赤ちゃんとのお別れ

死産届とは? 妊娠12週以降の流産・中絶で必要な届出と火葬の手続き

更新 文 みおくり手帖 編集部

この記事の要点

  • 妊娠12週以降は、流産・死産・人工妊娠中絶のどれでも7日以内に死産届を出します。
  • 死産届を出すと火葬の許可証が交付され、24週未満なら24時間以内でも火葬できます。
  • 死産届は母子保健の統計のための届出で、赤ちゃんが戸籍に載ることはありません。
目次
  1. 死産届が必要になるのは妊娠12週以降
  2. 死産届の出し方
  3. 火葬の許可と、火葬までのこと
  4. 死産は戸籍に載りません
  5. 妊娠22週の前と後で変わること
  6. 届出のあとに確認しておきたいこと

妊娠12週(85日)以降に赤ちゃんを亡くしたときは、7日以内に「死産届」を市区町村役場に出します。流産でも死産でも、人工妊娠中絶でも、12週以降なら同じ手続きです。届出には、医師か助産師が書く「死産証書(または死胎検案書)」を添えます。届出が受理されると、火葬に必要な許可証が交付されます。

この記事では、届出の手順と火葬までの流れ、戸籍との関係をまとめました。妊娠22週の前と後で変わることにも触れます。手続きは、気持ちが追いつかないなかで進めることになります。家族や病院、葬儀社の手を借りながら、できるところから進めてください。

補足

ひとりで抱えないでください。 こども家庭庁のページ「流産・死産等を経験された方へ」に、都道府県ごとの相談窓口の一覧があります。お住まいの市区町村の保健センター(母子保健の担当)でも、保健師などに相談できます。東京都は「赤ちゃんを亡くされたご家族のための電話相談」を開いています。毎週金曜の10時〜16時です(03-5320-4388、休日・年末年始を除く)。保健師や助産師のほか、同じ体験をした家族が話を聞いています。

死産届が必要になるのは妊娠12週以降

「死産の届出に関する規程」は、死産を「妊娠第四月以後における死児の出産」と定めています。妊娠4か月は、週数でいうと12週(85日)以降です。

厚生労働省の人口動態調査では、死産を「自然死産」と「人工死産」に分けています。人工死産は、人工的な処置によって死産に至った場合をいいます。つまり、12週以降の人工妊娠中絶も、届出の上では死産として扱われます。

妊娠週数 死産届 火葬の許可 主な給付
12週未満 不要 不要 一時金は対象外
12週〜21週 必要 必要 出産育児一時金など
22週以降 必要 必要 出産育児一時金など
生まれてから亡くなった 出生届と死亡届 必要 出産育児一時金など

12週未満の場合の扱いは、妊娠12週未満の流産・中絶のときにまとめています。

死産届の出し方

届出の要点

項目 内容
期限 死産後7日以内
出す先 届出人の所在地か、死産があった場所の市区町村
届出人 原則は父。父ができないときは母
添える書類 医師・助産師の死産証書(死胎検案書)

父母ともにやむを得ない事情で出せないときの順番も決まっています。同居人、死産に立ち会った医師、助産師の順です(死産の届出に関する規程第7条)。

手順

  1. 病院で用紙を受け取る。死産届の用紙は、右半分が医師・助産師の書く死産証書(死胎検案書)になっています。病院で記入してもらった用紙を受け取ります。
  2. 火葬場と日程を決める。自治体によっては、届出のときに火葬場の名前が必要です。さいたま市や江東区などは、届出の前に火葬場を予約するよう案内しています。葬儀社に頼む場合は、予約も任せられます。
  3. 左半分を記入する。父母の氏名と本籍、死産の日時と場所などを書きます。
  4. 市区町村の窓口に出す。期限は死産後7日以内です。窓口の時間や、夜間・休日の受付は自治体で異なります。
  5. 火葬の許可証を受け取る。自治体により「死胎火葬許可証」「埋火葬許可証」など名前が違います。さいたま市のように、届出の当日に交付する自治体もあります。

注意

死産届の期限は死産後7日以内です。体調がすぐれないときは、パートナーや家族に窓口へ行ってもらいましょう。窓口に持っていく人を代わりに頼めるか、何を持参すればよいかは、届け出る市区町村に電話で確認できます。

火葬の許可と、火葬までのこと

「墓地、埋葬等に関する法律」は、妊娠4か月以上の死胎を「死体」に含めています。そのため、12週以降は火葬にも市区町村の許可が必要です。許可は、死産届を受理した市区町村が出します。

24時間のきまり

法律では、死亡や死産から24時間たたないと火葬できないのが原則です。ただし「妊娠七箇月に満たない死産のときは、この限りでない」とされています。横浜市の市営斎場は、妊娠24週未満の死胎児は24時間以内でも火葬できると案内しています。

妊娠週数 火葬できる時期
24週未満 24時間以内でも可
24週以降 死産から24時間たってから

急がなくてよいこと

火葬を「いつまでに」行うという法律上の期限はありません。厚生労働省の研究事業でまとめた支援の手引きも、この点を家族に伝えるよう勧めています。抱っこする、写真を残す、家に連れて帰るなど、赤ちゃんと過ごす時間を持つ家族もいます。

火葬が終わると、許可証に火葬済みの記載がされて返されます。お墓や納骨堂に納めるときに必要なので、大切に保管してください。葬儀や火葬の流れは赤ちゃんの葬儀と火葬で詳しく説明しています。

