妊娠12週未満の流産・中絶のとき 火葬や届出は必要?供養と給付のこと
この記事の要点
- 妊娠12週未満の流産・中絶では、死産届も火葬の許可も要りません。
- 通常は医療機関が自治体の決まりに沿って扱います。引き取りなどの希望は早めに相談を。
- 出産育児一時金は対象外ですが、妊婦のための支援給付は対象になります。
妊娠12週(85日)未満の流産や人工妊娠中絶では、死産届も火葬の許可も要りません。法律で届出や火葬の許可が必要とされているのは、妊娠4か月(12週)以降だからです。通常は、医療機関が自治体の決まりに沿って扱います。引き取りや火葬、供養を望むときは、できるだけ早く医療機関に伝えて相談してください。
週数が早くても、赤ちゃんを亡くした悲しみの大きさは人それぞれです。この記事では、法律上の扱いと医療機関での扱い、望むときにできること、使える給付をまとめました。
届出と火葬の許可が要らない理由
「死産の届出に関する規程」は、死産を「妊娠第四月以後における死児の出産」と定めています。「墓地、埋葬等に関する法律」も、火葬や埋葬の対象となる「死体」に「妊娠四箇月以上の死胎」を含めています。どちらも、妊娠4か月(12週・85日)が区切りです。
| 妊娠週数 | 死産届 | 火葬の許可 |
|---|---|---|
| 12週未満(84日まで) | 要らない | 要らない |
| 12週以降(85日から) | 7日以内に必要 | 必要 |
12週以降の場合の手続きは死産届と火葬の手続きをご覧ください。
医療機関での扱いと、自治体の決まり
12週未満の場合、亡くなった赤ちゃんは医療機関が扱うことが多く、その方法は自治体の決まりによって違います。
東京都の場合
東京都には、胎盤などとあわせて、妊娠4か月未満で亡くなった赤ちゃんの扱いを定めた条例があります(胞衣(ほうい)及び産汚物取締条例)。東京都保健医療局の説明では、妊娠84日以下が対象です。原則として、都の許可を受けた業者が扱うと定められています。
国の考え方
環境省は2004年、12週未満の中絶胎児の扱いについて、都道府県などに調査をしました。そのうえで、12週未満であっても「生命の尊厳に係るものとして適切に取り扱うことが必要」との考えを示しています。扱い方は自治体によって違い、条例で許可を受けた業者が扱う地域や、火葬場で火葬する地域などがあると紹介しています。
お住まいの地域でどう扱われるかは、医療機関に聞けば教えてもらえます。
引き取りたい・火葬したいとき
12週未満でも、家族で連れて帰りたい、火葬して送りたいと考える人はいます。その気持ちがあれば、処置の前後のできるだけ早い段階で、医療機関に伝えてください。対応できるかどうかは、医療機関や地域によって違います。
火葬を受け付ける火葬場もある
火葬場によっては、12週未満の赤ちゃんの火葬を受け付けています。たとえば横浜市営斎場は、料金表の「死胎児」の区分に12週未満も含めています。火葬料は市内2,400円、市外10,000円です。12週未満の場合、火葬証明書は希望する人にだけ発行されます(手数料300円)。
火葬に必要な書類や、当日の流れは火葬場ごとに違います。医療機関に、妊娠週数などを示す書類が必要かどうかも含めて、事前に火葬場へ電話で確認してください。火葬の流れや棺のことは赤ちゃんの葬儀と火葬も参考になります。
注意
12週未満の赤ちゃんの扱いには、自治体の条例が関わることがあります。自宅に連れて帰ったあとの扱いに迷ったら、自己判断せず、医療機関かお住まいの市区町村(保健所)に相談してください。
供養のこと
供養をするかどうか、いつ、どこで、どんな形でするかに、法律上の決まりはありません。宗教や家族の考え方によって、送り方はさまざまです。
水子供養
流産や死産、中絶で亡くなった赤ちゃんのために、寺院などで行われる供養を「水子供養」と呼ぶことがあります。宗教的な行いなので、受けるかどうかは本人と家族が決めることです。考え方や方法、費用は寺院ごとに違います。気になる場合は、受ける前に寺院に尋ねてかまいません。
宗教によらない偲び方
厚生労働省の研究事業でまとめた支援の手引きに、ある産科の助産師の話が載っています。気持ちを落ち着けるために、お墓を作る人、水子供養をする人、神社に行く人もいるそうです。ほかにも、次のような形で赤ちゃんを偲ぶ人がいます。
- エコー写真や母子健康手帳を大切にしまっておく
- 名前をつけて呼ぶ
- 予定日や亡くなった日に、花を飾る
- 手紙を書く
