亡くなってから葬儀まで

エンバーミングとは 処置の内容と日数・費用の目安、ドライアイスとの違い

更新 文 みおくり手帖 編集部

この記事の要点

  • エンバーミングは、血液を防腐剤に入れ替え、消毒と修復をしてご遺体を保つ処置です。
  • 協会の説明では10日〜2週間ほど保て、基準で死亡から50日を超えて保全しません。
  • 費用は公表価格で11万〜22万円程度。火葬まで日数がかかるときに検討します。
目次
  1. エンバーミングで何をするか
  2. 国内の基準(IFSAの自主基準)
  3. 保てる日数の目安と、安置の日数
  4. 費用の目安
  5. ドライアイス・保冷庫との違い
  6. エンバーミングを受けられる地域
  7. エンバーミングを選ぶとよい場面

エンバーミング(遺体衛生保全)は、ご遺体の血液を防腐剤に入れ替え、消毒と腐敗の防止、顔の修復や化粧を行う処置です。日本では一般社団法人日本遺体衛生保全協会(IFSA)が自主基準を定めていて、IFSAの説明では処置後10日から2週間程度は安全に保たれます。費用は、葬儀社などの公表価格を見ると11万円〜22万円程度(税込)です。

火葬まで数日なら、ドライアイスや保冷庫で保つのが一般的です。火葬場が混んで日数がかかるとき、遠方の家族を待つとき、海外へ移送するときなどに、エンバーミングを検討します。この記事では、処置の中身と基準、ドライアイスとの違い、処置を受けられる地域、選ぶときに確かめることをまとめました。

エンバーミングで何をするか

IFSAは、エンバーミングを、血管を通して血液と防腐剤を入れ替え、全身を「灌流固定(かんりゅうこてい)」する処置だと説明しています。役割は次の4つです。

役割 内容
消毒・殺菌 病原菌やウイルスの有無にかかわらず、ご遺体を消毒する
腐敗の防止 薬剤で腐敗を止める。においもほとんど感じられなくなるとされる
修復・化粧 表情を整え、生前に近い顔に戻す
ゆっくりお別れ 衛生的に保たれたご遺体と、時間を気にせずお別れできる

(IFSA「エンバーミングとは」から編集部作成)

処置は、IFSAが認めた技術者(エンバーマー)が、専用の施設で行います。故人の体を清める「湯かん」をする場合は、エンバーミングで衛生的にしてから行うよう、IFSAは勧めています。

処置までの流れ

  1. 葬儀社に相談する:エンバーミングを頼みたいと伝え、どこの施設で処置をするかを聞きます。
  2. 同意書に署名する:本人か家族の署名による同意が必要です。
  3. 処置の施設へ運ぶ:病院や自宅から、エンバーミングの施設へご遺体を運びます。
  4. 処置を受ける:消毒、防腐、修復、化粧などを行います。
  5. 自宅や斎場に戻る:安置して、通夜・葬儀を迎えます。

処置にかかる時間や、戻ってくるまでの時間は施設によって違うので、依頼のときに確かめます。

国内の基準(IFSAの自主基準)

エンバーミングを直接定めた法律はありません。刑法第190条は、遺体を損壊したり遺棄したりすることを罰しています。IFSAは、正当な目的と節度をもって行うので、この罪や他の法律にはあたらないと説明し、そのために次の基準を定めています。

  1. 本人または家族の署名による同意にもとづいて行う
  2. IFSAに認定・登録された技術者だけが行う
  3. 血管の確保と、体の内部の防腐に必要な最小限の切開をし、処置後に縫い合わせて修復する
  4. 海外へ移送する場合を除き、亡くなった日から50日を超えて保全しない

最小限とはいえ切開をするので、家族の中に抵抗を感じる人がいないか、事前に話し合っておくことが大切です。

補足

IFSAによると、エンバーミングは国をまたいでご遺体を移送するときに、条件として求められることが多い処置です。海外で亡くなった家族を日本に迎える場合や、日本から海外へ送る場合は、葬儀社に早めに相談します。

保てる日数の目安と、安置の日数

方法 保てる日数の目安 根拠
エンバーミング 10日から2週間程度 IFSAの説明
エンバーミング(上限) 亡くなった日から50日まで(海外移送を除く) IFSAの基準

厚生労働省は2025年10月、「事業者等における適切な御遺体の取扱い等に関するガイドライン」をまとめました。それによると、葬儀や火葬の前にご遺体を安置する期間は、全国の平均で約2.5日でした。一方、関東地方では最大で約17日、北海道・東北地方では最大で約15日かかった例があったとしています(令和5年度の厚生労働科学研究による)。

火葬場の空き具合のほか、友引や年末年始に火葬場が休むことがあり、安置が長くなる場合があります。安置の日数と場所の選び方はご遺体の安置場所と日数で説明しています。

費用の目安

葬儀社やエンバーミング施設の公表価格を見ると、処置の料金は11万円〜22万円程度(税込)でした。事故などによる傷の修復や、解剖のあとの処置など、特別な対応が必要な場合に料金を上乗せしている例もあります。

確かめること 見るポイント
処置の料金 基本料金に修復や化粧が含まれるか
搬送の料金 施設への往復の搬送が別料金か
安置の料金 処置のあとの安置場所と、その料金
追加料金 傷の修復、着替え、髪のセットなど
葬儀費用との関係 葬儀のプランに含まれるか、別料金か

(公表価格は、葬儀社など3社の2026年10月時点のサイトで編集部が確認。特定の会社をすすめるものではありません)