死産は戸籍に載りません

死産届は、戸籍法の届出ではありません。根拠は「死産の届出に関する規程」です。目的は「母子保健の向上を図るため、死産の実情を明かにすること」とされています(第1条)。届け出た内容は、国の人口動態統計に使われます。そのため、死産届を出しても戸籍に記載されることはありません。

一方、赤ちゃんが生きて生まれ、その後に亡くなった場合は扱いが変わります。戸籍法にもとづき、出生届(14日以内)と死亡届(7日以内)を出し、戸籍に記載されます。週数が早くても、生きて生まれた場合はこちらになります。病院の説明に従い、わからないときは市区町村の戸籍の窓口に相談してください。死亡届の出し方は死亡届と火葬許可証を参考にしてください。

補足

戸籍に載らないことを、寂しく感じる人もいます。届出の扱いと、家族にとっての赤ちゃんの存在は別のものです。家族で名前をつけて呼ぶこと、母子健康手帳や写真を残しておくことは自由です。

妊娠22週の前と後で変わること

妊娠22週は、いくつかの制度の区切りになっています。ここでは事実だけを整理します。

区切り 22週未満 22週以降
母体保護法の人工妊娠中絶 対象となる時期 対象となる時期にあたらない
出産育児一時金(産科医療補償制度の加入機関) 48.8万円 50万円
死産届と火葬の許可 12週以降は必要 必要

母体保護法は、人工妊娠中絶を行う時期を定めています。「胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期」です(第2条第2項)。その時期の基準は、国の通知(「母体保護法の施行について」)で「通常妊娠満22週未満」とされています。

出産育児一時金の金額の違いは、産科医療補償制度の対象になるかどうかによるものです。詳しくは死産・流産・中絶でも出産育児一時金は受け取れるをご覧ください。

届出のあとに確認しておきたいこと

届出が済んだら、体を休めることを優先してください。そのうえで、次のことを少しずつ確かめていきます。

  1. 給付の申請。12週以降の流産・死産・中絶は、健康保険の出産育児一時金の対象です。会社員などは出産手当金や産後休業も使えます。
  2. 市区町村の手続き。妊婦のための支援給付は、流産・死産などの場合も対象です。母子健康手帳は返さなくてよいとする自治体があります(世田谷区など)。
  3. 職場への連絡。妊娠4か月以上の流産・死産は、労働基準法の産後休業(原則8週間)の対象です。

迷ったときは、病院のソーシャルワーカーや助産師、市区町村の窓口に聞いてみてください。制度の最終的な確認先は、加入している健康保険と、お住まいの市区町村です。

よくある質問

人工妊娠中絶の場合も死産届は必要ですか?

妊娠12週以降の場合は必要です。法律上の「死産」は妊娠4か月(12週)以後の死児の出産をいい、人工的な処置による死産(人工死産)も含みます。12週未満の場合は届出は不要です。

死産届はどこに、誰が出しますか?

届出人の所在地か、死産があった場所の市区町村役場に出します。届出をするのは原則として父で、父ができないときは母です。窓口に持っていく人を代わりに頼めるかは、市区町村に確認してください。

死産した赤ちゃんは戸籍に載りますか?

載りません。死産届は戸籍法ではなく「死産の届出に関する規程」にもとづく届出で、母子保健の実情を知るためのものです。生まれてから亡くなった場合は、出生届と死亡届を出し、戸籍に記載されます。

火葬はいつまでにしなければいけませんか?

火葬をいつまでに行うという法律上の期限はありません。ただし妊娠24週(7か月)以降の死産は、死産から24時間たたないと火葬できません。赤ちゃんと過ごす時間を持ってから火葬する家族もいます。

出典・参考にした資料

  1. 死産の届出に関する規程(昭和21年厚生省令第42号)e-Gov法令検索(2026-10-07 確認)
  2. 墓地、埋葬等に関する法律e-Gov法令検索(2026-10-07 確認)
  3. 墓地、埋葬等に関する法律施行規則e-Gov法令検索(2026-10-07 確認)
  4. 母体保護法e-Gov法令検索(2026-10-07 確認)
  5. 母体保護法の施行について(厚生事務次官通知・令和2年10月改正後全文)厚生労働省(堺市ウェブサイト掲載)(2026-10-07 確認)
  6. 戸籍法e-Gov法令検索(2026-10-07 確認)
  7. 人口動態調査 調査の概要厚生労働省(2026-10-07 確認)
  8. 死産届を提出するにはどのようにすればよいですかさいたま市(2026-10-07 確認)
  9. 流産・死産などでお子さんを亡くされたご家族へ世田谷区(2026-10-07 確認)
  10. 市営斎場のご案内横浜市(2026-10-07 確認)
  11. 産科医療機関スタッフのための 流産・死産・人工妊娠中絶を経験した女性等への支援の手引き(令和3年度子ども・子育て支援推進調査研究事業)厚生労働省(大阪府ウェブサイト掲載)(2026-10-07 確認)
  12. 死産届江東区(2026-10-07 確認)
  13. 出産育児一時金全国健康保険協会(協会けんぽ)(2026-10-07 確認)
  14. 労働基準法(第65条)e-Gov法令検索(2026-10-07 確認)
  15. 流産・死産について知ってほしい心のケアと支援制度(妊婦のための支援給付を含む)こども家庭庁(2026-10-07 確認)
  16. 流産・死産等を経験された方へこども家庭庁(2026-10-07 確認)
  17. 赤ちゃんを亡くされたご家族のための電話相談東京都福祉局(2026-10-07 確認)

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