赤ちゃんとのお別れ

出産育児一時金は死産・流産・中絶でも受け取れる 金額と申請の仕方

更新 文 みおくり手帖 編集部

この記事の要点

  • 妊娠85日(12週)以降なら、死産・流産・中絶でも出産育児一時金が出ます。
  • 金額は1児50万円。産科医療補償制度の対象外(22週未満など)は48.8万円。
  • 会社員などは出産手当金と産後休業(原則8週間)も対象になります。
目次
  1. 出産育児一時金の対象になる場合
  2. 金額は50万円か48.8万円
  3. 受け取り方と申請先
  4. 会社員などは出産手当金も対象
  5. 働いている人は産後休業も取れます
  6. 市区町村の「妊婦のための支援給付」
  7. 制度のまとめ
  8. 気持ちのことも相談できます

妊娠12週(85日)以降であれば、死産・流産・人工妊娠中絶でも、健康保険から出産育児一時金が支給されます。金額は赤ちゃん1人につき原則50万円です。産科医療補償制度の対象にならない出産(妊娠22週未満など)は48.8万円になります。

会社員や公務員など、健康保険に本人として加入している人は、出産手当金も受け取れます。働いている人は、労働基準法の産後休業(原則8週間)の対象にもなります。この記事では、それぞれの条件と申請先を、協会けんぽ・厚生労働省・こども家庭庁の案内をもとに整理しました。2026年10月時点の内容です。

出産育児一時金の対象になる場合

厚生労働省は、支給の要件を次の2つとしています。

  1. 出産したときに、日本の公的医療保険に加入していること
  2. 妊娠4か月(85日)以上での出産であること

ここでいう「出産」には、死産や流産、人工妊娠中絶も含まれます。協会けんぽは「妊娠85日(4か月)以降の生産(早産)、死産(流産)、人工妊娠中絶が該当します」と案内しています。厚生労働省も健康保険組合に通知を出しています。一時金と出産手当金は、死産・流産・中絶を含む妊娠4か月目以降の分娩が対象だという内容です。

加入している保険 受け取る給付
健康保険の本人 出産育児一時金
健康保険の家族(被扶養者) 家族出産育児一時金(同じ額)
国民健康保険 出産育児一時金

補足

申請書に赤ちゃんの名前を書く必要はありません。厚生労働省は、死産児の氏名の確認は不要とし、遺族の心情に配慮するよう保険者に求めています。

金額は50万円か48.8万円

協会けんぽの案内では、2023年4月1日以降の出産について、金額は次のとおりです。双子など多胎の場合は、人数分が支給されます。

出産した状況 1人あたりの金額
産科医療補償制度の加入機関で、在胎22週以降 50万円
加入機関で、22週に達しなかった 48.8万円
制度に加入していない機関 48.8万円

産科医療補償制度は、医療機関などが加入する補償の制度です。対象になる分娩の場合は、病院の領収書・明細書にその旨が書かれています。どちらの金額か迷ったら、明細書を確認するか、病院の窓口に聞いてみてください。

注意

2026年に成立した改正健康保険法で、出産費用の給付の仕組みを見直すことが決まりました。施行は公布(2026年6月)から2年以内とされています。申請の時期によっては扱いが変わる可能性があるため、加入している健康保険で最新の案内を確認してください。

受け取り方と申請先

受け取り方は3つあります。病院がどれに対応しているかで変わります。

方法 しくみ 自分でする手続き
直接支払制度 保険から病院へ直接支払う 病院で合意書に同意。費用が一時金より少なければ差額を申請
受取代理制度 病院が本人に代わって受け取る 事前に申請書を保険者へ出す
自分で申請 費用をいったん払い、後から受け取る 退院後に申請書を出す

直接支払制度を使い、費用が一時金より少なかった場合は差額が支給されます。協会けんぽの場合、出産後おおむね3か月で差額の申請書が届きます。費用が一時金より多いときは、超えた分を病院の窓口で支払います。

申請先と期限

  1. 申請先は加入している健康保険です。協会けんぽは加入している都道府県支部、健康保険組合はその組合、国民健康保険はお住まいの市区町村です。
  2. 期限は出産日の翌日から2年以内です。
  3. 退職して6か月以内の出産は、以前の健康保険から受け取ることも選べます。退職日までに1年以上続けて加入していたことが条件です。

病院で手続きの説明を受けても、その場では頭に入らないことがあります。あとから病院の窓口や加入している保険に問い合わせれば、改めて教えてもらえます。

会社員などは出産手当金も対象

健康保険に本人として加入している人が、出産のために会社を休み、給与が出なかった場合は、出産手当金が支給されます。妊娠4か月以降の死産・流産・人工妊娠中絶も対象です。

対象になる期間

出産の日以前42日(多胎は98日)から、出産の翌日以後56日目までのうち、会社を休んだ日が対象です。出産の日は、出産前の期間に含まれます。

1日あたりの金額

協会けんぽの計算方法は次のとおりです。

  1. 支給開始日以前12か月の、標準報酬月額の平均を出す
  2. それを30で割る(10円未満は四捨五入)
  3. その3分の2が1日あたりの額(1円未満は四捨五入)

たとえば標準報酬月額が12か月とも30万円なら、30万円÷30=1万円です。その3分の2で、1日あたり6,667円になります。休んだ期間に給与が一部出た場合は、出産手当金との差額が支給されます。

