.3倍になります。
- 5年後も続く場合がある:障害のある人や、収入が十分でない人は「継続給付」を受けられます。単身で就労収入が月約10万円以下なら全額支給とされています。
- 中高齢寡婦加算は段階的に縮小:25年かけて縮小します。
- 子の加算が増える:遺族基礎年金などの子の加算が、子1人あたり一律281,700円(2024年度の価格で示した額)になります。
- 子が受け取りやすく:遺族基礎年金を受け取る権利のない親と暮らしていることを理由に、子の遺族基礎年金が止まる仕組みが見直されます。
このほか、死亡分割制度の新設や、収入要件の廃止なども盛り込まれています。
見直しの影響を受けない人
厚生労働省は、次の人は今回の見直しの影響を受けないとしています。
- すでに遺族厚生年金を受け取っている人
- 60歳以降に遺族厚生年金の受給権が生じる人
- 18歳年度末までの子を育てている間の人(その間の給付内容)
- 2028年度に40歳以上になる女性
補足
見直しの対象になるかどうかは、亡くなった時期や年齢、子の有無で変わります。くわしくは厚生労働省の「遺族厚生年金の見直しについて」のページや、年金事務所で確認してください。
相談先
- 年金事務所、街角の年金相談センター(遺族厚生年金、金額の見込み)
- 市区町村の国民年金の窓口(遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金)
- 公務員や私立学校の教職員だった人は、加入していた共済組合など
亡くなった後のほかの手続きは死亡後の手続き一覧と期限にまとめています。
よくある質問
遺族年金は、夫を亡くした妻ならだれでももらえますか?
遺族基礎年金は、18歳になった年度末までの子(障害がある場合は20歳未満)がいる配偶者に限られます。遺族厚生年金は、亡くなった夫が厚生年金の要件を満たしていれば、子のない妻も受け取れます。ただし子のない30歳未満の妻は5年間に限られます。いずれも亡くなった人に生計を維持されていたことが条件です。
子どもがいない場合、遺族年金はいくらですか?
遺族基礎年金は出ません。亡くなった人が厚生年金に入っていた場合などは、遺族厚生年金(報酬比例部分の4分の3)が出ます。夫を亡くした40歳以上65歳未満の妻には、中高齢寡婦加算として年635,500円(令和8年度)が加わることがあります。自営業などで国民年金だけの場合は、寡婦年金か死亡一時金の対象になることがあります。
65歳以上で自分の年金もある場合、遺族厚生年金はどうなりますか?
自分の老齢厚生年金が全額支給され、遺族厚生年金はその分を差し引いた額が支給されます。配偶者の死亡による場合は、報酬比例部分の4分の3と、その2分の1に自分の老齢厚生年金の2分の1を足した額を比べ、高い方が遺族厚生年金の額になります。
遺族年金に税金はかかりますか?
かかりません。国民年金法第25条と厚生年金保険法第41条で、遺族年金に税金などを課すことは禁じられています。国税庁の通達でも、遺族年金には相続税が課税されないとしています。
2028年から遺族年金が5年で打ち切りになると聞きました。
2025年の法改正で、18歳年度末までの子のない20〜50代の配偶者の遺族厚生年金が、原則5年の有期給付になります。施行は2028年4月で、2026年10月時点では現行制度です。すでに受け取っている人、60歳以降に受給権が生じる人、2028年度に40歳以上になる女性などは影響を受けません。5年後も収入が少ない人などは給付が続く仕組みも設けられます。
出典・参考にした資料
- 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)日本年金機構(2026-10-07 確認)
- 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)日本年金機構(2026-10-07 確認)
- (年金用語集)生計維持日本年金機構(2026-10-07 確認)
- 遺族基礎年金を受けられるとき(請求の手続き)日本年金機構(2026-10-07 確認)
- 遺族厚生年金を受けられるとき(請求の手続き)日本年金機構(2026-10-07 確認)
- 寡婦年金を受けるとき日本年金機構(2026-10-07 確認)
- 死亡一時金を受けるとき日本年金機構(2026-10-07 確認)
- 年金の時効日本年金機構(2026-10-07 確認)
- 令和8年度の年金額改定について(報道発表資料)厚生労働省(2026-10-07 確認)
- 年金制度改正法が成立しました厚生労働省(2026-10-07 確認)
- 社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律の概要厚生労働省(2026-10-07 確認)
- 遺族厚生年金の見直しについて厚生労働省(2026-10-07 確認)
- 国民年金法(第7条・第18条・第25条・第37条〜第41条・第49条〜第52条の6・第102条)e-Gov法令検索(2026-10-07 確認)
- 厚生年金保険法(第41条・第58条〜第65条の2・第92条)e-Gov法令検索(2026-10-07 確認)
- 相続税法基本通達 3−46(契約に基づかない定期金に関する権利)国税庁(2026-10-07 確認)