手引きは、流産でも人工妊娠中絶でも、思い出の品を残したいと強く望む人もいれば、望まない人もいるとしています。どちらも自然な気持ちです。あとから気持ちが変わることもあります。
使える給付と休業(12週未満の場合)
出産育児一時金や出産手当金は、妊娠4か月(85日)以上の出産が条件です。そのため12週未満では対象になりません。一方で、週数にかかわらず使える制度もあります。
| 制度 | 12週未満の場合 | 窓口 |
|---|---|---|
| 出産育児一時金 | 対象外 | 加入している健康保険 |
| 出産手当金・産後休業 | 対象外 | 健康保険・勤務先 |
| 母性健康管理措置 | 対象(流産・死産後1年以内) | 勤務先 |
| 妊婦のための支援給付 | 胎児心拍の確認後なら対象 | 市区町村 |
母性健康管理措置
こども家庭庁によると、流産・死産後1年以内の女性労働者は、妊娠週数にかかわらず母性健康管理措置の対象です。医師などから休むよう指導を受けた場合、会社はその指導を守れるようにする必要があります。体調がすぐれないときは、医師に相談し、指導の内容を勤務先に伝えてください。
妊婦のための支援給付
市区町村の「妊婦のための支援給付」は、医療機関で胎児の心拍が確認されたことを「妊娠」としています。こども家庭庁は、流産・死産などの場合も対象だと案内しています。目黒区は、人工妊娠中絶の場合も申請できるとしています。妊娠の届出をする前に流産した場合でも、心拍を確認した診断書などで申請できる自治体があります。
目黒区の案内では、異所性妊娠(子宮外妊娠)や胞状奇胎などは、心拍が確認されていても対象外です。扱いは市区町村に確認してください。12週以降の場合に使える制度は出産育児一時金は死産でも受け取れるにまとめています。
つらいときの相談先
週数が早い流産でも、つらさが長く続くことがあります。こども家庭庁のページ「流産・死産等を経験された方へ」に、都道府県ごとの相談窓口の一覧があります。市区町村の保健センターでも、保健師などに相談できます。東京都の「赤ちゃんを亡くされたご家族のための電話相談」は、流産で赤ちゃんを亡くした家族も対象です。毎週金曜の10時〜16時に開いています(03-5320-4388、休日・年末年始を除く)。
よくある質問
12週未満の流産でも火葬できますか?
法律上、火葬は必要ありませんが、希望すれば受け付ける火葬場もあります。たとえば横浜市営斎場は、12週未満の死胎児の火葬を料金表に含めています。対応は地域や医療機関で違うので、まず医療機関に相談してください。
初期流産のあと、供養はしたほうがいいですか?
供養をするかどうか、いつ・どこでするかに決まりはありません。寺院で水子供養をする人、自宅で手を合わせる人、特に何もしない人など、さまざまです。家族の気持ちに合う形を選んでかまいません。
12週未満でも受け取れるお金はありますか?
出産育児一時金や出産手当金は対象外です。市区町村の「妊婦のための支援給付」は、医療機関で胎児の心拍が確認されていれば、流産や中絶の場合も対象になります。住民票のある市区町村に問い合わせてください。
11週で流産しました。死産届は必要ですか?
必要ありません。死産届が必要なのは妊娠4か月(12週・85日)以降です。12週以降の場合は、7日以内に死産届を出し、火葬の許可を受けます。
出典・参考にした資料
- 死産の届出に関する規程(昭和21年厚生省令第42号)e-Gov法令検索(2026-10-07 確認)
- 墓地、埋葬等に関する法律e-Gov法令検索(2026-10-07 確認)
- 胞衣及び産汚物の取扱いについて東京都保健医療局(2026-10-07 確認)
- 妊娠4か月(12週)未満の中絶胎児の取扱いに関するアンケート調査結果及び今後の対応について(2004年9月24日)環境省(2026-10-07 確認)
- 市営斎場のご案内横浜市(2026-10-07 確認)
- 出産育児一時金等について厚生労働省(2026-10-07 確認)
- 流産・死産等を経験された方へこども家庭庁(2026-10-07 確認)
- 流産・死産について知ってほしい心のケアと支援制度こども家庭庁(2026-10-07 確認)
- 妊婦のための支援給付目黒区(2026-10-07 確認)
- 産科医療機関スタッフのための 流産・死産・人工妊娠中絶を経験した女性等への支援の手引き(令和3年度子ども・子育て支援推進調査研究事業)厚生労働省(大阪府ウェブサイト掲載)(2026-10-07 確認)
- 赤ちゃんを亡くされたご家族のための電話相談東京都福祉局(2026-10-07 確認)