エンバーミングの料金は、地域や会社で差があります。葬儀社に、エンバーミングをした場合としない場合の見積もりを出してもらうと、比べやすくなります。

ドライアイス・保冷庫との違い

ドライアイス 保冷庫(冷蔵設備) エンバーミング
しくみ 体のまわりから冷やす 安置施設の冷蔵設備で冷やす 防腐剤で腐敗を止め、消毒する
体への処置 なし なし 最小限の切開と縫合
向いている日数 数日 数日〜火葬まで 1週間以上かかるときなど
気をつけること 二酸化炭素中毒。棺をのぞき込まない 面会の時間が限られることがある 費用が高め。施設が近くにないことも

厚生労働省の2025年のガイドラインは、冷蔵設備がない場合はドライアイスなどでご遺体を冷やす必要があるとしています。そのうえで、ドライアイスは高い濃度の二酸化炭素を出すので、家族がご遺体のそばで一晩過ごすときは定期的に換気し、納棺のあとは棺を開けてのぞき込まないよう注意を呼びかけています。死亡事故も起きています。

ドライアイスの量や費用、交換のしかたはドライアイスの量と費用で詳しく説明しています。

エンバーミングを受けられる地域

IFSAのサイトの施設一覧には、33都道府県に94か所のエンバーミングセンターが載っています(事業会社36社)。一覧にない県もあります。

地方 一覧に施設がある都道府県 一覧にない県
北海道・東北 北海道、青森、岩手、宮城、山形、福島 秋田
関東 茨城、栃木、埼玉、千葉、東京、神奈川 群馬
中部 新潟、富山、石川、福井、山梨、岐阜、静岡、愛知 長野
近畿 三重、滋賀、京都、大阪、兵庫 奈良、和歌山
中国・四国 岡山、広島、愛媛 鳥取、島根、山口、徳島、香川、高知
九州・沖縄 福岡、熊本、大分、鹿児島、沖縄 佐賀、長崎、宮崎

(IFSA「組織案内」のエンバーミングセンター案内から編集部作成。2026年10月時点。IFSAの会員でない施設は含まれません)

一覧にない県でも、近くの県の施設へ運んで処置を受けられる場合があります。移動の時間と搬送の料金がかかるので、葬儀社に、どこの施設で処置をするのか、往復にどれくらいかかるのかを聞きます。

エンバーミングを選ぶとよい場面

  • 火葬まで1週間以上かかりそうなとき:火葬場が混み合う時期や地域では、安置が長くなることがあります。
  • 遠方や海外に住む家族の到着を待つとき:お別れの時間を確保できます。
  • 海外へ移送するとき:国によって処置が条件になることがあります。
  • 事故や病気で、顔の傷みが気になるとき:修復と化粧で、表情を整えられます。
  • 自宅で長くそばにいたいとき:衛生面の心配を減らして、ゆっくりお別れできます。

反対に、亡くなって2〜3日で火葬できる見込みなら、ドライアイスや保冷庫で保てることが多いです。費用と、切開を伴うことへの家族の気持ちを合わせて考え、葬儀社とよく相談して決めます。亡くなった直後にすることの全体は亡くなった直後にすることにまとめています。

よくある質問

エンバーミングとは何ですか?

ご遺体の血液を防腐剤に入れ替えて全身を固定し、消毒・殺菌、腐敗の防止、顔の修復や化粧を行う処置です。日本では一般社団法人日本遺体衛生保全協会(IFSA)が基準を定め、認定した技術者が行います。日本語では遺体衛生保全とも呼ばれます。

エンバーミングをすると何日もちますか?

IFSAの説明では、処置後10日から2週間程度は安全に保たれます。IFSAの基準は、海外へ移送する場合を除き、亡くなった日から50日を超えて保全しないとしています。

エンバーミングの費用はいくらですか?

葬儀社などの公表価格を見ると、11万円〜22万円程度(税込)です。事故などで傷の修復が必要な場合は、追加の料金を設けている例があります。葬儀のプランに含まれず、別料金のことが多いので、見積もりで確かめます。

エンバーミングは違法ではありませんか?

エンバーミングを直接定めた法律はありません。刑法第190条は遺体を損壊することを罰していますが、IFSAは、遺族の同意など自主基準に従い、正当な目的と節度をもって行うので、この罪にはあたらないと説明しています。

エンバーミングとドライアイスはどちらがいいですか?

火葬まで数日なら、ドライアイスや保冷庫で保つのが一般的です。1週間以上かかりそうなとき、遠方の家族を待つとき、海外へ移送するとき、傷を修復したいときなどは、エンバーミングを検討する価値があります。葬儀社に両方の費用を出してもらって比べます。

出典・参考にした資料

  1. エンバーミングとは一般社団法人日本遺体衛生保全協会(IFSA)(2026-10-08 確認)
  2. エンバーミングの法的解釈一般社団法人日本遺体衛生保全協会(IFSA)(2026-10-08 確認)
  3. エンバーミングの実際一般社団法人日本遺体衛生保全協会(IFSA)(2026-10-08 確認)
  4. IFSA組織案内(エンバーミングセンター案内)一般社団法人日本遺体衛生保全協会(IFSA)(2026-10-08 確認)
  5. 事業者等における適切な御遺体の取扱い等に関するガイドライン(令和7年10月29日)厚生労働省(2026-10-08 確認)
  6. 墓地・埋葬等のページ厚生労働省(2026-10-08 確認)
  7. 刑法(第190条)e-Gov法令検索(2026-10-08 確認)

制度や料金は変わることがあります。編集方針/誤りに気づいたらお知らせください。

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