申請先は、加入している健康保険です。会社を通して申請することが多いので、まず勤務先の担当者に相談してください。

働いている人は産後休業も取れます

労働基準法第65条により、会社は産後8週間を経過しない女性を働かせてはいけません。厚生労働省は、妊娠4か月以上の流産・死産(人工妊娠中絶を含む)もこの「出産」に含まれると案内しています。正社員だけでなく、パートや派遣で働く人も対象です。

時期 働けるか
出産の翌日から6週間 働けない
6週間を過ぎてから8週間まで 本人が求め、医師が支障ないと認めた業務なら可

妊娠週数にかかわらず、流産・死産後1年以内の人は「母性健康管理措置」の対象です。医師などから休むよう指導を受けた場合、会社はそれを守れるようにする必要があります(こども家庭庁の案内より)。

保険料の免除

12週以降の流産・死産では、次の免除も使えます。

  1. 健康保険・厚生年金の保険料は、産前産後休業の期間は本人分も会社分も免除されます。会社が手続きをします。
  2. 国民年金の保険料は、出産予定日か出産日がある月の前月から4か月間、届出により免除されます。
  3. 国民健康保険の保険料も、同じ産前産後の期間は免除されます(2024年1月から)。

国民年金と国民健康保険は、お住まいの市区町村の窓口で届け出ます。

市区町村の「妊婦のための支援給付」

2025年4月から、市区町村が「妊婦のための支援給付」を行っています。妊娠の認定後に5万円、その後に妊娠していた子どもの数×5万円が支給されます。こども家庭庁は、流産・死産などの場合も支給の対象だと案内しています。

この給付でいう「妊娠」は、医療機関で胎児の心拍が確認されたことを指します。流産などが医療機関で確認された日以降に届け出られます。申請先は、住民票のある市区町村の担当窓口です。窓口では、給付の手続きとあわせて、気持ちのことも相談できます。

制度のまとめ

制度 主な対象 申請先
出産育児一時金 妊娠12週以降。健康保険・国保の加入者 加入している保険
出産手当金 妊娠12週以降。健康保険の本人で休んだ人 加入している保険
産後休業 妊娠12週以降に流産・死産した働く女性 勤務先
妊婦のための支援給付 胎児心拍の確認後。週数は問わない 市区町村

12週未満の場合は、妊娠12週未満の流産・中絶のときで、使える制度をまとめています。死産届の出し方は死産届と火葬の手続きをご覧ください。

気持ちのことも相談できます

手続きは、心と体が落ち着いてからで間に合うものがほとんどです。こども家庭庁のページ「流産・死産等を経験された方へ」には、都道府県ごとの相談窓口の一覧があります。市区町村の保健センターでも、保健師などに相談できます。東京都は「赤ちゃんを亡くされたご家族のための電話相談」を開いています。毎週金曜の10時〜16時です(03-5320-4388、休日・年末年始を除く)。保健師や助産師のほか、同じ体験をした家族も相談に応じています。

制度の最終的な確認先は、加入している健康保険と勤務先、お住まいの市区町村です。

よくある質問

人工妊娠中絶でも出産育児一時金はもらえますか?

妊娠4か月(85日)以降であれば対象です。協会けんぽは、妊娠85日以降の生産(早産)、死産(流産)、人工妊娠中絶が該当すると案内しています。12週未満の場合は対象外です。

申請書に赤ちゃんの名前を書く必要はありますか?

必要ありません。厚生労働省は、一時金の支給には出産や死産の事実の確認で足り、死産児の氏名の確認は不要だと健康保険組合に通知しています。名前の欄があっても、死産・流産・中絶の場合は空けておいてかまいません。

流産でも出産手当金はもらえますか?

妊娠4か月以降の流産・死産(人工妊娠中絶を含む)で、健康保険に本人として加入し、休んだ期間に給与が出ていなければ対象です。支給額は1日あたり、標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2です。

申請の期限はいつまでですか?

出産育児一時金は、出産日の翌日から2年以内です。直接支払制度を使った場合の差額の申請も、早めに済ませておくと安心です。

出典・参考にした資料

  1. 出産育児一時金全国健康保険協会(協会けんぽ)(2026-10-07 確認)
  2. 出産手当金全国健康保険協会(協会けんぽ)(2026-10-07 確認)
  3. 出産育児一時金等について厚生労働省(2026-10-07 確認)
  4. 出産育児一時金等の支給申請における留意点について(令和4年6月14日事務連絡)厚生労働省保険局保険課(2026-10-07 確認)
  5. 健康保険法(第101条・第102条)e-Gov法令検索(2026-10-07 確認)
  6. 健康保険法施行令(第36条)e-Gov法令検索(2026-10-07 確認)
  7. 労働基準法(第65条)e-Gov法令検索(2026-10-07 確認)
  8. 産前・産後休業を取るときは厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト(2026-10-07 確認)
  9. 流産・死産等を経験された方へこども家庭庁(2026-10-07 確認)
  10. 流産・死産について知ってほしい心のケアと支援制度こども家庭庁(2026-10-07 確認)
  11. “妊婦のための支援給付”のご案内こども家庭庁(2026-10-07 確認)
  12. 健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)の概要厚生労働省(2026-10-07 確認)
  13. 赤ちゃんを亡くされたご家族のための電話相談東京都福祉局(2026-10-07 確認)

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